■ 黄疸は白眼の部分でみつける
黄疸は急性肝炎ででやすい症状です。これは血中にビリルビンがたまるためにでる症状ですが、日本人は黄色人種であるため皮膚の色ではわかりにくいので、かならず眼球結膜(目の白い部分)でみます。蛍光灯より太陽光線の下のほうが見つけやすいといわれているので、気になる人は鏡を片手に外にでてみてください。
もっとも黄疸は急性肝炎でなくとも出現します。黄疸の原因は、肝前性、肝性、肝後性と3つに分けることができます。詳細は後に説明しますが、肝前性は溶血性貧血、肝後性は胆汁の排泄の障害が原因で、かならずしも肝臓病ではないのです。また、体質性黄疸といって黄疸はあっても病気とはいえないものもあります。それから胆汁の排泄の障害が高度になると便の色が白くなります。これも診断の参考になるのでみておいてください。
■ 黄疸はでる時期によって意味が違う
急性肝炎では一度に広範囲の細胞が破壊されるので高度の黄疸が起こりますが、ウイルスなどが排除されれば肝炎は治って肝臓は再生しますから黄疸の心配はいりません。慢性肝炎では一部の肝細胞が少しずつ壊れていますから通常、黄疸はでません。ですから慢性肝炎の人に黄疸がでた場合は急に悪化した疑いがあります。とくにHBキャリアやB型慢性肝炎の人では急性増悪を起こすことがありますが、黄疸の出現は重症化の可能性がありうるので、ただちに主治医のところへ飛んでいって緊急検査を受けてください。ぐずぐずしていると命にかかわります。肝硬変の場合は、いよいよ肝臓の予備力が失われてから黄疸がでてくるので、予後不良を意味します。このように黄疸はでる時期によって意味が違うことを知っておいてください。
■ 痒みとむくみも要注意
よく、蕁麻疹がしつこいと肝臓がわるいのではないかと心配して来られる方がいますが、調べてみると意外に肝臓は悪くない場合が多いのです。心配なのはむしろ痒みで、とくに発疹がなくて夜間ふとんに入ってから身体の柔らかい部分に痒みが起こるのは問題です。というのは、痒みはしばしば胆汁の流れが悪くなって身体に胆汁酸がたまると出現します。とくに原発性胆汁性肝硬変という病気ではしばしば痒みが初発症状になります。
病気が進行して肝硬変になるとより多彩な症状がでてきます。たとえば、前胸部や皮膚にクモ状血管腫という赤い斑点がでてきます。皮膚の毛細血管が拡張したもので、ガラス板で押さえると褪色するので、血管であることがわかります。また、手掌紅斑といって手掌の母指球と子指球のところがベッタリまたは斑状に赤褐色になります。やはり深部の血管の拡張によりますが、ただしこれがあってもまったく肝臓の悪くない人もいます。また、肝硬変で肝臓を通る血管(門脈)が通りにくくなると、その血液はほかの健康人では流れる量が少ない細い血管を通って流れるようになります。これを側副血行路といいます。主なものは食道や胃・脾臓の周囲の静脈や皮膚の静脈です。検査してみないとわからないものもありますが、皮膚のものは患者さんでもわかります。食道・胃静脈瘤は大出血の原因となります。また、血液のなかのアルブミンという肝臓でつくる蛋白の濃度が下がってきたり門脈の圧が高まると腹水がでてきます。自覚的には腹が張って苦しいとかズボンの胴回りがきつくなったなどの訴えが聞かれます。また、このような人には当然下肢を中心に浮腫がでてきます。浮腫は通常前脛を指先で1分間圧迫して、その凹みが消失しないかどうか判定します。自分でやってみてください。
与芝 真 : 肝臓病の生活ガイド, 医歯薬出版, 東京, 1998 より
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