コラム


74    日本の危機の本質は官制経済体制
更新日時:
2003/08/27 
 現在の日本は、バブル破裂後のデフレ経済に悩み、他方大幅な財政赤字により危機的状態に陥っている。末尾の参考文献に示す故石井紘基議員の調査によれば、この30年間に亘ってわが国に浸透し、遂に体制を支配するに至った"官制経済"のシステムこそが日本が直面する危機の真の原因である。
 
 官制経済体制とは、中央集権、官僚制、計画経済、そして国民には見えない閉鎖財政を基本構造とする国家の類型である。官制経済体制の下では、基本的に経済は権力に従属するため、本来の経済の土壌である市場は失われてしまう。
 
 従って構造改革の最も重要な項目は、国家体制を官制経済から市場経済へ移行させることであり、経済を権力の浸蝕から解放し、市場のものとすることである。つまり政府は行政を主とし、事業から撤退することである。
 
 利権を本質とする官制経済体制を形成する要素は次の四つである。
@行政が「公共事業」及び「経済振興」を展開する"政策"
A開発法、振興法、整備法、事業法、政省令、規則、許認可などの"法制度"
B補助金、特別会計、財政投融資で構成される"財政制度"
C特殊法人、公益法人、認可法人など官の企業群を擁する"行政組織"
 以上の四本柱はすべて各省庁の所管となり、それぞれに連なる政治家がいて、政治力により機能する。これが日本の官制経済のトータルシステムである。ここで政治家達が笛を吹き、「景気対策は税金をばらまくもの」「経済は政府の政策と予算で支えるもの」という誤った原理主義を普及させ、これに学者、評論家、マスコミ、経済人までもが迎合している。
 
 その結果平成13年度予算でいえば、額面82兆円の一般会計予算は実質35兆円、しかも一般国民に行くのは僅か4.3兆円であり、特別会計や政府関係予算を含めた実質306兆円の予算のなかで、実に302兆円+財政投融資が特殊法人の手先となった政官財の強者共にばらまかれている。
 
 結局日本の経済は、国と地方と合わせて国民の税金と貯金、更に年金等の保険積立金など350兆円を上から流し込んで消費しているだけで、市場特有の拡大生産機能によって生み出される果実はないに近い。つまり経済価値を創出する市場が死亡状態となり、回復不能の、借金が借金を呼ぶ財政破綻構造に陥っている。その挙げ句、素人の目には見えにくいが、本当の借金は1000兆円をも超えてしまっている。
 
 官制経済の具体的な姿を若干例示してみる。まず政府系の金融は全民間の1.25倍の規模に達しており、不動産事業の11%は官企業が独占している。日本道路公団は世界一のゼネコンで、子会社は儲かり、公団は大赤字。都市整備公団は世界一のデベロッパー、住宅金融公庫は世界一の住宅ローン会社、年金資金運用基金は論理無茶苦茶な財テク集団、公共の宿など余計なものを作る簡易保険福祉事業団、455億円もの無駄なホテルをつくる雇用・能力開発機構、水ももらさず収奪する水資源公団、巨額の不良債権を抱える石油公団など国民のメリットは何一つない。この他利権に利用される公益法人、曖昧な認可法人もあり、地方公社も国の相似形である。公共事業も借金で政府が独占し、高速道、港湾、空港、農道、ダムと巨大な無駄をつづけている。
 
 更に驚くべき事実として、殆どの産業が官制経済に支配され、例外は自動車、電機、機械産業くらいなものと言われる。又少子高齢化の影にかくれているが、就業人口が、経済的でない部門で全人口の27.7%も占め、経済を担う部門には21.5%しか就業していないという。まともな市場経済の国では、経済的でない部門は15%、経済を担う部門は40%くらいという。つまり経済を担う部門の人口を現在の2倍近くにする必要がある。
 
 以上徹底的な地方分権を含めて、中央集権、官制経済体制を打破して、健全な市場経済に戻すことが構造改革の眼目となるべきであり、小さな政府で自立する地方を目指す道州制の推進は有力な一翼を担うものといえよう。
 
参考文献:「日本が自滅する日」石井紘基著 PHP研究所 02-01-23
       副題「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!
 


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