歴史道楽

 
 

33    戦後50年の検証(その2)
更新日時:
2004/10/30 
 
[経済システムの検証]
 
1.K.V.ウォルフレン(ジャーナリスト):世界から見た「戦後」日本
 池田・佐藤内閣の後、諸外国と違って日本の政治家は、経済復興後の日本国の進むべき方向を決定する役目を放棄し、経済官僚にまかせきりのGNP主義に陥ってしまった。外国では日本の意図を疑う意見もあるが、実は管理不在の国である。又超過貸出を長期に続けたのも日本だけであり、世界に影響するので日米関係をよりよいものにする必要がある。
 
2.竹中平蔵(慶応大助教授):高度経済成長と日本型システム
 日本は経済大国と言われるが、94年末世界銀行の発表によれば、国民一人当たりの所得を購買力平価で割ると、つまり物質的な生活水準である豊かさでは、日本は香港に次ぎ7位で8位のシンガポールとほぼ同じである。つまり高度成長はしたが豊にはなっていない。成長がとまると終身雇用は維持できず、大学の役割も変化する。又官僚による政策情報の独占にも問題がある。又生産性の低い産業を保護すると円高、空洞化が生ずる。
 
3.奥村宏 (中央大教授):法人資本主義の形成と崩壊
 占領軍による財閥解体で、日本の経済システムは資本家のいない法人資本主義という特異性がある。中小企業は別だが大企業は9割以上会社同士が株式の持合いをしている。しかし時価発行増資や株式の低迷で持合いが崩れ始め、終身雇用も崩れ、外国からの批判も強まり、今後は大企業は解体し、株式会社を変えてゆく方向で企業を変える必要がある。
 
4.宇井純(沖縄大教授):公害大国、日本
 1948年の資源調査会の水資源に対する勧告は、炭鉱会社が廃水処理の負担をきらい、麻生財閥系の吉田茂は握りつぶした。森永ヒ素ミルク中毒事件も厚生省につぶされた。公害防止立法は世論対策の方便で、調査報告は必ず原因不明となる。しかし公害規制が工場の合理化を促す例もある。石油危機で公害対策も停滞したが、アジア全体で公害対策が必要である。今できることとして地方分権での活動活性化、10円玉変色調査も有効である。
 
[政治システムの検証]
 
1.富森叡児(東海大教授):田中角栄の功罪
 戦後日本の方向を決めたのは外交官だった吉田茂で、単独講和、日米安保条約、平和憲法維持という保守本流となった。も一人戦後政治で大きな影響を残したのは田中角栄で、「数は力」「政商一致」「自民の枠を越えて」が三つの特徴である。問題点は2番目で地元利益の追求が政治だということで最後にロッキード事件を引き起こした。利益誘導による政治の矮小化と派閥の拡大が日本の政治のダイナミズムを殺した。(現在橋本派が後継)
 
2.大嶽秀夫(京都大教授):敗戦国日本とドイツの選択
 戦後の米軍の占領政策はマルクス主義的発想に近く、制度に問題があり、日本人の加害責任は問われなかった。一方ドイツは進んだ文明国ということで個人の責任追及が厳しく、逆に集団的責任は問われなかった。戦後ドイツの中枢になったエリートはナチズムに厳しい批判をし、大衆に対しては不信感を持っていた。ドイツは指導者が自由を守る為には戦わなければならないと再軍備で世論を説得した。ただしNATOの下へ置いた。日本の侵略戦争とか民族的責任という議論は理論的に左翼の思想としては矛盾している。
 
3.高野孟(ジャーナリスト):日本転換100年の計
 欧米キャッチアップ型政治は終わった。自民党の政権復活は早すぎた。中期的構造対策が必要で、今や資本財供給国となっている。情報サービス社会になったが次の100年は?
 
[社会システムの検証]
 
1.色川大吉(東京経済大教授):憲法を問い直す
 新憲法のルーツは日本人が作った。憲法の改正にはどの方向に改正するか基本的理念を定めてから議論すべきである。政治家の政争の具にされたらむなしい。
 
2.辛淑玉(人材育成コンサルタント):在日朝鮮人にとっての「戦後」日本
 在日朝鮮人は約70万人、日本国籍を取った人を加えれば100万人を越えるが9割以上が朝鮮人であることを隠し、差別があって名乗れない。(それなら国籍を取ったら?)
 
3.猪瀬直樹(ノンフィクション作家):天皇制と「日本」というシステム
 日本はブラックボックスの中で意思決定され、非核三原則のように嘘が共同幻想になる社会である。天皇制は最大の黙契である。だれが責任をとるかわからないシステムというものが天皇制である。大東亜戦争の開戦を決めたのも無責任な集団主義であった。
 


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