西部邁氏他7名の執筆した扶桑社出版の中学公民教科書で、歴史教科書と兄弟関係にあり、同様に左翼、中韓両国の非難に対して、市販で応えたものである。一読した感想を次にまとめて記す。
1)歴史教科書同様、かなり内容豊富であり、大人にも読み甲斐がある。というより世の中に多く見られる公民的心構えに欠ける大人たちにも是非読んで貰いたいと思う。尤も再教育を強制する手段が必要かもしれない。
2)序章の「なぜ公民を学ぶのか」に始まり、第1章から第4章が文化、政治、経済、社会、で、終章が未来社会を扱っている。公民の心得ておくべき範囲はよく抑えており、狙いは大変良い。又各章節末尾の学習のまとめも色刷りで分かり易い。
3)更に本文以外に学習資料として、日本国憲法を初めとして、公民として関心のあるその他14の重要な法律の主要な条文を載せてあり、本書が単に教科書である以外に、日常の参考書として使用するのにも大変重宝である。
4)当然ではあるが、本書は日本及び世界の歴史及び歴史の流れを重視している。確固たる歴史認識がベースにあって、はじめて健全な公民意識が確立される。
5)現代社会の病理として、民主主義、産業主義の問題と共に国際主義についてかなりネガティブな受取方をしている。つまりグローバリズムによって、強い国の流儀を弱い国に押しつけることになり、世界中の社会を均一化しようとして国の文化の独自性が失われ、歴史的遺産や国民性が希薄になるのではないか?又グローバル経済が進むにつれ、国民の経済と生活をどのように守るのかと言うことが重要な課題となる、と記しているが、このような問題は当然メリットとデメリットがあり、その対応は今後の大きな問題であるが、単に被害者意識をかき立てるのは賢明ではないと思う。
6)公務員は国家1,148,000人、地方3,343,000人、合計4,491,000人で行政権が肥大していると批判している。ただ先進諸国が中央集権から連邦制に移っている事については殆ど触れていない。
7)人口の都市部への集中により、農村部が過疎化し、田園機能の維持が困難になっている。環境問題の一環として今後検討を要すると思われる。ただ農業を依然として農家に限定して保護している所に問題があるように思われる。過疎地の統計として次の数値が示されている。
人口6.3%、財政11.9%、市町村数38.1%、面積48.9%
この数値より、国土の半分近くが過疎地であることが示されている。
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