コラム


94    新たに拡張する中国経済をどう視るか?
更新日時:
2004/08/27 
 
 末尾記載の日本工業倶楽部産業講演会講演要旨を読んで、在日中国人の意見であるが成る程と思う点が多かったので、六つの問題点について要点を記す。
 
1.中国経済を見る三つの視点
@バランスの視点:光と陰の部分の両方を複眼的にみておかねばならない。
Aビジネスの視点:市場と工場と両面から複眼的にみておかねばならない。
Bグローバルな視点:中国と欧米を複眼的にみておかねばならない。
 
2.新たな拡張期に入る中国経済の三つの特徴
@経済規模の拡大は加速状態に入り、2020年に日本、2050年に米国を抜く。
Aデフレが収束し、インフレ傾向が現れつつある。
B市場規模も拡大加速状態にあり、日本を上回り、輸入規模も世界三位になっ
  ている。
 
3.中国市場、注目すべき三つの人口数字
@5億2千万人:都市部人口で、日本、アメリカ、ドイツ三国の人口に相当する。  A3億人:三大成長エリアの人口で、富裕層が大量に出ている。
B5千万人:個人資産十万ドル以上を持つ富裕層の人口数字である。
 
4.中国経済元気の秘密(強さと弱さ)
4.1 中国経済、強さの秘密
@競争メカニズムの導入−「ワーストワン淘汰制」:6ヶ月毎の業績評価で「要改
  善」という評価を二回連続すると首。(毎年5%位の従業員を首にしている)
A幹部の若返り:40代、30代の方が経営トップに就任、若返りが急速に進む。
Bバナナ族の台頭:欧米留学組から産官学各界の主要人材が多く出ている。
C産学連携の進展:昨年末で6000社以上で日本より10倍以上進んでいる。
4.2 中国経済の三つの弱点
@バブルの懸念−三つの過熱:不動産投資、銀行貸し出し、マネーサプライの
  過熱。 
A不良債権問題:不良債権のGDPに占める比率は日本の3.6倍で20.6%に達す
  る。 金融リスクに留意する必要がある。
B腐敗の蔓延:人脈社会としてスキャンダルに巻き込まれない様細心の注意要
  す。
 
5.人民元の切り上げ、切り下げの見通し、
@人民元の切り上げは自分の判断で行い、年内の可能性が高い。
A切り上げの形式は変動幅の拡大、+−2〜2.5%の可能性が高い。
B2006年まで元高方向だが、WTO加盟の公約履行で中国市場が大幅開放さ
  れ、経常収支が赤字転落のおそれが出て、2006年に一つの山場を迎える。
C経常収支が赤字になると、元の切り下げが行われる可能性が高い。従って今
  後経常収支の動きを注意して見守る必要がある。
 
6.中国ビジネスの課題とキーワードは「情熱」と「冷静」
@中国の巨大市場をどう取り込むべきか?
A中国の低コスト構造をどう生かすか?
B中国の豊富かつ優秀な人材をどう活用するか?  
具体的対応はケース・バイ・ケースだが、情熱をもって取り組み、他方バブル懸念、不良債権問題、金融リスクには冷静な判断が極めて重要である。
 
参考文献:日本工業倶楽部第476回産業講演会講演要旨
「新しい拡張期に入る中国経済と日本の対応」
三井物産戦略研究所中国経済センター長 沈 才彬 氏 述


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