極めて多様な仏教の源流はインド仏教にあり、キリスト教、ヒンドゥー教、イスラム教などと対比して、仏教に顕著な諸特徴の内、最重要な17ヶ条を以下に示す。
(1) 仏教は釈尊を創始者とする。
(2) 初期経典の他に、のちに大量の大乗諸経典や諸論書が聖典に加えられ、その数も
量もきわめて厖大となる。
(3) 人をみて法を説くことから教条的なドグマがないが、逆に言えば仏教の教理の一義的定義は困難である。
(4) 仏教内部に数多くの論争を生じ、しばしば諸教混淆を生む。
(5) 釈尊と大乗諸仏とに対する敬慕や崇拝・帰依は、心情で共通していても、形式内容はかなり異なり、密教を加えると一層多岐になる。
(6) 狂信的態度は弱いが、思想も実践も屡々放恣に流れ、混迷を招いた事も少なくない。
(7) 仏教史に創造神は存在せず、支配や征服といった性格もない。
(8) 最初期にはさとりの智慧が、やや遅れて慈悲−救済−利他が強調される。
(9) 行為は動機論を守り、実践の基本に無我説があり、欲望や執着からの離脱・解放がことさら反復して強調されてきた。
(10) 現実は常に流動してやまず、たえず生滅変化する無常ととらえる。
(11) 無常と無我とは実体の排除に向かい、その徹底は実体を破砕し空の思想を完成する。
(12) 三宝、四諦、五蘊、六処、十二因縁など数で括る法数が極度に達すると、一転して廃棄し、直感重視の姿勢を固める例が目立つ。
(13) 仏教の理想は、乱されることのない平安を得て、解脱が達成され、涅槃の確保に向かう。
(14) インド仏教は世の諸習俗に染まることを遠ざけたが、インド外に伝来した諸仏教は地域ごとの習俗や諸文化と馴染み、変貌をまじえた。
(15) 釈尊以来、平等を基本テーゼとしてカースト制度を一貫して批判し否定した。
(16) インド仏教では、否定的性格、時間及び歴史的意識の欠如、空想性、羅列主義、極端に馳せる傾向が現れる。各地の諸仏教も各民族の思惟方法の反映が指摘される。
(17) インド人は宗教と哲学と倫理の区分をせず一括してダルシャナと称し、インド仏教もそれをそのまま継承して、思想と呼ぶのがふさわしい。各地伝来の仏教も同様である。
参考文献:三枝充悳著 「仏教入門」 岩波新書 103
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