前回お話したように、ウイルス性肝炎とは感染したウイルスとそれを追い出そうとする宿主の免疫応答との兼ね合いで決まる病気ということができます(下図)。 そして、ウイルスが排除されやすいかどうかは原因ウイルスによってだいたい決まっています。排除のよいウイルスはA型肝炎、E型肝炎、排除の悪いウイルスとしてはC型、G型ウイルスが代表的です。B型肝炎ウイルスはおもしろいウイルスで、宿主の免疫能によって排除がよかったり悪かったりします。つまり成人の場合は排除がよいのですが、乳幼児期の感染や透析患者、免疫抑制剤服用者では持続感染し、いわゆるキャリア化(B型肝炎ウイルスが肝臓に住みついてしまい排除されない状態になること)します。そしてキャリアのなかから慢性肝炎が発症してきます。D型肝炎ウイルスはわが国にはほとんどいないウイルスですが、B型ウイルスとつねに消長をともにするのでHBウイルスが排除されれば排除されますし、その感染が持続すればともに持続します。
Ebstein-Barr (EB) ウイルス、ヘルペスウイルス、コクサッキーウイルスは肝細胞以外の細胞に主として感染するので肝炎ウイルスとはいわれませんが、通常排除のよいウイルスです。
以上のように、肝炎を起こすウイルスには排除のよいものと悪いものがあるのですが、この排除の良し悪しが結局急性で治るか慢性化するかを決めてしまいます。ですからA型、E型と成人で感染したB型の各ウイルスの場合は原則的に慢性化はなく、急性肝炎として治ってしまいますが、幼少時感染のB型、C型、D型、G型が慢性化しうることになります。このうちD型はわが国に少なく、G型は症状が緩やかですから、結局わが国ではB型とC型が慢性肝炎として重要ということになります(下表)。
表 《 排除のよいウイルスと悪いウイルス 》
排除のよいウイルス
(急性肝炎で治りやすく、慢性化しない)
・A型ウイルス
・E型ウイルス
・EB型ウイルス
・コクサッキーウイルス
排除がよい場合と悪い場合のあるウイルス
(急性肝炎で治ることも慢性化することもある)
・B型ウイルス
・D型ウイルス
排除の悪いウイルス
(慢性化しやすい)
・C型ウイルス
・G型ウイルス
与芝 真 : 肝臓病の生活ガイド, 医歯薬出版, 東京, 1998 より改変

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