ホームルーム経営の第一歩は、教室の環境整備ではないだろうか。年度初めに新たな児童・生徒を迎えるに当たって、担任としてまずやることはクラス運営方針を考えることと教室の環境整備であろう。クラス運営を成功させることができるかどうかの第一の鍵は、教室の環境整備であり、第二の鍵はクラス担任としての学級経営方針を生徒たちに提示することである。
ここでは、その第一の鍵である環境整備について述べる。
根本的に人間は、外部からの働きかけである生活環境に影響を受けながら、人格形成がなされていくものである。もちろん生来的に持って生まれた一次的な気質や能力などの個性はあるものの、誕生後の育児環境やその後の生育環境などの二次的な外部からの働きかけによる要素は、人間の人格形成の上で、もっとも大きな影響力があると言ってよいのではないだろうか。この二次的な外部からの働きかけによる影響力には、両親からの愛情や躾あるいは親以外の兄弟姉妹や友人など、他者との関わりからくる人格的交わりによるもの、そしてどのような教育を受けたかなどの精神的環境による影響力、また家庭の経済力やどのような生活環境にあるかなどの物質的環境による影響力、さらには風土や地域環境などの自然環境による影響力の三つがあると考えられる。教室の環境整備とは、いわばこの二次的な外部からの働きかけである物質的環境による影響力に当たると言っても良い。
そこで、一般的な学校における教室の環境整備とは、校訓や学年目標・クラス目標の掲示、掲示板のあり方とその内容、そして行事日程表の整備や机の配置等々であろうが、ここで述べるのはカトリック学校としての教室における宗教的環境整備のことである。
カトリック学校には、イエス・キリストの福音を述べ伝えるという特別な使命があるのだから、教室環境においても十分にその使命が果たされるよう配慮されていなければならない。具体的事項を上げると次のようになるであろう。
@神の御言葉とキリストの福音を伝える聖書の設置
Aキリストの福音の象徴としての十字架の設置
Bカトリック精神と学校の教育方針を表す校訓等の掲示
C従順・謙遜・敬虔・柔和など女性や母としての理想であるマリア像の設置
D「主の祈り」や「聖母マリアへの祈り」等、日々の学校生活の中で祈りの慣行を促すための祈りの言葉の掲示
E信仰心の重要性を感じさせるための聖画や聖品の設置
Fキリスト教価の値観を伝えるための機関誌や雑誌等の設置
これら七項目については、教室のみならず校舎内外の校地全般に渡って共通して必要なものであるが、児童・生徒の学校生活の中心の場である教室については特に重要であると言える。また、これらの設置物や掲示物は一義的には「物質」=「物」でしかないとの解釈が成されるかも知れないが、いずれもキリスト教における思想や精神性そのものであるか、若しくはそれらを現しかつ伝えるために、必要不可欠で有意義なものである。
確かに教室における環境整備は、「二次的な外部からの働きかけである物質的環境による影響力に当たる」と前述した。この考え方は、ともすれば唯物論的な思想に解される誤解が生じる危険性があるかも知れないが、これらのものの原点は、あくまでも精神性そのものであって、その精神により形作られたものであるから、単なる物質から受ける外部的な影響力とは質を異にするわけである。よって教室における宗教的環境整備とは、哲学上の唯神論や唯物論に体系づけらるところのものではなく、
人間生活全般において私たち人間の生活が、さまざまな要因に影響を受け決定づけられているという事実を表しているのである。
いずれにせよ、児童・生徒に最も大きな影響力を及ぼす担任によるクラス経営において、教室の環境整備は重要な要素である。特に、カトリック学校において福音宣教という固有の使命をホームルーム単位においても果たそうとするならば、日常的に宗教的価値観や環境に触れさせることは、必要不可欠なことであって非常に重要なものであるから、クラス担任はこれらのことを、十分に理解し受け止めた上で、教室の環境整備に努めることが大切である。
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