コラム


47    中国の経済成長と未来
更新日時:
2002/07/01 
 この所中国の経済成長が著しく、わが国経済にとって脅威だという見方もある。中国各地には98年10月に旅行して、表向きの共産主義より唯物論的拝金主義が蔓延していることを痛感した。最近大前研一氏が「チャイナ・インパクト」という図書を出して、新しい中国経済の見方を提唱されているが、成る程と思う面も少なくない。
 
[中国経済発展の要因]
 ケ小平の経済特別区による市場経済導入が基礎にはなっているが、その後朱鎔基首相が国営企業を大胆に整理し、大幅な地方分権を推進したことが、大きく中国経済の飛躍的発展をもたらしたものと思われる。即ち朱首相が三大改革を三年で成し遂げたことにより、キャピタル、コーポレーション、コンシューマー、コミュニケーションの四つのCが流れ込んできたのが、ボーダレス経済の時代に経済が発展する要因となったものと思われる。しかし沿岸部と内陸部にはまだ相当な経済格差が存在し、内陸の農村部にはまだ9億の人口があり、これが労賃の上昇を抑えて競争力を維持する原因となっている。
 
[現代中国を支える六つの地域]
 現代中国の経済成長は、次の六つの人口約1億の地域が中心となり、爆発的に進んでいる。
○珠江デルタ地域(広東省):世界最大のパソコン集積地。台湾企業を中心に、
  下請け、部品加工業などの裾野産業が集積している。
○長江デルタ地域(上海、江蘇省、浙江省):金融・商業の中心地、携帯電話、
  ノートPC、半導体製造業など技術レベルの高い製造業が集積しつつある。
○北京・天津地域:ソフトを中心としたIT分野の研究・開発拠点の集積。米国
  留学帰りの創業者も多く、中国で最も優秀な技術者を纏めて集められる。
○山東半島地域;冷凍野菜、加工食品の産地、日本と緯度・気候が似ている
  ので、日本向けの農作物栽培に適する。
○福建省(アモイ・福州):台湾との結びつきが強く、小三通の拠点となる金門、
  馬祖に近接。工業製品だけでなく、農産物(中国茶等)の輸出拠点。
○東北三章(遼東半島)地域:国有企業を中心とした重工業地帯。日系メーカー
 の誘致が盛ん。最近日本語を武器としたコールセンター業務、ハイテク分野
 へシフト。
 
[中国の政治・経済の未来]
 しばらくの間、中国の経済発展は継続し、アジアを支配するようになるであろう。これがおそらく第2次アジア危機となる可能性がある。既にシンガポールは政策を転換し、中国への投資、工業団地の開発、港湾開発協力などで事業機会の拡大を図っている。又台湾も生産機能を中国へ移管し、自らはサービス業へと転換を図っている。その他の国々では、中国がWTOに加盟した影響もあり、外資が中国へ流出したり、価格競争に負けたり、それぞれ悪影響を蒙るであろう。廉価な労働力は尽きないが、 あと10年もすると一人っ子政策の影響が現れて、経済成長に深刻な悪影響を受けるであろう。又江澤民は共産党に資本家の入党を認めると言ったが、早晩共産主義とはお別れになるであろう。中国人はよくも悪くも拝金主義が身に染みついている。
 
[日本はどうすればよいか]
 中国から輸入が急増しているとはいえ、日本企業の敵は中国の皮を被った日本企業である。今後日本では製造業の雇用拡大は期待できないが、産業の空洞化による失業率の上昇は、産業構造転換の条件でもある。
 人口的に中国の10%である日本は、中国が発展すればその周辺国となる。中国自体は中華思想の変形で侮日的であり、日中経済が逆転すれば、日本でも中国に対する嫌悪感が著しくなるであろう。
 しかし中国の発展を変革の原動力として、中国を利用できる限り利用し、日本は新しい産業への転換を図るべきである。又日本は地方分権を徹底して道州制とし、州ごとに中国のメガリージョンと付き合って行くことが今後の日本の益々の発展の為に必要となろう。
 
参考文献:大前研一著「チャイナ・インパクト」講談社
      2002年3月29日初版、1600円+税
      


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