道州制の実現は地域主権の確立と地域経済の活性化につながるが、同時に国と地方の700兆円に及ぶ超大型負債による経済破局を避けるための歳出削減を可能とする。PHP研究所の報告による歳出削減額とその内容を以下紹介する。
1) 地方公共団体合併による歳出削減額14.6兆円
地方公共団体の1人あたりの歳出は、人口が少ないほど多くなる。ただし面積が増えると多少歳出が増えることも考慮する。そこで現在の都道府県を合併して12州とし、全国3300の市町村を合併して15〜35万人、都市部では40〜45万人規模の257府に再編成する。
具体的には「都道府県・都市の各項目における費用関数」をもとにシミュレーションを行うと、合併による歳出削減額は、府県で約3.4兆円、市町村で約11.2兆円となり、合計約14.6兆円となる。12州の中では九州が2.14兆円と最高である。
これは現在の地方公共団体の規模が小さすぎ、行政サービスの非効率性が顕著に見られるので、単に合併しただけで地方政府のスリム化が期待できることを示している。
2) 地域主権の確立に向けた役割再編効果は35.9兆円
国と地方の役割再編とそれに伴う行政改革が行われると、大幅な歳出削減効果がある。
2.1 国:16.3兆円
役割再編を通じて、国の財政規模は1999年度の89.0兆円から42.4兆円(2010年度)となり、46.6兆円縮小する。その内30.3兆円は制度改革に伴うもので、地方交付税制度の廃止に伴う交付金13.1兆円と公的債務共同管理機構創設に伴う国債費17.2兆円である。
役割再編によるネットの歳出削減額16.3兆円の内訳は下記の如くである。
−13.0兆円 公共事業関係費 (国の公共事業廃止による削減 −6.5兆円)
(国庫支出金廃止による削減 −6.5兆円)
− 2.7兆円 社会保障関係費 (国庫支出金廃止による削減 −11.3兆円)
(老人福祉を除く社会福祉サービスの移管
−2.26兆円)
(生活保護の国庫負担の増加 +0.69兆円)
− 2.1兆円 その他の歳出 (国庫支出金廃止による削減等 − 2.1兆円)
+ 1.4兆円 文教・科学振興費 (義務教育の国負担の増加 + 5.41兆円)
(義務教育の効率化 − 2.27兆円)
(国立学校の法人化による削減− 1.73兆円)
2.2 地方政府:19.6兆円
役割再編により、地方政府の財政規模は1999年度の109.9兆円から72.6兆円(2010年度)となり、38.6兆円縮小する。その内合併による歳出削減効果は14.6兆円であり、地方の役割再編によって達成される効果は24兆円である。但し、従来国庫補助金の出ていた生活保護と義務教育の4.4兆円は、国に役割再編されたので、これを除くネットの削減効果は19.6兆円となる。
その内訳は下記の通りである。
− 0.35兆円 都道府県:土木費削減(公債発行抑制)
− 0.69兆円 市町村:生活保護費の廃止
−10.12兆円 市町村:土木費の廃止
− 5.41兆円 市町村:義務教育費の廃止
− 0.38兆円 都道府県・市町村:大学の学校法人化
− 2.61兆円 都道府県・市町村:各種交付金廃止
− 0.04兆円 東京都・大阪府:市町村府議会廃止
尚国庫支出金重複額4.4兆円の内訳は次の通りである。
− 1.38兆円 生活保護に対する国庫補助金
− 3.00兆円 義務教育に対する国庫補助金
3) 総括 合併と役割再編で歳出削減額50.5兆円
上記削減額を合計すれば50.5兆円となるが、これはあくまでPHP研究所の州府制に基づく推計である。しかし之により累計債務は減少傾向に向かい財政再建が可能となる。
参考文献:政策提言 「地域主権」の確立に向けた7つの挑戦
−日本再編計画2010−
2002年5月 「実効ある地域主権」研究プロジェクト PHP総合研究所
尚上記提言はPHP総合研究所のHPに提言編があるが、本編を含めて約150頁の報告書を同研究所より送って頂いて調べたものである。
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