コラム


65    科学的調理法
更新日時:
2003/03/14 
大田区嶺町文化センターでキッチンサイエンスクラブの公開講座「食と健康の科学」を、早大名誉教授小林寛氏を講師として、2月18日、25日、3月4日のそれぞれ14時から16時まで受講する機会があった。従来調理というと家内まかせであったが、今後調理を実践するために、まずは得意の理屈から入ることにしたので、その要点を以下に纏めてみる。
 
1.適温調理法 三つの原則
 
 1)香を逃がさず料理に凝縮させる。(沸騰は不可)
   香をよくすれば美味しい料理が作れる。沸騰させると香が外へ逃げてしまう。
   適温調理なら、香を最大限に活かした美味しい料理を作ることができる。
 
 2)食材ごとの最適調理温度と調理時間を守る。
   食材は、100℃の熱湯の中でなければ火が通らないわけではない。味も香も食感
   も、すべてを美味しく調理するには、食材毎の最適調理温度と時間を守ることが
   最大のこつである。
 
 3)味は冷めるときに染みこむという性質を利用する。
   味はゆっくりと冷めるときに染みこむものである。又温度が上がって行くときは、
   味は食材のなかから染み出して行く。この基本を元にすれば、味付けの方法が変
   わってくる。
 
2.食材による最適調理温度と調理時間
 
  食材分類   最適調理温度   調理時間
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  魚・肉 類   70〜80℃    10〜15分
  根 菜 類    90℃前後    15〜30分
  葉 菜 類   80〜85℃     2〜3分
  穀類(米・豆)  90から100℃  レシピ参照
  練り物 類   75〜80℃     5〜10分
  ゆ で 卵    90℃以上     10分
  半熟(温泉卵)  65〜70℃    15〜20分
 
尚小林教授の発明した博士鍋は保温力に優れ、適温調理に向いている。
又従来料理法には誤解が多いが、肉やイカも半熟状態にすると、レアの状態より美味
しくなる。
肉をフライパンで焼く場合には、箸で突いて固さの加減を見る。早く蓋をすると変
な匂いがつくので、ジューッという音が消えてから蓋をして保温力を上げて保温する。
香と半熟状態を大事にする。
 
3.温度管理の方法
 
 1) 平均温度計算法
   常温を20℃とし、常温でMgの具を、Wgの水を沸騰させた100℃の熱湯の中に入れる
   と、平均温度がT℃となる、とすると次の等式が成り立つ。
         W×100+M×20=T(W+M)
    従って T=(100W+20M)/(W+M)
    W/M=Aとすれば上式は
         T=(100A+20)/(A+1) となる。
    そこでA=2即ちW=2Mとすれば、T=220/3=73.3℃となる。
        A=3即ちW=3Mとすれば、T=320/4=80℃となる。
    すなわち、あらかじめ具の重量に対して水の量を決めておけば、沸騰後火を止
    めて具をいれて保温冷却した時の平均温度が計算で求められる。
 
 2) ランニング・キャッチ法
   具の寸法が大きい程、弱火にした方が具の中に熱が通る。その代わり時間をかけ
   る必要があるが、沸騰がおきたら火を止める。大体の感じは次の通り。
 
    具の寸法   火加減    煮立つ迄の時間
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
     3cmΦ    中火       4分
     4cmΦ    中火の弱    8分
      5cmΦ    弱火      12分
     6cmΦ    とろ火     16分
 
4.美味と健康の関係
 
  健康を保つためには食事、運動、休息(睡眠)の三つが大切である。この中の食事であ
  るが、考えてみると料理を作るのは人間だけで、動物は皆生で食べている。これが一
  番健康的である。というのはミネラルが重要であり、煮るとこれが壊れてしまう怖れ
  がある。ミネラルを豊富にするには、野菜や肉をあまり煮ないこと、最小限に火を通
  すことであり、美味を追求する適温調理はミネラルの面からも重要である。
 
 
参考文献:キッチン革命−適温調理が料理の常識をくつがえす−
       村上信夫監修、小林寛、小林正恵共著、株式会社文英堂刊.
 
 
 
 
 


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