■ 血液検査による方法
血液で行う臨床検査で肝炎の活動性と進展度をみることも長い間の課題でした。活動性ともっとも関係する指標はGOT,GPTであることは異論のないところで、患者さんも医師もこの数字をたいへん気にします。そして、その数字の上下に一喜一憂したりします。私の印象ですがGOT,GPTともに<50U/lであれば、まず活動性は低く、両者とも持続的に>100U/lであれば活動性は高いと考えてよいと思います。この間の値の場合や>100U/lでも持続的でないものは肝生検をしてみないとわかりません。ただし、HBe抗原陽性者ではGOT,GPTともに<50U/lであっても意外に活動性が高い例があるので要注意です。
また、進展度ですがこれをみるのには、コリンエステラーゼ(ChE)の値と血小板数がよいと考えています。血中のChEは肝臓の蛋白合成能をみる検査なので、この値の低下は肝臓の蛋白合成能の低下、つまり肝臓の実質細胞数の減少を反映します。血小板の減少についての説明ですが、肝臓の線維化によって徐々に硬くなっていくと肝臓を通して流れる門脈の流れが悪くなります。この流れにくくなった門脈の血液は上流にある脾臓にたまることになりますが、脾臓は元来血球を壊す作用があるため、この状況では赤血球、白血球、血小板はすべて壊されます。このうちもっとも先に影響が表れるのが血小板で、ついで白血球です。ですから、血小板数の低下は肝臓での線維化の進展を鋭敏に反映するといえます。
ChEは各病院で正常値が異なるので、絶対値では物はいえませんが、正常値下限を切っていたら肝硬変の疑いがあります。また、血小板は正常値15万以上で10万以下は肝硬変、10?15万は進展した慢性肝炎、15万以上は進展していない慢性肝炎と大ざっぱにいえます。それ以上に大事なことは、主治医にChEの値も血小板数も必ず前年同期と比較してもらうことで、前年より明らかに低下していれば病気が進行している可能性があります。ただし、ChEは栄養状態の影響を受けること、血小板は抗血小板抗体をもっている人の場合は異常に低くなるので、この点は考慮に入れる必要があります。
それまで安定した経過のC型慢性肝炎でも急にGOT,GPTが持続的に100以上に上昇し、ChEの値や血小板の値が下がりだしたら“増悪期”に入ったと判断して、その進行を阻止する治療を行う必要があります。また、以前に肝生検を行ってたいしたことはないといわれていても、もう一度肝生検を受けたほうがよいと思います。ずいぶん所見が変わっていると思います。
与芝 真 : 肝臓病の生活ガイド, 医歯薬出版, 東京, 1998 より改変
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