大田区嶺町文化センターでキッチンサイエンスクラブの公開講座「食と健康の科学」を、早大名誉教授小林寛氏を講師として、2月18日、25日、3月4日のそれぞれ14時から16時まで受講する機会があった。従来調理というと家内まかせであったが、今後調理を実践するために、まずは得意の理屈から入ることにしたので、その要点を以下に纏めてみる。
1.適温調理法 三つの原則
1)香を逃がさず料理に凝縮させる。(沸騰は不可)
香をよくすれば美味しい料理が作れる。沸騰させると香が外へ逃げてしまう。
適温調理なら、香を最大限に活かした美味しい料理を作ることができる。
2)食材ごとの最適調理温度と調理時間を守る。
食材は、100℃の熱湯の中でなければ火が通らないわけではない。味も香も食感
も、すべてを美味しく調理するには、食材毎の最適調理温度と時間を守ることが
最大のこつである。
3)味は冷めるときに染みこむという性質を利用する。
味はゆっくりと冷めるときに染みこむものである。又温度が上がって行くときは、
味は食材のなかから染み出して行く。この基本を元にすれば、味付けの方法が変
わってくる。
2.食材による最適調理温度と調理時間
食材分類 最適調理温度 調理時間
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魚・肉 類 70〜80℃ 10〜15分
根 菜 類 90℃前後 15〜30分
葉 菜 類 80〜85℃ 2〜3分
穀類(米・豆) 90から100℃ レシピ参照
練り物 類 75〜80℃ 5〜10分
ゆ で 卵 90℃以上 10分
半熟(温泉卵) 65〜70℃ 15〜20分
尚小林教授の発明した博士鍋は保温力に優れ、適温調理に向いている。
又従来料理法には誤解が多いが、肉やイカも半熟状態にすると、レアの状態より美味
しくなる。
肉をフライパンで焼く場合には、箸で突いて固さの加減を見る。早く蓋をすると変
な匂いがつくので、ジューッという音が消えてから蓋をして保温力を上げて保温する。
香と半熟状態を大事にする。
3.温度管理の方法
1) 平均温度計算法
常温を20℃とし、常温でMgの具を、Wgの水を沸騰させた100℃の熱湯の中に入れる
と、平均温度がT℃となる、とすると次の等式が成り立つ。
W×100+M×20=T(W+M)
従って T=(100W+20M)/(W+M)
W/M=Aとすれば上式は
T=(100A+20)/(A+1) となる。
そこでA=2即ちW=2Mとすれば、T=220/3=73.3℃となる。
A=3即ちW=3Mとすれば、T=320/4=80℃となる。
すなわち、あらかじめ具の重量に対して水の量を決めておけば、沸騰後火を止
めて具をいれて保温冷却した時の平均温度が計算で求められる。
2) ランニング・キャッチ法
具の寸法が大きい程、弱火にした方が具の中に熱が通る。その代わり時間をかけ
る必要があるが、沸騰がおきたら火を止める。大体の感じは次の通り。
具の寸法 火加減 煮立つ迄の時間
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3cmΦ 中火 4分
4cmΦ 中火の弱 8分
5cmΦ 弱火 12分
6cmΦ とろ火 16分
4.美味と健康の関係
健康を保つためには食事、運動、休息(睡眠)の三つが大切である。この中の食事であ
るが、考えてみると料理を作るのは人間だけで、動物は皆生で食べている。これが一
番健康的である。というのはミネラルが重要であり、煮るとこれが壊れてしまう怖れ
がある。ミネラルを豊富にするには、野菜や肉をあまり煮ないこと、最小限に火を通
すことであり、美味を追求する適温調理はミネラルの面からも重要である。
参考文献:キッチン革命−適温調理が料理の常識をくつがえす−
村上信夫監修、小林寛、小林正恵共著、株式会社文英堂刊.
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