(1)白血球って何?
白血球は、血液の中の細胞の一種。免疫機能の中心的な存在で、体内に侵入してくる病原体や、自分の体の中で発生した異物(がん細胞、自己細胞の死骸、悪玉コレステロール、など)を取り除いてくれる。
┌ 血球成分 ─┬─ 赤血球
│ │
│ ├─ 白血球 ┬ 単球 ─ マクロファージ
│ │ ├ 顆粒球 ─ 好酸球,好中球,好塩基球
│ │ └ リンパ球 ┬─ NK細胞
血液──┤ │ ├─ T細胞 ┬─ ヘルパーT細胞
│ │ │ ├─ キラーT細胞
│ │ │ └─ サプレッサーT細胞
│ │ └─ B細胞
│ └─ 血小板
└ 液体成分
※オレンジ字は免疫細胞
※単球(マクロファージ)、好中球、好酸球は細菌などの異物を食べる作用をする(食細胞と呼ばれる)。
@白血球の数値の意味
血液1立方mm(μl)あたりの白血球数を数える。でも実際は、白血球の中にある細胞をさらに細かく分類して、それらの割合(白血球分画)の変化を読み取って、診断に役立てることが多い。ふつうは、WBCの増減は好中球の増減による場合が多い。
A白血球の種類と働き
【好中球(Neutrophil)/好中球分葉核(Segmented cell)+好中球桿状核(Stab cell)】
白血球の中で最も数が多く、40〜60%を占める。傷口ができると、好中球はアメーバみたいに動いて血管の外に出て、傷口に集まる。そして病原体を食べ、活性酸素の殺菌作用で破壊(殺菌)する。破壊後は膿になって体の外へでる。
【好酸球(Eosinophil)】
白血球の2〜4%。好中球と同じように、アメーバみたいに動いたり異物を食べたりすることができ、寄生虫など大きなものを傷つけることはできるが、病原体を破壊(殺菌)することはできない。アレルギー反応があるときや膠原病のときは、増える。
【好塩基球(Basophil)】
白血球の0〜2%。アレルギーなどに関係する。
【単球(Monocyte)/大食細胞(マクロファージ)】
白血球の26〜40%。細菌を強力に食べるので大食細胞と呼ぶ。病原体が侵入するとそれをすぐに食べて分解し、病原体の情報をヘルパーT細胞に報告する。サイトカイン(☆J)の刺激があると活性化され、さらにたくさん病原菌を食べる。
【リンパ球(Lymphocyte)】
好中球の次に多く、白血球の30〜50%。免疫反応の中心的役割を行う。
[NK(natural killer)細胞]
ウイルスに感染したての細胞や、生まれたてのがん細胞に作用し、異常を発見したら素早く攻撃する。他の細胞から指令を受けた後、活動を始めるT細胞やB細胞と違って、指令がなくても独自に働ける。
[T細胞]
ヘルパーT細胞:司令官として働く。マクロファージやB細胞から病原体の情報を受け取り、サイトカイ
ンを放出してマクロファージやB細胞、キラーT細胞に刺激を与え、その病原体と闘う
よう指令を出す。
キラーT細胞:ヘルパーT細胞が出したサイトカインの刺激を受けて、ウイルスに感染した細胞を殺す
(ウイルス自体は殺せない)。
サプレッサーT細胞:免疫反応を終わらせる指令を出す。
[B細胞]
病原体を見つけると、捕まえて食べて分解し、病原体の情報をヘルパーT細胞に報告する。ヘルパーT細胞の指令があると「抗体」を作り、病原体を直接攻撃する。さらに病原体を記憶して「免疫記憶細胞」として次の闘いに備える。
B白血球の特徴
細菌感染があると白血球数は上がるが、ウイルス感染があると白血球は正常かむしろ減少傾向になる。
(2)白血球と(関節の)痛みや腫れとの関係
JRAの場合、関節にある滑膜で免疫反応があると白血球が集まってくるが、この時に白血球がプロスタグランジンなど痛みや炎症のもとになる物質を作り出す。白血球が多くなると痛みや炎症のもとになる物質も増えるので、腫れたり、痛みを感じるようになる。
(ただし、これはリウマチ初期で、関節の痛みが滑膜の炎症による痛みだけであった場合。関節が破壊されていくにしたがって、血流が悪くなったことによる痛みや筋肉が不自然に引っ張られるための筋肉痛なども出てくる)
(3)白血球数が増える理由
@病気の可能性
白血球には好中球、好酸球、リンパ球・・・など、たくさん種類がある。それぞれに増える病気があるので、増えた場合は、総数と血球成分のどれが増えているか調べる必要がある(好中球が増える病気とか、リンパ球が増える病気とか、いろいろあってひとくくりにできない)。
A生理的変動
ふつう「白血球数」というのは、流れている血液の中の白血球数だが、好中球はこの外にほぼ同じ量が停滞プール(肺、骨髄、肝臓などでほとんど流れずにいる)にある。停滞プールにある好中球は、運動その他の刺激で、すぐに流れている血液の中に移動する。
B膠原病と白血球数
同じ膠原病でも、関節リウマチや多発性筋炎などの炎症性疾患では白血球は増加していることが多いが、全身性エリテマトーデス(SLE)や混合性結合組織病(MCTD)、シェーグレン症候群では白血球は減少していることが多い。
CJRAで白血球数が増加した場合に疑うもの
好中球増加:細菌による感染(扁桃腺炎,肺炎,胃腸炎,膀胱炎,虫垂炎など)
好酸球増加:アレルギー性の病気,寄生虫,急性感染の回復期
リンパ球増加:急性ウイルス感染症,結核などの慢性感染症
単球増加:細菌感染
(実際は白血球だけで判断することはない。CRP、血沈他、さまざまなデータを併せて判断する)
(4)白血球数に影響すること
@ステロイド内服による白血球数増加
ステロイドは血液成分に対する作用として、白血球(特に好中球)の生成を促進し、リンパ球の生成を抑制する。その結果、白血球の増加や好酸球およびリンパ球の減少が引き起こされる。
A抗リウマチ薬の副作用
抗リウマチ薬の副作用の一つに、骨髄機能抑制(骨髄で白血球を造る能力が低下)がある。
B年齢
乳児〜就学前の幼児の白血球数は成人より多く、健康でも1万/μl前後。また、生後4週〜4歳までは、白血球分画で、好中球よりもリンパ球のほうが多い。
Cストレス
肉体的ストレス(痛み、運動、寒さ)や、精神的ストレスでも、白血球数は一時的に2000〜3000の増加がある。
(5)数値の程度
「増加」は1万以上、「減少」は3500以下(こどもリウマチノートに書いてある基準値は4500〜8500)とされることが多い。ただし、年齢を考慮すること(上記(4)B参照)。
(6)検査方法
「自動血球分析装置」という機械で全血球計算(complete blood count;CBC)を行うと、この中で白血球数、赤血球数、血小板数、白血球分画などは一度に、1分くらいで測れる。白血球数を測る原理としては、薄めた血液に電気を当てて、その電気抵抗パルスの形から血球をわけ、パルスの数からそれぞれの血球の数を数える。白血球分画に異常がある場合は、さらに顕微鏡で白血球を調べる。
(7)白血球と治療
┌ LCAP療法/ leukocytapheresis(白血球除去療法;エルキャップ療法)
└ GCAP療法/ Granulocytapheresis(顆粒球除去療法,顆粒球吸着療法)
@これらの治療の目的
血液中の活性化した白血球を取り除き、炎症を鎮める。つまり、活性化した白血球が関節内にとどまり、炎症を長引かせたり、軟骨や骨の破壊を始める前に除去してしまう。また、もともと飲んでいる薬の効果を取り戻し、その効果を持続させる。
A方法
血液を一度体の外に出し、白血球を除去するフィルターを使って活性化した白血球を取り除き、浄化した血液を体に戻す。1回の治療時間は約1時間、毎週1回ずつ、5-10回で終わる。もともと飲んでいる薬はそのまま飲み続ける。
Bどんな人がするの?
現在使用している薬では十分な効果を得られない、潰瘍性大腸炎や慢性リウマチの患者。ただし、体が小さいとできない(体外循環量がある程度はあるので)。2000年4月より潰瘍性大腸炎の治療困難例に保険適用され、2004年4月から関節リウマチにも保険適用された。
C効果
この治療を行った後、約1週間で腫れや痛みが改善する。潰瘍性大腸炎の場合は60〜80%の患者に効果があり、副作用として発熱や嘔吐、血圧低下があるが、いずれも一時的なもので、ステロイドのような長期的な副作用はない。
D費用
1回あたり14万5000円かかる(実際は難病患者には公費の補助がある)。高価なため、治療の対象は重症患者や難治性の患者に限られるが、対象外でも治療を希望する人もいる。特に子どもの場合は、ステロイドは成長障害をもたらすので、これからの治療として期待が寄せられている(2005年5月現在)。
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