今日の日本は、多くの人が何となく危機的で未来も暗いと感じている。その原因は政治や政治家が問題だと感じているが、ではどうしたらよいかと言う点になると半数以上がわからないという回答となり、道州制などに関心のある人は約1/3程度である。
たまたま現在自民党の総裁選をやっているが、小泉首相が、国から地方へ、官から民へ、という構造改革を進めようとしている。これに対して他の3人がいずれも、地方の景気が悪いから財政出動が必要だと構造改革にブレーキをかけようとしている。しかしもともと今日の危機は、国家財政が異常に膨張して借金づけになったことによって発生しているものである。
常識的に言って「良い社会」とは「創造的で生き生きとした安心できる社会」であろう。そこでは第一に国民一人一人が自立して自己責任の原則に立つことが前提であり、無責任なぶら下がりは根絶することである。第二には自立した個人が充分に活躍できるように、無用な規制を撤廃した新しい国のかたちを創り出すこである。
現在日本は現在、近未来、未来と時系列的に三つの危機に襲われている。
@現在の危機:現在の日本は税収42兆円なのに700兆円の借金を抱えている。これは月収42万円でボーナスのないサラリーマンが8400万円の借金をしているようなもので、世界に例をみない高額の借金であり、郵便貯金をはじめとして国民の財産を食い尽くしている。従って何等かのきっかけで悲劇的な破産状態に陥り、国民がすっからピンになる危険を抱えている。
A近未来の危機:現在の年金制度は、現役世代が高齢者を支える形になっている。従って少子高齢化と共に、今まで通りにはやっていけなくなり、国民年金等の保険料の支払い率も大幅に低下し、老後が暗くて安心できないものになりつつあるので早急に対策が必要である。
B未来の危機:93年頃まで世界一だった国際競争力がみるみるうちに急低下し、今や30位になってしまった。日本がバブルの崩壊でおたおたしているとき、世界は東西冷戦の終結と共に、社会主義体制が崩壊し、グローバルに市場経済体制となった。ところが日本は政府、特殊法人の無責任な出鱈目経営で、厳しい市場経済にそっぽを向いていたため、実力が急低下し、このままではやがて貿易赤字となり、資源不足による一大生活難に陥ると予想される。
以上のような経済危機を克服するには、日本の構造を根本的に改革する必要があり、相互に関係はあるが、次の二つの国家戦略が決め手になると思われる。
[1] 道州制 (国から地方へ)
中央政府は、国防、通貨、外交を主とする小さな政府とし、その他の内政面は地方にまかせる。一般行政は全国を300程度に再編した「市」が担当し、府県を合併して全国を12〜13の道州として広域行政を担当する。合わせて税源も移譲し、地域主権型行財政システムとして、各地域が特色ある発展を目指す。この再編成で50兆円も歳出が減少でき、又利権政治や無駄な公共投資をなくすことが出来、必要な人材の養成を含め、住民のニーズに応じた実質的な地方自治が実現できる。
[2] 民主導市場経済体制 (官から民へ)
借金で首が廻らなくなったり、国際競争力が急低下したのは、バランスシートもなく、生産性や経営を無視した官制経済がはびこり過ぎた為である。郵政や道路公団をはじめ、官制経済は全て見直して、廃止するか民営化で処置し、民主導の市場経済体制を構築すれば、長期的に国際競争力を回復することは疑いない。又社会保障も賦課方式は好ましくなく、又国が過大な金額の保険を運用するのは経営能力的に甚だ危険である。従ってナショナル・ミニマムの基準のみ国が決め、実施は税方式で地方で行うこととし、それ以上の保険はそれぞれが自己責任で民間で行うことが将来の安定につながる基本的な考え方となろう。
国のあり方を道州制にして民主導の市場経済体制にすれば、財政危機は解決に向かい、社会保障も安定し、国際競争力も回復して明るい未来を創り上げることが可能となる。このような常識を広めてゆけば、官僚と利権政治家に屈することなく構造改革に成功するであろう。
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