コラム


52    二人の韓国人−金完燮と呉善花
更新日時:
2002/10/29 
 
 以前日本工業倶楽部で呉善花氏の講演を聞き、なかなか鋭い感性を持った女性だなという印象を持っていた。最近話題になった金完燮は「親日派のための弁明」(草思社)という著書を発行し、近代の世界史における日本を高く評価し、韓国は強圧的に併合されたのではなく、自ら日本を選択したのだといい、韓国では発禁処分になったという。そこで調べてみると、呉善花がやはり「韓国併合への道」(文春新書086)という著書を平成12年1月20日に発行しており、日韓両国の文献調査から比較的冷静に韓国が日本に併合された経緯を記している。
 
 韓国では国を挙げて、日本は強圧的に韓国を併合し、人民を塗炭の苦しみに陥れた怪しからぬ国である、と反日歴史観をマスコミを主体に宣伝し、その線に沿って国定教科書も出来ているため、日本の歴史教科書は怪しからぬと余計な嘴を入れて顰蹙を買っている。それに対して上記二人の作品は従来の韓国の独断的歴史認識を離れ、客観的であり、至極穏当な表現である。どうしてこのような変化が現れたのかに関心があり、両者の経歴を調べてみた。
 
 金氏は1963年全羅南道光州の生まれで、サレジオ高校を卒業し、80年に光州民主化運動で市民軍に参加し、全羅道庁に籠城し、後に国家有効者として顕彰される。82年ソウル大学物理学部に入学し天文学を専攻するが、歴史、政治、経済にも関心を持つ。89年以降「ハイテク情報」「ソフト・ワールド」の雑誌記者を経てフリーランサーとなり、95年に出版した「娼婦論」がベストセラーになる。96年より2年間オーストラリアに居住、帰国後「コスダック新聞」を創刊し編集主幹を務める。訳書にアインシュタインの「物理学の進歩」がある。
 
 他方呉氏は1956年済州島に生まれ、1983年来日し大東文化大学の留学生となる。その後東京外語大学の大学院修士課程(北米地域研究)を修了し、現在執筆の傍ら日韓文化協会理事、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター主任研究員となっている。著書に「スカートの風」正・続・新(三交社・角川文庫)、第5回山本七兵賞を受賞した「攘夷の韓国、開国の日本」(文春文庫)など多数ある。
 
 以上二人の経歴をみて共通点は、韓国を離れて外国に居住した経験があることである。理科系と文化系の違いがあるにせよ、海外に出て自国(韓国)の歴史と共に日本の歴史を合わせて見ると、やはり現在の韓国の歴史観はおかしいと思わざるを得なくなるようである。
 
 金氏は最近まで日本に来た事がなく、著書も韓国語のため翻訳者がいるが、原語の韓国内では青少年有害図書として発売が禁止されているらしい。このあたりは韓国の民主化も未だ未成熟と言わざるを得ない。これに反して呉氏は日本語も達者であり、図書も日本語で出版されているので、金氏のような被害はない。しかしそれだけ韓国では注目度が低いのかも知れない。
 
 金氏は著書の中で韓国の歴史認識が狂っている事の一部はアメリカの策謀かと疑っているが、確かに日本をアジアで孤立させることがアメリカの戦略であると言えよう。このためには日韓が本当に仲良くなってはアメリカは困るのかも知れない。しかし韓国が日本の反日勢力と結んで、挺身隊=従軍慰安婦といった誤った歴史認識を若者に植え付けているのは甚だ遺憾であり、金氏や呉氏のような解明派が現れたことは誠に喜ばしい次第である。あとは韓国がつまらぬ意地から自国の歴史を改竄するのではなく、過去は過去として冷静に実態を見つめ、賢明な未来を創造するよう考え方を変えることが重要である。


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