歴史道楽

 
 

35    歴史教科書の歴史
更新日時:
2004/10/30 
 
 昨年は「新しい歴史教科書」が出て、今までの歴史教科書がおそろしく左翼偏向していて反日的なのに驚いたが、これを戦後から通算してみた題記の本が出版された。
 小山常実著「歴史教科書の歴史」草思社発行 2001-11-30 定価1700円+税
 
 歴史教科書は内容的に二度の大きな転換点を迎えており、昭和36年度まで、52年度まで、53年度以降の3期に分けて捕らえられる。第1期はやや敗戦の影響が見られるが、第2期は日本近代史について肯定的な叙述が行われ、第3期に入って戦前の日本の国家・社会に対して否定的な叙述を行うように変化している。
 
 教育史的に見ると、一つは第2、第3の時期に教育と学問が分離しているのが目につく。これは別の見方では歴史教科書の支配権が文部省から教員組合に移ったとも見られる。
第二には歴史教科書があからさまに学習指導要領から逸脱している事が見られる。
 
 戦後の歴史教科書の特徴というか問題点は次の5項目である。@防衛の観点の欠如、A外国批判をしないばかりか共産主義幻想が根強い。B西欧の理念から日本の現実を斬る。C平等主義、直接民主主義的な歴史観。D東アジアにおける華夷秩序体制と国際法体制の対立を無視。以上5点の特徴が化合して、歴史教科書は昭和53年度以降、自国の近代史を全否定し、反日原理主義の性格をもつに至ったものである。
 
 なぜそのような特徴が生まれたかを探ると、二つの歴史的背景がある。第一には日本人の性格に問題があり、拝外的、権威主義的、論争回避的態度を挙げている。具体的には日本共産党(ソ連共産党と論争せずに自らの理論を簡単に捨てた)、松岡洋右(何ら交渉せず国際連盟を脱退)、河野洋平(従軍慰安婦)、宮沢喜一(教科書誤報事件)にも見られる。
 
 第二には未だにマスコミを支配するGHQの検閲基準が挙げられる。新聞や書籍などに次のような叙述があるとき、削除又は掲載発行禁止の対象になるとしていた。
@SCAP−連合国最高司令官(司令部)に対する批判、A極東軍事裁判批判、BSCAPが憲法を起草したことに対する批判、C検閲制度への言及、D合衆国に対する批判、Eロシアに対する批判、F英国に対する批判、G朝鮮人に対する批判、H中国に対する批判、I他の連合国に対する批判、J連合国一般に対する批判、K満州における日本人取扱についての批判、L連合国の戦前の政策に対する批判、M占領軍兵士と日本女性との交渉、N占領軍軍隊に対する批判、O戦争擁護の宣伝、P神国日本の宣伝、Q軍国主義の宣伝、Rナショナリズムの宣伝、S大東亜共栄圏の宣伝、(21)その他の宣伝、(22)戦争犯罪人の一切の正当化および擁護。  
 
 これらを見ると、たまたま私自身は歴史教育の時期が過ぎていたが、明らかに国家主権の全面否定、国家意識の削除、即ち反日原理主義の温床、自虐思想の根源と見られ、マスコミ、教育界、学界などに今尚生き残っている事が知られよう。
 
 昭和53年度以降の教育と学問の分離現象も三つの根本原因が絡んでいる。第一に教員組合の方が学界より絶対主義天皇制論をより強く信じているし、第二に教科書の方が学説よりも検閲指針に束縛される度合いがはるかに強いからである。又第三に、教員組合の方が学界よりも「日本国憲法」に対して強い信仰を抱いているからである。
 
 反日原理主義の教科書とは、この三つの根本原因から生まれたものである。そして平成14年度中学校歴史教科書市場において反日原理主義教科書に挑戦し、相当善戦しながらも一敗地にまみれたのが扶桑社版「新しい歴史教科書」であった。これは第4期を切り開く魁と期待される。もし第3期が継続すれば、教科書の反日原理主義が日本を覆い尽くし、日本国家の滅亡が理論的に予測されよう。
 


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