コラム


33    遙かなり瑤沙原
更新日時:
2001/11/16 
 毎年11月の初旬には母校のクラス会やら同窓会が立て込む為、旅行には絶好のシーズンであるが、この時期には出かけられない。今年も6日には東京府立四中の同期会、8日には私が万年幹事の東大電気のクラス会、そして11日には旧制浦和高等学校の創立80周年記念祭が行われた。中学や大学の会は毎年のことで特に目新しいことはないが、高校の記念祭は10年毎で、おそらく今回が最後になるのではないかということで一旦欠席の通知を覆して出席した。瑤沙原(ようさがはら)というのは昔浦高があった地帯の当時の名称である。
 
 実は昭和22年(1947)に旧制浦高を卒業して以来、浦和には殆ど行ったことがない。一度何かの都合で行ったら、浦高は跡形もなく、公園に変身しているのでびっくりしたことを覚えている位で、実質的には今回が初めてであり、54年ぶりということになる。
 
 午前10時から11時まで旧浦高敷地内の浦高モニュメント前で事前祭があるので、JR北浦和まで電車で出かけた。南浦和辺りから浦和、北浦和と線路の両側には背の高いマンションが建ち並び、昔ののんびりした武蔵野の面影は全くなくなっていた。北浦和の駅も、又駅前の道も見違えるばかり立派になり、正に浦島太郎の心境に陥った。
 
 駅から西へほんの数分歩いて公園の角に着いたら、昔の浦高の白線二条の帽子を被り、着物姿で高下駄を履いた男が立っていて、正門はもっと左(南)にありそちらから入るよう案内された。正門を越えて茶室の門から入ったら、管理事務所である楷楓亭の先に巨大なカイノキ(楷樹)(大正14年当時の漢文の教師が孔子廟のある曲阜からタネを拾ってきて育てたという浦和市指定天然記念物)があり、その先にモニュメントがあってぞろぞろと百人近く老人が集まっていた。尚浦和市は最近合併してさいたま市となった。
 
 昔は浦高2万坪と言われ、北に約1万坪の校庭があり、その南に校舎があり、一番南に東西各3寮の学生自治寮があった。今は校庭のごく一部が国道浦和所沢線に切り取られ、校庭と校舎の半分くらいが素晴らしく美しい埼玉県立北浦和公園となり、その南がさいたま市立浦和北公園(老人公園)となり、一番南の昔寮があった所はプールごと市立常磐小学校となっている。
 
 最初に茶室の門から入った所は市立浦和北公園で、老人がゲートボールなどやっていたが、高さ2m以上ある「寮歌を歌う浦高生」の像があり、足下に今日出海氏(1回文丙卒)の碑文があり、又代表的寮歌「武蔵が原」の歌碑が建っている。このモニュメントの近くで校歌と寮歌を合唱した。
 
 ついで県立北浦和公園に移動する。東から西へ、北半分には、森林広場、噴水池、彫刻広場があり、南半分には、正門、自由広場と池、西側に県立近代美術館がある。美術館の北側に秦慧玉先生の書かれた、校歌に詠み込まれた武蔵野の風土と浦高生の気風を端的に表現した「大いなるかな 美しいかな 壮んなるかな われら」という碑文があり、先の浦高生の像と同様柳原義達氏の彫刻「風の中の鴉」と「鳩」が置いてある。ここで寮歌を歌い、又浦高の表示のある正門でも寮歌を歌った。
 
 その後正門から南に下り、常磐小学校の角を廻って西へ行き、小学校の正門から入って真っ直ぐ北へ進んだ所に浦高70周年記念碑があるが、ここは元々寄宿寮であった「武原寮」の跡地であり、常磐小学校の生徒により除幕が行われ感動を呼んだという。
 
 ここからタクシーのピストン輸送で、浦和ロイヤルパインズホテルで正午から1時迄記念式典、1時から3時まで懇親会が盛大に行われた。埼玉県副知事、県議会議長、埼玉大学長、静高同窓会長などの祝辞もあり、余興の秩父太鼓演奏はなかなか素晴らしかった。祝辞では自助自立のエリート教育で戦後の復興に貢献したと口を揃えていた。
 
 尚旧制浦和高等学校は大正10年(1921)勅令で第二十高等学校として創設され、大正14年第1回卒業生を送り出し、私は昭和22年第23回理科の卒業になるが、昭和24年埼玉大学浦和高等学校となり、昭和25年3月第26回生を送り出してその光輝ある歴史を閉じた。尚昭和23年4月入学の第27回生は最後の入学式となったが、翌24年3月第1学年終了と共に各地の新制大学に移っていった。又昭和20年5月空襲により講堂と本館を焼失したが、その後1年間何処で授業したかもはや記憶にない。
 
 尚卒業生は全部で5437名だそうで、半分くらい既に亡くなられ、現在不明者425名を除くと生存者は2196名ということで、当日は約500名くらい記念式典に出席した。
 
 


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