異文化探訪記


Thursday, 12 April,2001    インドシナ物語
昨年末12月21日に日本を発って、インドシナ物語−ベトナム・ラオス・カンボジア 17日間というツアーに参加し、帰途中国の広州に一泊して本年1月6日に帰国した。昔仏領インドシナと言われたこの地域は、最近まで戦乱が続いていたので、私にとっては今回が初めての訪問であった。尚添乗員と地元ガイドが同行し、同行者は家内と共に12名であった。
 
 インドシナ半島もユーラシア大陸の一部であり、歴史は意外に古く、諸勢力が入り乱れて甚だ複雑である。地政学的に、古来北の中国、西のタイ・ビルマ・インド等の侵略を含めた影響があり、更に一時フランスの植民地だったこともあり、独特の文化を持っている。更にこの時期は気候的にも観光のベスト・シーズンであった。
 
 まずベトナム南部のホーチミン市(旧サイゴン)へ行き、ついで中部のダナン・フエ地区へ、更に北部の首都ハノイや景勝の地ハロン湾に行った。その後ラオスの首都ビエンチャンと古都ルアン・プラバンへ行き、大晦日にはカンボジアの首都プノンペン、次いでアンコール遺跡群に近いシェムリアップを訪れた。その後ホーチミンに戻り、広州に寄って帰国したが、年末年始とはいえ、あっという間の17日間であった。
 
 勿論各国、各地域でかなりの相違があるが、全般的には発展途上国であり、これからの国々である。それにしても今まで世界各地を旅行したが、この地域の食事は最高であった。中国風、タイ風、インド風、フランス風のミックスした味が日本人に向いていたのかも知れない。最初のベトナムが一番美味しかったが、ラオスの餅米も大変気に入った。更に各地とも果物の種類が豊富で味もよかった。市場でも食材は豊富でしかも安い。にも拘わらずラオスやカンボジアの平均寿命が94年の統計値では50才以下である。戦争の影響もあるが、貧困や医療の普及の問題があるのではなかろうか。
 
 ベトナムは3国の中では一番大きく、人口も7千万を超え、ラオスの5百万、カンボジアの1千万より断然多い。南北に細長く、活気のある南部、中世のチャンパ王国の雰囲気を残す中部、整然とした首都のある北部とそれぞれ全く異なる歴史を持ち、それでいて長期にわたる中国の侵略に対抗し、近年フランスから独立を勝ち取り、アメリカの卑劣な攻撃にも屈せず戦い抜いて統一した自信のようなものが感じられる。更に既存の世界宗教をすべて統合した派手な新興宗教カオダイ教、狭くて長いベトコンの地下トンネル、海上に奇岩が林立するハロン湾の絶景など誠に多様性に富んでいる。国民の勤勉性とねばり強さが今後の発展の推進力となるであろう。
 
 ラオスに入ると状況は一変し、沢山ある上座仏教のきらびやかなお寺と対照的に、町は静かで落ち着いており、名所旧跡を訪ねても物売りに纏われることもなく、悪くいえば活気に乏しいが、万事おだやかでゆったりしている。文字もベトナムのようにローマ字を使わず、カンボジア同様装飾的タイ式の文字で、漢字も殆ど見かけなくなる。未だに黄色い袈裟懸けの僧侶の托鉢もあり、若い修行僧をはじめ礼儀正しい応対も昔の日本みたいで大変心地よい。
 
 かつてクメール帝国としてインドシナ半島を制したカンボジアも、今は最盛時の1/8位に小さくなり、王宮は金ぴかで見事であるが、町には身体障害者や乞食が多い。又北部の密林から発見されたアンコール遺跡群の沢山の石造建造物も、かなり崩壊の危機にさらされている。ということでかなりアンバランスな感じを受ける。特に近年のポルポトの大虐殺の影響で、インテリ層の欠乏がダメージとして深刻であり、それらを克服しての堅実な復興を願ってやまない。
 
 ベトナムのホーチミン市には戦争証跡博物館があり、アメリカがベトナム戦争で犯した非道な戦争犯罪の証拠を展示している。又カンボジアのプノンペンの元刑務所では、ポルポトが当時の人口7百万の内、インテリとその家族3百万を殺害したと告発している。いずれも島国日本の常識では到底考えられない悪辣非道なことであるが、世界の現実として目をそむけてはならない。併せて被害国に同情すると共に一刻も早い立ち直りを祈るばかりである。
 
 尚いつも外地に出ると日本の物価の高さを痛感するが、今回も1ドルでシャツが買えたり、ビールの大瓶が買えたりした。ただこの地域でも米ドルが日常通用するようになっており、ドル圏が日本を通り越して拡大してきていることを実感させられた。
 

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