今回の総選挙で、民主党は政権交代を訴え、政権政策としてマニフェストを作成し、各党にさきがけて発表した。この動きは、従来の選挙公約がスローガンだけだったのに対し、ある程度政党が何を考えているか、有権者にも分かるようになったという意味で歓迎すべきことである。
これに対して自民党は、政権公約2003として小泉改革宣言を作成し、従来の主張を体系的に整理し、七つの宣言という分かり易い形で公表した。
この他、与党の公明党、保守新党、野党の共産党、社民党もそれぞれマニフェストを発表した様であるが、道州制に関して賛成しているのは保守新党のみの様である。しかし保守新党は今や勢力が小さいので、実質的に二大政党である自民党と民主党に限り、内容を主として道州制推進の立場から検討を加える。
まずマニフェストの分かり易さという点では、自民党の小泉改革七つの宣言は、善きにつけ、悪しきにつけ、今後の国のあり方という観点から大変分かり易い。これに対して民主党のマニフェストには、菅直人から国民の皆さんへ、「脱官僚」宣言5つの約束、2つの提言、民主党ビジョン、「新しい政府」の確立に向けて、政権の樹立と新政府展開:4つのステージ、マニフェスト−私たちは国民のみなさんにお約束します、と色々な事が書いてあり、一瞬分かり難い感じがする。むしろ「民主党ビジョン」を中心としてメリハリをつけた方が良かったのではないかと思われる。
道州制推進連盟ではかねてから、短期的には財政再建、中期的には社会保障の改革、長期的には国際競争力の強化を訴え、官主導の経済を民主導に改め、道州制によって地域主権の実現をアピールしているが、そのような観点から両党のマニフェストをチェックしてみる。
自民党は、宣言3 行政のムダをはぶき、簡素で効率的な政府を目指しますとして官から民へ、行政の役割を変える、国から地方へと従来の主張を展開しているが、特に国から地方へでは、1「三位一体改革」による地方分権の推進、2.地方行革の徹底(地方の構造改革)、3.「地域の再生」、4.道州制導入の検討と北海道における道州制特区の先行展開をあげ、やや不充分ながら道州制への展望を伺わせる。更に「行政の役割を変える」ところで、公的部門をリストラし、公的債務を削減、公務員制度改革法案を2004年の国会に提出、など当面の財政再建に必要な政策を提示している。
自民党は宣言1で「安心できる社会保障制度を」として年金・医療・介護を抜本改革するとしているが、内容的には充分詰め切れていない感がある。又宣言4で「思い切って経済を活性化させます」の中で各種政策が挙げられているが、国際競争力の強化に対しては、直接的ではないがある程度の効果は挙げられるであろう。
民主党はマニフェストの3.「自立力」をもった活力に輝く地域を創造しますの中で、「自治と地域の経済力を培い、道州制も展望した「分権革命」を推進します」と述べている。国の補助金18兆円を廃止し、とこの点は自民党より進んでいるが、公的部門のリストラには触れず、国家公務員の人件費削減も4年間で1割以上を目標にする程度で、官公労に配慮してか、「官から民へ、国から地方へ」という自民党の主張に比べると腰が引けている。更に10年〜15年をめどにして実質的な借金増をストップさせることを目指した「財政再建プラン」を平成18年度予算編成開始までに策定するというのにはいささか失望した。
年金問題に関してはマニフェスト4で「若者からも信頼される安心の年金制度を作ります」と主張しているが、自民党より進んだ面もあるが内容的にはやはり詰め切れていない。又国際競争力の強化に対して、マニフェスト1で「知的財産権強化」に取り組むとしているが、果たしてそれだけでよいのか疑問が残る。
以上両党とも現段階ではまだ問題が多いが、僅かであるとはいえ、道州制の展望が表に顔を出したという点は評価すべきであろう。
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