西尾幹二氏を代表者として執筆し、扶桑社から出版された中学校の歴史教科書である。検定中に漏れて朝日新聞などが中国や韓国にたきつけ、国内の左翼や民団と共に、この教科書が侵略戦争を肯定しているのは怪しからぬので、教科書として採択するなと激しく抗議したりして選定委員に圧力をかけていると伝えられている。これに抗議して教科書としては珍しく市販本を発行したので書店で購入し、じっくりと読ませてもらった。
従来の教科書が極めて自虐的であると伝えられているが、扶桑社以外の7社の教科書は市販していないので簡単に入手できず、読んでいないので比較はできないが、新しい歴史教科書を通読した範囲での感想を以下にまとめてみた。
1) なかなか内容豊富で大人でも読み甲斐のある教科書である。
2) 世に言う従来の教科書の欠点といわれる自虐的な表現は認められない。
3) 軍国主義とか戦争美化というような外部評も当たらない。定評のある歴史学会や教育
学会の左傾に対して、よくチャレンジしていると思われる。
4) 客観的な叙述なので、近世における中国や韓国の近代化の遅れを指摘しており、この
辺が両国が筋違いの批判をする元になったのではないかと思われる。
5) マルクス主義にもとずく社会主義・共産主義を歴史的事実に基づきまともに批判して
いるので、左翼教育のもとに育った現在の中学校歴史教師にとっては馴染みにくいの
ではないかと想像される。
6) 細かい点では次の点で疑問を感じた。
イ) 漢字以前の古代文字について一言も触れずに全く無視している。
ロ) 大東亜戦争直前の日米交渉で、ハル・ノートが出る前のまとまりかかった交渉を日
本側特に外務省がぶちこわした経過を全くふれず、又ハル・ノートの背景について
も何ら記述がない点物足りない。
ハ) 未来社会として情報革命、経済のグローバル化、地方分権、主権国家の制約等につ
いて触れることは無理な要求であろうか?
7) 最後に「歴史を学んで」という項があり、「何よりも大切なことは、自分を持つこと
である」とあるが、自国の歴史に自信を持つことを要請している点、本書の特徴でも
あり、結構なことと思う。
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