異文化探訪記


Friday, 29 June,2001    ドイツ北東部・歴史物語15日間旅日記その4
第4日目 5月25日(金) ブレーメン→ツェレ→ハーメルン
 
[ブレーメン]
 6:30に起床し朝食、荷物出しをして、予定より30分早く8:30に出発する。アウトバーンを約1時間半東南に走る。この間緑の森が多く、人家が殆ど目につかない状態で、自然の豊かさを満喫する。バスの中では添乗員が次の目的地ツェレに関連してハノーバ朝の由来を説明していたが、そういえば英国の現在のウィンザー朝はもともとハノーパ朝であり、一見犬猿の仲のようであるが、ドイツとイギリスには古来浅からぬ縁がある。
 
[ツェレ]
 10:00町の西北、裁判所の近くで下車し、以後町中を歩く。以前にも一度訪れたことのある町であるが、色彩豊かな木組みの家が建ち並び、中世の面影を色濃く残し、北ドイツの真珠と称されるのにふさわしい町並みである。
 
(ツェレ城)
 まず森の中のツェレ城の緑の広場の前に出る。1292年着工のブラウンシュバイク・リューネブルグ公の居城で、左側がバロック様式、右側がルネッサンス様式の美しい城である。現在もドイツ最古のバロック式劇場として使われているというが、パンフレットによれば、内部の部屋の装飾も大変美しい。イギリスのハノーバ王朝と同君だった由。
 
(ボーマン博物館他)
 ツェレ城の向かいにあり、北ドイツの農業・手工業機や、農民が生活に使用した品々を展示していて、北ドイツやツェレの歴史が目でたどれるという。この角を曲がって東にシュテッヒバーン通りに出ると、1530年に建ったライオン薬局の前に馬蹄があり、1471年オットー公が落馬して落としたものという。
 
(ツェレの市教会)
 その先に市教会がある。珍しくこの教会には日本語のパンフレットが置いてあり、細かい活字でぎっしり書かれているので、一寸読むのが大変である。この教会は1308年には記録されており、度々改築したのでゴシック、ルネッサンス、バロックの混合であり、1530年頃カトリック教会からプロテスタント教会に変わったようである。内部には歴代公爵家の墓があり、白色の会堂に金色の祭壇が引き立っている。
 
(木組みの家々)
 この町の特色は木組みの家がいくつもの通りにずらりと並んでいることであり、平均して3階建て位であるが、色彩的にも非常に綺麗である。勿論意識的に規制して景観を保っているものと思われる。中でもホッペナーハウスは屋根裏まで6階建てになるが、2階から少しずつ床がせり出し、3階、4階、5階、6階と少しずつ床が通りの方にせりだしているのが見える。これは1階の床面積で税金がきまるからだそうである。又ハイリゲン・クロイツ26番地には1526年に建てられた市内最古の木組みの家がある。といっても緑色に化粧して、とてもそんなに古いとは思えないようにまだ綺麗な家である。
 
(市庁舎)
 市庁舎はヴェーザー・ルネッサンス様式の、渋い色調ながら切妻が見事な13世紀の建物で、丁度結婚式が終わった所らしく、若いカップルが何か初めての共同作業をやっていた。
 以上でツェレの綺麗な所をつまみ食いしたような観光を終え、11:30バスでアウトバーンに乗る。ハノーバの周りをぐるりと迂回するような恰好で南西方向のハーメルンに向かう。
 
[ハーメルン]
 ドライブすること約1時間半、13:00ハーメルン旧市街西南端でヴェーザー川に面した四つ星ホテルのシュタート・ハーメルンに到着、直ちにチェックインする。ハーメルンは現在人口6万人、ニーダーザクセン州第2の町である。しかし歴史は古く、フルダ帝国がベネディクト派修道院を建てた西暦800年頃に遡る。
 この町の歴史で特に有名な「笛吹男の伝説」のもとになった事件が起こったのは1284年だといわれている。大発生したネズミを退治した笛吹男(ネズミとり男)に対して、町民が約束の報酬を出し渋ったために、今度は町中の子供たちが笛吹男の笛に誘い出されてどこかえ連れ去られたという悲しい話である。グリム童話の「ドイツの伝説」にあるが、当時流行ったペストや東方植民の話がもとになったのではないかと言われている。
 14:00食事を兼ねて徒歩で町に出かける。ホテルの北側の大聖堂は聖ボニファティウスをまつるミュンスターである。
 
(ネズミとり男の家)
 ハーメルンの旧市街の真ん中を東西に走るメインストリートのオスター通りに出る。その一番東の方の南側に、ヴェーザー・ルネッサンス様式の目立つ建物のネズミとり男の家があり、現在は老舗レストランとなっている。そこで昼食として名物料理「ネズミのシッポ料理」と称する豚肉料理を食べる。
 この家の西側の壁に伝説の物語が刻まれており、その壁沿いの路地がブンゲローゼン横丁と命名され、この路地を通って子供たちがネズミとり男の笛の音に誘われて連れ去られたということから、現在でもこの横丁で音楽の演奏は禁止されている。
 ガイドのライナーさんがきて、地図などいろいろプレゼントをくれ、以後オスター通りを案内してくれた。
 
(ライストハウス&シュティフツヘレンハウス) 
 オスター通りにはツェレ同様瀟洒な中世の建物が並んでいるが、これは1960年代初期に町として復興の一環として行ったものである。100mほど西へ行くと道路の北側に面して明るいサーモンピンクの建物が16世紀建造の豪商の館であるライストハウスで、ヴェーザー・ルネッサンスの傑作である。その隣の赤屋根と緑の木組みの家は市参事会員の館でシュティフツヘレンハウスと称し、ライストハウスと共に、現在ではネズミとり男の伝説と町の歴史を展示した博物館となっている。
 町のおふれ係りのおじさんが時々でてきて観光客に何やら耳打ちしていた。
 
(結婚式の家)
 さらに50mほど西へ行くと、やはり北側に大きな結婚式の家がある。1610〜1617年に市民の結婚式場、宴会場として建てられたヴェーザー・ルネッサンス建築の典型である。たまたま結婚式を終えた純白のウェディング・ドレスを着た花嫁と黒の背広姿の花婿のカップルが、玄関前の道路に出てきて、皆の祝福を受けながら、夫婦になって初めての共同作業として、二人してノコギリで薪を切り出した。いかにも森の民ゲルマンらしい習慣である。尚現在は戸籍役場、公文書館として使われている由。たまたま道路の南側では綺麗な衣装をつけた4人の楽士がクラシックを演奏していた。
 結婚式の家の西の広場側の壁には、大小様々な鐘が吊り下げられており、毎日午前の定時にこの鐘が次々に鳴り響いて、「ネズミとり男の歌」と「ヴェーザー川の歌」のメロディーを奏でたり、午後の定時にはこれに仕掛け時計の人形劇が加わる。この時刻になると正面中程の扉が開き、回り舞台が現れて、笛を吹く男やネズミ、それに子供たちの人形が右から左へと回転してゆく。最後に登場する目の不自由な子、言語障害の子の人形だけが逆向きに動いて姿を消すと、ゆっくり扉が閉まり、物言わぬ人形の単調な動きが話の不気味さをより一層強めている。たまたま15:35にこれを眺める事が出来た。建物前のテラスでは毎週日曜の12時から住民たちによるネズミとり男の野外劇が上演されるそうである。
 
(聖ニコライ教会&デンプターハウス)
 結婚式の家の奥、北側に尖塔の見える聖ニコライ教会がある。ここは商人の教会と言われてるらしい。内部も特別のものはない。ただ近くに東西ドイツ統一を象徴する現代彫刻があり、黒っぽくて分かりにくい円筒形の構図であるが、そこにはめこまれた男の彫像は何やら苦悶の象徴みたいであった。 
 教会の北側がマルクト広場であり、昔ここにあった市庁舎は大戦中に爆撃で失われたそうで、ドイツの他の町とは様相が違っていた。
 又教会の西側に道路をはさんでデンプターハウスがあり、1607年に築かれたもので、明るいオレンジ色で人目を引きつけているヴェーザー・ルネッサンスの代表的建築物である。ここはもと市長職についたデンプター氏の邸宅で、下は石、上は木の骨組みとなっている。
 
(ヴェーザー川&ミュンスター大聖堂)
 昔の漁師たちの家のある路地を覗き、ヴェーザー川の船着き場へ行く。そこには元粉挽き所のレストランがあり、レストランの中に大きな水力タービンが囲まれていた。別にすればよいのにと思うほど似つかわしくはなく、水力タービンを眺めるだけでレストランの中を素通りし、何となく間が悪かった。
 再び木骨組みの家々を眺めながらベッカー通りを南に下ってくると、又ライオン薬局であろうか、屋根の近くに笛吹男を飾っているのが見えた。
 やがてミュンスター大聖堂に到着したが、後のフルダと同様聖ボニファティウスを祀ってあるという。こちらにきて初めて知ったが、ドイツにキリスト教を伝えた最初の人のようである。その直ぐ南側がホテルで、17:30ホテルに戻る。 
 
(夕食)
 19:30からホテル シュタート・ハーメルンで夕食ということになったが、四ツ星といいながらサービスが極めて遅い。(ついでに言えば部屋も特別に狭かった。)きゅうりのコールドスープのあと、料理がなかなか出てこない。やっと出てきた魚についているポテトが生のように硬くてかみ切れない程であり、デザートに至っては待てど暮らせど届かず、かなりの人がしびれを切らして部屋に帰ってしまった。実際は3時間足らずだが、川柳が1句浮かんだ。
「ハーメルン デザート待って 徹夜かな」  本日は11,000歩であった。
 
 
 
 
   

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