先週アメリカのニューヨークとワシントンで発生した奇想天外なテロに対して、今如何にしてテロを撲滅するかが問われている。従来の戦争やテロとはかなり次元を異にするので、新しい発想のもとに検討しないとピンぼけになる。その意味でたまたま今週火水木と聞いた三つの講演は、それぞれ従来の常識とは少し外れており、少なからず好奇心をくすぐるものであった。
1.哲学の反社会性 電通大教授 中島義道氏 日本工業倶楽部第333回素修会
戦前の旧制高校などでは全寮制のもと、まず全員哲学論争に巻き込まれたのを懐かしく思い出す。戦後学制の変更と共に、日本人は哲学と縁遠くなり実利一辺倒の感がある、と思っていたら、中島教授の言うには、哲学はまず第一に真実性を追求するものである。多くの人間はまず幸福を考えてしまうが、とことん真実とか善悪を追求すると、反社会的になり、いやがられ、ソクラテスの例にあるように、危険人物として殺されても当然だということになる、と仰有られる。なるほど哲学を裏側からみると、このような見方もあるものかと感心した次第である。
2.人類の文化史 美藤正範氏(府立四中昭和11年卒) 第240回十徳会
今から500万年前の猿人の発生から現代、更に未来を展望する大変大づかみな文化史で、素人の趣味として大変興味深い。つつけばいろいろ問題はあるが、一つの見識であろう。中身を省略して時代区分だけ紹介すると次のようになる。
1.猿人類期(BC500万年〜BC160万年)
2.原人類期(BC160万年〜BC15万年)
3.旧人類期(BC15万年〜BC3万年)
4.現生人類期(BC3万年〜BC1万年)
5.現代人類期(BC1万年〜BC3,500年)
6.神話時代(BC3,500年〜BC500年)
7.宗教・哲学・思索時代(BC500〜AD100年)
8.仏教・キリスト教の普及と民族移動時代(1〜6世紀)
9.イスラム教時代(7世紀から12世紀)
10.シルクロード時代(13世紀〜14世紀)
11.大航海時代(15世紀〜16世紀)
12.植民地開拓拡張時代(17世紀〜19世紀)
13.植民地解放時代(20世紀前半)
14.コンピュータ時代(20世紀後半)
15.未来展望(21世紀)
2200年には現人類はいなくなるというショッキングなおまけがついている。討論の過程で文化と文明を分けて論ずるのはドイツと日本くらいのものだという意見もあった。又日本の歴史にはイスラム教やイスラム世界が抜けている。いろいろな見方で一人一人独特の歴史観を持っており、それを明確化しておくのは意味があると思われるので、私もその内私なりの人類文化史を作ってみようかなと思った。
3.ザビエルと高山右近 作家 加賀乙彦氏 学士会九月午餐会
加賀氏は医学部出身の異色な作家で、ザビエルとか高山右近という名前は勿論私も知っているつもりであったが、加賀氏に指摘されてみると、なるほど今までの認識は浅かったなと強く反省させられた。
ザビエルが鹿児島にきたのが1549年で、一昨年来日450年記念式典があったそうであるが、それまで日本と西欧とは全く接触がなかったと言われてみると、何か信じられないような気がする。たった2年しかいなかったそうであるが、もしザビエルなかりせば、日本は果たしてどうなったであろうか?一方高山右近は加賀氏が最近本を書かれたそうであるが、右近殿という名で、パリで名を知られた最初の日本人であるとの事である。彼はキリシタンとして名を知られたが、築城の名手、茶の湯で利休の一番弟子で、秀吉に追放されてから前田利家に茶の湯で拾われ、20数年後家康のキリシタン追放で何とマニラに追放され、現地でなくなったそうである。加賀氏の話は殆ど私の知らなかった事ばかりで、今日これだけ西洋化した日本にとって、そのきっかけとなった事象について余りにも無知だったことに我ながら驚いた。これもその内少し調べておかねばと思った次第である。
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