イラクの人道・復興支援に自衛隊を派遣する問題に関して、議会では、衆議院では野党が審議拒否をして与党の強行採決となり、参議院では昨日ようやく賛成多数で可決した。
イラクへの自衛隊派遣に対して、一国平和主義の幻想に浸っている共産党、社民党の反対は論外として、民主党の反対は主として国連で決まっていないのに、米国一国に追随するのは反対という立場であったように見える。
たまたまフランスとドイツがイラク戦争に反対の立場をとったが、アメリカに同調してイラクに軍隊を送った国は35ヶ国にのぼると言う。お隣の韓国でさえ送っており、アメリカとイギリスだけがやっている訳ではなく、EUの中でもスペイン、イタリアをはじめ多くの国が参加している事実を無視してはいけない。
私がこの問題を取り上げた理由は、日本の進路を論ずるのに、国連一辺倒か米国追随かというジャーナリズムの取り上げ方が問題であるということである。外交問題に対しては飽くまで日本の国益中心であるべきてであり、それがたまたま国連と一致する場合もあり、米国と一致する場合もあると言う事に過ぎない。しかもどんな問題でも、国益の観点からメリットとデメリットの双方がある。それを比較検討してメリットの大きい方を選ぶのが普通の独立国家のあり方であろう。
そのような議論が全然行われず、自衛隊の派遣は憲法違反である、派遣すればテロの対象となる、アメリカのいいなりになるのは面白くない、大量破壊兵器が見つかっておらず、イラク戦争は大義なき戦争であるのでそれに参加すべきでない、等々見当違いな議論で国会の議論、即ち税金の無駄遣いが行われている。現実の世界は綺麗事では収まらない。国連にしても冷戦時代は一体何をしていたのか、日本を敵国とする条文を未だに温存して、しかも日本から多額のカネを受け取っている。アメリカにしても地元民を制圧して建国以来、対日戦争もそうであったが、自国の利益に反するものは徹底的にやっつけるということで過ごしてきた国であり、国連にしても米国にしても何でもいいなりになるべきではない。要するに自衛隊の派遣は国益の為であり、どのような国益があるかもっと明確にすべきである。
たまたま参議院では地方分権と関連して道州制の議論をしていた。権限を移譲すれば当然責任を伴うことになる。所が権限は欲しいが経済的自立の責任はとれないので政府で何とかしてくれという風にとれる発言が見られる。つまりどうやって自立するかという基本的問題に何ら挑戦せず、アメ(地方交付税)が出るから市町村合併するというような本末転倒の動きがある。
これに対して政府の態度も問題である。すなわち中長期的な計画なしに、方向だけ示し、あとは問題があったら言ってこい、という小泉総理一流の態度で、地方分権に関連して中央政府はどのように変えて行くかというイメージを一向に示さない。今の補助金制度、地方交付税制度がいかに政府及び地方自治体にとって有害であり、そのため借金がべらぼうに増えてしまった事に対し、何ら反省の念が伺えない。
イラクへの自衛隊派遣問題と道州制問題とは一見無関係であるが、普通の独立国の当たり前の考え方ができていないという面で共通している。やはり戦後敗戦国体制を引きずり、敗北主義イデオロギーに犯されてきたことが今日の苦境を招いていることを痛感する。どのようにしてこのような体制、イデオロギーから脱却するかが重要な課題であろう。
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