読書特に歴史書の面白さは今まで知らなかったことをいろいろと発見することで、岡崎久彦・佐藤誠三郎共著の「日本の失敗と成功」(扶桑社)から、私にとっての新知識というかあらためて成る程と感じた事を拾い出してみる。
1.日本が植民地化を免れ近代化に成功した理由
○近代化の基本的特徴は、産業化とナショナリズム(国家の国民国家化)と平等化である。
○一般的にはナショナリズムの興隆は近代化と共に起こるが、日本は聖徳太子の頃に遡り
例外的に早かったといえる。中華帝国の存在が日本のナショナリズムのきっかけである。
○江戸時代に近代化の前提条件が整った。
@ナショナリズムの形成に基づく政治的統一と効率的な官僚制度
A国内のコミュニケーション、従って商業も発達してまとまりができていた。
B読み書きソロバンの普及率が世界の最先進国英国と同水準だった。
C産業化の基礎として職人の技能水準が高かった。
○西欧と日本だけ封建制度(地方分権)が根付いたのは元帝国(蒙古)の脅威がなかった為。
○江戸時代は能力主義社会で、勤勉革命があり、資本を蓄積して外資導入せず、関税収入
ないなかで明治政府が頑張った。これらが植民地化を免れ近代化に成功した理由である。
○幕末・維新の志士たちの精神的バックボーンは、武士道・禅宗・お家大事の意識。
○日本に天皇制が存続した決定的理由は、異民族による支配がなかったからである。
○公武合体論で大政奉還して徳川家が権威失墜したのは、結果として山内容堂に騙され
た。
○明治維新で教養人が輩出したのは江戸時代の教育の蓄積による。
○議会開設以後も藩閥が権力に固執したのが、後々まで弊害を残した。
○日清戦争は、中国と日本とどちらが朝鮮半島の覇権国となるかを決する帝国主義戦争
で、第一ラウンド壬午の変、第二ラウンド甲申の変でも日本は完敗していた。ただし日清戦
争は日本と北洋軍閥との戦いで、朝鮮半島から清国を排除することが目的であった。
○遼東半島の三国干渉による還付は「力は正義」を誇示されたものであった。
○最後まで清国寄りだったが、日清戦争に勝利して「日英同盟」が締結された。
○小村寿太郎の意見に従い、もっと早く開戦すれば日露戦争は楽勝したであろう。情報と
お金で英国が援助してくれた。
○日露戦争後の経済的打撃は深刻で、追い打ちをかけたのが世界的軍拡競争の始まり 。
○朝鮮は植民地として間接統治すべき所を直接統治にしてしまったのは間違いであった。
○朝鮮が反日となったのは、行き場を失った人々が朝鮮に流入した事と日本語の強制。
○日本の近代政治史の最大の失敗は、藩閥政治による選挙干渉で暴力やカネなど不正を
押しつけた事で、戦後まで議会制民主主義の正統性は確立できなかった。
○藩閥の主流長州が山県と伊藤に分裂し、山県は政党内閣の実現を10年遅らせた。
○自由民権運動の自由党と藩閥リベラル系の伊藤博文が組んだ政友会が戦前政治の中
心。
2.民主化が行き詰まり軍部の政治化を招いた理由
○ソ連も中国も革命で70年遅れをとった。(中国では辛亥革命から1978四つの現代化迄)
○第一次大戦で、日本は国際的に孤立し始める。(日露協商、日英同盟破棄、対米悪化)
○政友会分裂後、清浦内閣の閣僚は全部貴族院議員で、推薦した西園寺は不明を詫び
た。
○昭和初期の経済危機を立ち直らせたのは高橋是清の金輸出再禁止と積極財政であっ
た。
○農村不況と大陸での権益犯され軍部が台頭し、民主主義を否定することになった。
○第一次大戦後の対支21か条要求は近代外交の最初の汚点、第5号が中国と世界を敵
に。
○1928の第二次山東出兵で中国ナショナリズムの対象が英国から日本へ振り替えられた。
○満州事変より世界経済で列強の頭は一杯、上海事変は海軍の国際都市での愚かな行
為。
○大政順応派(広田、近衛等)が日本を破局に追い込む、野党に迎合する与党の構図は同
じ。
○昭和11年境に中国積極的に戦争挑発、中国ナショナリズム燃え上がりブレーキ利か
ず。
○アメリカとの衝突狙ったコミンテルンの戦略に負け、三国同盟は外交上の大失敗。。
○アメリカの世論が20世紀の独裁者で、山本五十六の真珠湾攻撃が国を滅ぼした。
○中国大陸の戦闘長期化が共産党軍のプラスに。
○非常事態の国家を守るのは人間として立派な行為。
3.戦後日本の光と影
○馴染まなかった押しつけ教育制度と憲法、自治警察。
○行政サービスの地域格差に耐えられない日本人。 地方自治を徹底すると文句が出る。
○旧制高校を廃止、大学平準化でエリート(国家の中枢を担う人材)養成機関喪失。
○家制度は日本人のモラル支えてきた柱で、家制度崩壊で日本社会は大きく変質。
○革新とは反軍事主義一辺倒の平和主義勢力で、護憲勢力は反安保・反自衛隊勢力。
○自分で議会民主政治と近代化の歴史作った希有な国。(和、英、仏、米、スイス、日本)
○憲法改正が国家再建の第一歩。
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