歴史道楽

 
 

75    日本文明の特徴は何か?
更新日時:
2004/10/28 
 
 京大の中西輝政教授が「国民の文明史」という462頁の大作を産経新聞社より発刊した。過去の歴史と未来の歴史をつなげてゆくもの、それが文明史である、として、文明史観なき国家は必ず滅ぶ、とも断言している。 又現代日本は歴史的危機状況にあるが、それが破局に至るとは限らない、日本には、危機を超克する「文明力」がある、と力説している。いろいろと目新しいことが書いてあるが、目次だけでも小分類を入れると、1頁50行として、何と5頁にもなる。新しい歴史教科書をつくる会主催で4時間の発刊記念シンポジウムが九段会館で行われたが、超満員の大盛況であった。
 
 細かい点では、例えば日本人の悪い所はは島国根性だと思っていたが、それは縄文化現象だと認識を改めたり、新たに天武天皇が道教の導入を拒否されたなどの新知識も得られたが、やはり日本文明の特徴のとらえ方に一番のポイントがあるように思われた。それでは日本文明の五大特徴とは何であろうか?  
 
1.世界に類例のない一国一文明である
 ハンチントンの指摘するまでもなく、日本文明が世界の大文明の一つに位置づけられているのは今や文明史学者の通説で、偉大であると共に対外的には孤独である。
 
2.縄文と弥生の超転換システム
 縄文時代や弥生時代の実態はまだ明らかではないが、ある種の安定と若干の繁栄を得たときは、すぐに「眠りこんでしまう」文明の体質を「縄文的」と称し、わずかな期間に物事を激変させる懐刀のような体質を「弥生的」と称し、それらが交互に現れるとしている。
 
3.換骨奪胎の超システム
 古代には中国から律令制を取り入れたが、その根幹である「君主の専制」という思想は排され、日本特有の合議政体「太政官」が生まれ、中華文明不可欠の文化要素である「宗族」[科挙][宦官]の制度はとりいれず、儒教・仏教は入れ、道教や道士は決して受容しようとはしなかった。このように外のものを入れるとき日本文明の基底様式に合うように取捨選択してしまうことを換骨奪胎の超システムと称している。。
 
4.大深度の地下水脈
日本文明の底に横たわる「大深度の地下水脈」は、通常見えないので日常的には誰も意識しないが、じつに滔々と流れていて、日本人の発想や感覚のメカニズムには確固として存在している。
 
5.重層文明
 日本が大陸から離れて列島になったのは1万数千年前であるが、その後も北から、或いは大陸や半島から、また黒潮に乗って外からさまざまなものが次からつぎへとやってきて、日本はそれを上手に、独特な方法で受け入れた。そのため更地でなく重層文明となった。
 
 以上のように、日本の文明は特徴的であり、平和が続くと居眠りするが、危機がせまると突然変革し、換骨奪胎で新しく生まれ変わる。と主張しているが、たしかに過去の歴史はそのように読むことはできても、将来も変わりないとは論理的には言えないと思う。ただし、危機がきても、日本人はそれを超克できるのだと信じれば、大きな力になるには違いない。確かに過去1万年以上続いてきた歴史が、現代人のふがいなさからぷつりと途切れるとすれば、それは占領軍の押しつけた民主主義や国家意識を喪失した自虐的歴史観などからの取捨選択による換骨奪胎を怠ったせいだといえるかも知れない。占領が終結してもはや52年経過した。早く日本人のアイデンティティを取り戻すべきである。
 


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