コラム


95    「ダ・ヴィンチ・コード」下巻を読み終えて
更新日時:
2004/09/10 
 
 末尾に記載した図書の概要は角川書店のHPにも記載されているが、本書は史上最大の謎の一つとされている、キリスト教の聖杯伝説に関するミステリー小説である。聖杯伝説に関しては既に1980年代からフランス、イギリスを中心にブームとなっており、このうち一番研究の遅れていたダ・ヴィンチの問題を正面に据えた物語が、ミステリー小説となって今回世界的ベストセラーになった本書という。大田区の図書館には36冊あるというが、全部貸し出し中で230人が待機中という評判で、やむを得ず下巻から読み始めた。上巻は上記HPから概要を把握した。
 
 下巻だけでも300頁以上あり、ミステリー小説として息もつかせぬ迫力であるが、形としては宗教象徴学専門のハーヴァード大学教授ロバート・ラングドンが、殺されたルーブル美術館の館長であり秘密結社シオン修道会の総長でもあったジャック・ソニエールに招かれたこともあり、その孫娘であるフランス司法警察暗号解読官であるソフィー・ヌヴーを助けて聖杯の秘密に迫る物語である。そこえ、イギリス人の宗教史学者、カトリックの保守的一派で修行の厳格なオプスデイやフランスの司法警察中央局がからんでややこしいスリルに富んだ物語が作られている。
 
 聖杯伝説の「聖杯」とは「サン・グリアル」で、「サング・リアル」とすると「王家の血」となる。聖杯伝説とはマグダラのマリアの物語で、娼婦とされているが、実はイエスと共に王家の血を引いており、イエスの妻であり、イエスの子供を宿し、イエスの死と共にフランスに逃れ、血統を残したとするものである。これが教会の反発を買い、シオン修道会、更にはその傘下にいたテンプル騎士団によって秘密文書として隠されたという。
 
 シオン修道会の歴代総長のリストがフランス司法警察によって発見されたが、その中には、サンドロ・ボッティチェルリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アイザック・ニュートン、ヴィクトル・ユゴー、クロード・ドビュッシー、ジャン・コクトーなどが名を連ねている。
 又テンプル騎士団、シオン修道会と関係があるとされているフリーメイソンのメンバーとして、ワーグナー、モーツァルト、ベートーベン、シェイクスピア、ガーシュイン、ディズニーなどの有名人の名前がでてくる。
 
 レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」「最後の晩餐」「モナリザ」等の絵には多くの謎が秘められているという。私自身1993年5月20日にミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会へ行き、旧ドミニコ派修道院の食堂で、レオナルドのフレスコ画「最後の晩餐」を直接見たが、汚らしい食堂の壁に描かれた傷んだフレスコ画にいささか驚いた記憶がある。当時は勿論イエスの他は12人の男の弟子とばかり思っていた。所が1999年に修復が終わった絵を本書で見ると、なんとイエスの右隣は女性であり、それがマグダラのマリアであるというので、これまた驚きである。
 
 ソフィーが祖父から貰ったものの中に次の詩を書いた羊皮紙があった。
        教皇の葬った騎士がロンドンに眠る 
        彼の者の労苦の果は神の怒りを被る
        その墓を飾るべき球体を探し求めよ 
        それは薔薇の肉と種宿る胎とを表す
 
 「薔薇の肉」と「種宿る胎」はイエスの子を宿した薔薇、即ちマグダラのマリアを明らかに示している。これを元にあちらこちらとラングドンとソフィーは聖杯を探し求め、テンプル教会、ウェストミンスター寺院、ロスリン礼拝堂などを周り、最後にルーブルで「聖杯探求の目的は、マグダラのマリアの遺骨の前で跪くことだ」と悟りを開いたようである。
 
参考文献:ダ・ヴィンチ・コード(下) ダン・ブラウン著 越前敏弥訳 角川書店
http://www.kadokawa.co.jp/davincicode/  2004年5月30日初版 1800円+税 大田フラウ 
      
 


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