歴史道楽

 
 

30    現代日本史の問題点(その1)
更新日時:
2004/10/30 
 
 新年に当たり中西輝政著「日本の「敵」」文芸春秋 2001-09-15 定価1500円を読んだ。著者は国際政治学、国際関係史、文明史の専門家であり、日本の戦後も半世紀以上たって歴史的検討の対象になったと感じた。彼の主張も参考にしながら、私の見たり感じたりしている日本の戦後を現代日本史として歴史的に検討してみたい。
 
 現在は国、地方、民間企業ともに経済的にピンチであり、何とか景気回復できないかという声が大きいが、問題は経済だけでなく、教育もモラルも荒廃し、国際社会では相変わらず半人前でアメリカの属国と評され、中国や韓国から歴史問題でなぶられてみっともない謝罪外交を続け、すっかり日本人或いは日本国のプライドを喪失している。特に精神面では、戦前と比べても、西欧思想の浅薄な理解で堕落が甚だしく、折角戦後努力して経済的繁栄をもたらしたものの、この大不況によって、人生設計の崩壊、地域社会の崩壊、モラルの崩壊によって不安が増し、ポピュリズムが首をもたげてきている。
 
 まず第一に日本の内なる敵として糾弾すべきは戦後民主主義の誤りであろう。
1)自由:援助交際やTVのバカ番組に見られる「放縦の自由」は、自己責任に基づく「正     
  しいことを力強く訴えられる自由」に重点を移すべきである。
2)平等:結果の平等ではなく、機会の平等で市場競争に勝ち抜く気概が必要である。
3)平和:平和とは念じて得られるものではなく、武力によって獲得すべきものである。
4)民主:実行と制裁が必要であり、民意の誤りを正す安全装置が必要である。
 
 戦後冷戦時代を迎え、アメリカは防衛に関して日本の憲法の改正を要求したが、吉田茂は経済復興を優先するためこれを拒否したとされている。所が最近になって分かったことは、占領期間中でも政府歳出の10%を占領軍の費用に支出しており、吉田茂の政権維持の言い訳に過ぎないことが判明した。憲法のねじれ現象の影響は甚大である。
 
 又戦前の中央集権に対してアメリカは地方自治による分権を意図して憲法にも地方自治の項を入れたが、中央官僚が地方自治法を数十回改正して、昔の中央集権に戻してしまったことも最近明らかになった。このため各地方や民間の創意はつまれ、画一的な規制で今や過密過疎が増大し、政府の護送船団方式は全て失敗し、経済的活力が大幅に減退してしまった。現在小泉首相が唱えている「官から民へ」で規制緩和し、「中央から地方へ」で道州連邦制を導入して地方の自立をはかれば、日本経済再生のきっかけとなろう。
 
 ある程度戦前を知っているものにとって、日本の外なる敵について、依然として認識を誤っている点が大問題である。つまり島国根性が世界の常識から離れすぎ、食糧、エネルギー、原材料共に海外に依存せざるを得ない日本として、海外音痴は一刻も早く正すべきものである。ハンチントン教授が文明の衝突で述べたように、日本は独自の文明圏であり、ある意味で孤立した存在である。従って異なる文明圏と如何に対処して生存を確保するかは、実は極めて重要な問題であるが、非武装中立など頓珍漢なことを言っている勢力が未だにあるなど、信じられないほど幼稚である。
 
 国際政治というものは歴史の視点からしか理解できない。国際関係は一筋縄ではいかぬものであり、国際社会は本質的に国内とは全く異なる場所である。長い国際関係の歴史を見て行くと、「正義は時代により大きく変遷する」、それから「国と国との関係はそれ自体の論理と正邪の基準によって処理され、個人間の関係とは絶対に等視出来ない」ことが明らかになり、国際関係を見る場合この2点を押さえておく必要がある。特に一神教世界の文明原理では、「力においても勝るものが正義を代表する」という考えと、「正義はいかなる犠牲を払っても勝者となるべき」という命題の何れとも決めかねる所に本質がある。
 


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