この2週間、森首相の退陣に伴う自民党の総裁選が行われ、朝から晩までテレビもフルに活用して、麻生太郎、橋本龍太郎、亀井静香、小泉純一郎の4候補の論戦がにぎやかに行われた。そして当初の予想に反して、自民党の危機感を訴え、変人とあだ名された小泉氏が、まるで月光仮面の如く、地方から地滑り的な共感を呼んで、最大派閥の橋本元首相を抑えて当選してしまった。そして本日山崎幹事長、麻生政調会長、堀内総務会長の党三役を決め、明日の首相指名選挙に臨むことになった。
従来の自民党は派閥中心の運営で、従って当初は最大派閥の橋本派が誰を推すかがポイントであった。なかなか候補者が決まらず、ぎりぎりになって会長の橋本氏が立候補することになった。早速加藤派から分かれた堀内派がこれに擦り寄り、江藤・亀井派から亀井氏が立ち、若手に推されて河野派から麻生氏が立った。既に2回総裁選で敗れている小泉氏はやや躊躇していたが、ここで出ないと卑怯になると言って、ぎりぎりになって森派を出て、無派閥で立候補することになった。
最近は各地の知事選で自民党推薦候補が敗れており、今回の総裁選の初期にも、秋田県知事選挙で村岡総務会長の子息が自民党から立候補して敗れるということがあり、参議院選挙を控えて自民党としてはかなり深刻な危機感に襲われていた。
今回立候補した4名の内、麻生氏は福岡、亀井氏は広島、橋本氏は岡山が選挙区であり、小泉氏のみ東の神奈川である。前3氏はどちらかというと従来路線で景気回復優先を称えていたが、小泉氏のみ構造改革優先を強調していた。結局派閥政治を打破し、自民党を変え、日本を変える、と変革を強調した小泉氏が時流に乗り、地方の予備選で圧勝し、これを見て亀井氏が本選から降りて小泉支援となったため、本選の1回目で小泉氏298票、橋本氏155票、麻生氏31票となり、小泉氏が過半数を抑えてしまった。
小泉氏本人も予想外のため、責任の重さから重圧感を訴えているが、地方票も党員の6割を占める職域組が橋本派であるため、橋本氏が有利とみられていた。しかし各都道府県それぞれ3票として、橋本氏15票、亀井氏3票、麻生氏0票に対して小泉氏123票と圧勝したのは、永田町と世間とは感覚が違い、党員と雖も世間一般の風とは無縁でなく、完全に永田町の思惑が外れた好例である。
小泉氏は派閥政治の脱却を訴え、これを無派閥の田中真紀子氏が応援し、人気がますます高まった。人気が高いのは結構だが、現実に構造改革がどのような構想に基づくものであるか未だ明らかではない。従ってどのような手を打ってくるのか分からないが、ただ改革と喚いているだけでは実効が上がらない。又永年の主張である郵政3事業の民営化は平成15年以降に検討開始とやや後退した感があるが、規制緩和による官から民への動きはもっと急いでやるべきであろう。そこで郵政族議員の橋本派の抵抗をどう抑えるかが腕の見せ所となる。
ラジオかテレビでちらと聞いたが、道州制に関しては1年間調査して結論を出すと言っていたようであるが、これだけ中央集権が制度疲労を起こし、利権政治の弊害が叫ばれているのに、小泉氏を含めて誰一人として地域主権による地域活性化について抱負をもっていないのは情けない限りである。もっともこの点は野党も同じで、ただ自民党に対決するだけでは有権者にとって何らメリットがない。
日本ではバブルの崩壊と重なったため、冷戦の終結による世界の大きな変化にややというか全く鈍感である。今やグローバル化の時代であり、IT革命と共に、世の中はすっかり変わってしまった。徒に安定を求めたり、農業や中小企業の弱きを助けることは不可能になりつつある。やはり世界と競争して勝たなければ存在価値がない時代になってしまった。徒に過去ののんびりした時代を追憶しても、もはや未来に対して何の役にも立たない時代となってしまったようである。ここの所の歴史認識を誤ると、打つ手はことごとく外れることになる。要するに島国根性を如何に克服するかという基本的な問題に、政治家も真正面から取り組んでいかないと、取り返しのつかない失策をすることになるであろう。
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