歴史道楽

 
 

66    歴史の見方
更新日時:
2004/10/29 
 
 歴史とは何か? 広辞苑をひくと、@人類社会の過去における変遷・興亡の記録。A社会の変遷・興亡の次第。物事の現在に至る来歴。と書いてある。従って歴史には時間的要素と共に空間的要素がある。所が歴史研究家とか歴史愛好者は概してある地域のある時期の歴史に興味の中心があり、時間と空間を超えた歴史の流れに興味をもつ人は少ない。これは歴史の教え方が国史、東洋史、西洋史と地域的なことも影響しているのかも知れない。私はどちらかというと個々の歴史より、その底を流れる時間、空間を広くカバーする歴史の探究に興味があり、又それによってのみ真実の歴史が見えてくると思っている。
 
 最近次の図書が刊行され、石原慎太郎、竹村健一、中西輝政の三氏が激賞として話題を呼んでいる。
「新・歴史の真実・祖国ニッポンに誇りと愛情を」前野徹著、経済界、2003年5月27日
著者の前野氏は経歴こそ違え、私と同年であり、従って時代を共有してきたせいか、前著「第四の国難」でも共感する所が多かった。彼は戦後の歴史を総括し、日本を骨抜きにした戦後の指導者達を責め、近代世界史は白色人種の侵略、略奪、強殺の歴史であるとして、日本は実は侵略の魔の手を逃れたのであるとし、大東亜戦争の真相を回想し、日本の伝統文化はアインシュタイン博士をも驚嘆させたもので、戦後抹殺された輝かしき歴史と日本人を思い起こし、歴史からの教訓と反省と希望を述べて締めくくっている。
 
 結局本書は、白色人種による侵略の世界史の一環として見ることと、東京裁判を戦勝国の復讐と見る点で、アメリカ占領軍の太平洋戦争史観を疑いもせずに受け入れた自虐史観の排除を強調するものであると思われる。私も下記図書により同様な見解をもつに至った。
「侵略の世界史」 清水馨八郎著  祥伝社
「世界がさばく東京裁判・185人の外国人識者が語る連合国批判」終戦50周年国民委員 会編、ジュピター出版
 
 以上前野氏の著書は、現代の日本の歴史解釈の問題点をよく衝いていると思うが、私が前著「続ゴールデン・エイジ」で紹介したように、更に京大の梅棹教授が戦後提出した、唯物史観と全く異なる最も重要な世界史モデルの一つである「文明の生態史観」を紹介すれば尚一層よく理解されると思う。長くなるので詳細は省略する。
 「文明の生態史観」梅棹忠夫著 中公文庫
 
 そういえば「ゲルマンの大移動」も実は「ゲルマンの大侵略」であり、ポルトガル・スペインの大航海時代も、白人によるアジア・アフリカ・アメリカ侵略の世界史の始まりである。なにしろ大東亜戦争までの純独立国はアジアでは日本とタイ、アフリカではエチオピアだけであり、他はすべて白人による植民地乃至半植民地であった。又アメリカも東部13州で建国以来、徐々に西部を侵略し、メキシコ、スペインと戦って領土を拡張し、ハワイを略取し、フィリピン、太平洋諸島に進出し、満州の権益で日本との衝突が始まり、散々日本に嫌がらせをしてきた歴史がある。これらの歴史は、アメリカ製憲法の前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」が如何に空文であるかを証拠立てている。
 
 以上、ある地域、ある時期の歴史にも、その底を流れる長期の世界の歴史との関連をよく調べないと解釈を間違えることを示している。ある意味で日本の現状は、歴史認識の誤解というか不足からくる、認識の間違いがもたらすものであり、歴史学会が左翼学者に乗っ取られただけでなく、実に深刻な問題である。
 「歴史を軽んずるものは、歴史から罰せられる。」とは正に至言である。  
 


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