歴史道楽

 
 

17    3冊の日本近現代史
更新日時:
2004/10/30 
 
 たまたま近所の区立大田図書館の書棚で日本近現代史を覗いていたら、面白そうな3冊の図書があり、早速借り出して読んでみた。日本の同じ時代の歴史であるにも拘わらず、視点が違うとこうも解釈が違うのかと驚くばかり対照的な3冊の図書であった。
 
 末尾に示す参考文献の(1)は題名こそ「日本の失敗と成功」であるが、中身は幕末から現代に至る日本の歴史の評価であり、佐藤氏の問題提起に対して、岡崎・佐藤両氏が討論する形態をとっている。又序章は「歴史から何を学ぶか」であり、終章は「二十一世紀・日本の行方」であり、独特の国際的視野から日本の近現代史に対して鋭い観察と評価を下している。従来の皇国史観や唯物史観とは異なる史観で、成る程そのような解釈もあるかと認識を新たにする箇所が少なからずあった。
 
 参考文献(2)の著者黄文雄氏は、ご存知台湾生まれで日本の大学を出た評論家で、従来の歪曲や捏造まで加えられた曲解された近現代史を矯正するのを目的としている。それだけに私の知らなかった史実が幾つか取り上げられている。例えば孫文は日本へ満州売却の交渉をした、東京は中国近代革命の基地だった、残酷な「三光作戦」は中国軍のお家芸、「南京大虐殺」は中国の王朝崩壊期恒例の祭事、日本の植民地経営にみるアジアへの貢献、日本軍は西欧植民地支配の代理人・華僑を粛正して東南アジアで歓迎された、その他多くの隠れた史実を紹介している。最後に日本にはびこる一国平和主義と念仏平和主義を非難し、4年前の著書ではあるが、靖国神社参拝に関する外国の批判を日本は受け入れるべきではない、教科書干渉への甘受は日本政府の死に至る病で、中国の歴史は恒に捏造の繰り返しであり、外国からの歴史観の押し売りは断ろうと主張している。
 
 参考文献(3)は「中国からみた日本の近代史」というより、中国共産党の「日本帝国主義侵華史」の見解と言った方が当たっている。なにしろ中国共産党は全て正しく、誤りは一つもなく、一方日本を初めとする外国や中国でも共産党以外はすべて悪であり、史実の検証はせずに、事実であろうとなかろうと引用して、日本は憎むべき悪逆非道な侵略者であり、子々孫々の代まで不幸な歴史を忘れずに伝えようというもので、勿論マルクス主義史観に立っているが、中国の現在の権力者中国共産党におべっかを使ったものとの観がある。なぜこんなものを出版したのか分からないが、逆に中国がどうして変なことを言うのかを理解するには、このような出鱈目な歴史認識がベースになっていると思うと理解しやすくなる。
 
参考文献:
(1)岡崎久彦・佐藤誠三郎「日本の失敗と成功−近代160年の教訓」扶桑社 00-06-10
(2)黄文雄「捏造された日本史−日中100年抗争の謎と真実」日本文芸社 97-09-25
(3)劉恵吾・劉学照主編、横山宏章訳「日本帝国主義侵華史略−中国からみた日本近代史」  
  早稲田大学出版部 87-7-15
 


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