名古屋市立大学名誉教授、参議院議員である牛島正氏の題記図書新版が93年11月に有斐閣ブックスとして発行されている。大田区立図書館のリサイクル図書として入手したので、少し古いとは思うがそれ程変化はなさそうなので、我々として注目すべき点を紹介する。
*地方行政の目的は地域住民の生活水準の向上にある。
*地方自治は、個々の地方公共団体の財政力と行政能力によって支えられている。
*住民生活の内容は、時間的には生活必需時間、労働時間、移動時間、自由時間で、空間
的には住居、住環境、自然環境で規定される。
*地方行政の4つの役割
@ 住民の生活時間の充実に必要な財・サービスの供給
A 地域住民の生活の「場」を強固にするための基盤整備
B 環境権に関する住民間の利害対立の調整と規制。
C 社会福祉行政としての社会的弱者の保護
*予算編成の目的体系は5つの大分類に分かれる。括弧内は中分類を示す。
1.安全(都市災害、自然災害)、2.福祉、3.健康(健康、保健医療)
4.教育文化(学校教育、社会教育)、5.利便(公共交通、道路の整備)
*平成2年度決算ベースでは、国と地方の税源配分比率は65.2%対34.8%で凡そ2対1だが、
国と地方の事務配分比率は1対2と逆転している。
*国から地方へ3つの財政調整制度
@地方交付税制度:一般財源で、地域間の財政力格差の是正も図る。財源は決定済み。
A国庫支出金制度:特定財源で、地域の財政力は顧慮しない。財源は減少傾向。
B地方譲与税制度:分類上は一般財源であるが、上記二者の中間的制度で額は少ない。
*地方交付税算定の基本式
基準財政需要額−基準財政収入額=財源不足額=交付税額
*基準財政需要額は行政サービスを22項目に分類し、核項目毎に数値を算定し、それに
全国一律の単位費用(人口10万人、面積69平方キロの都市を標準としている)と地域に
よる補正係数(人口、面積、地形、気候等を考慮)を掛けて求める。
*基準財政収入額は地方税に対し、都道府県では80%、市町村では75%と設定して
いる。従って税収の少ない所ほど交付税は多くなり、地方税と合算すると税収の多い所
との差が少なくなる。
*現行地方税体系のもとでの国から地方への税源の移譲は、地域間の財政力格差をます
ます拡大させることになるとして警戒する声が大きい。
*財政力格差は主に産業で生じる。従って市町村は個人関係の税を主体にし、産業関係の
税は都道府県や国にするように税制を変えれば、市町村の財政力格差は少なくなる。
*又中央集権、東京一極集中による地方の格差拡大を強調している。地方からみた見方と
して格差拡大に関する警戒心は留意する必要があろう。
*一方行政能力に関しては、可成りの格差が存在するが、民間と違って、能力の数値的測
定を種々試みたが、満足すべき結果は得られていない。しかし今後の重要課題である。
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