益田競馬が、先日の8月14〜16日の開催を最後に、55年の歴史に幕を閉じた。累積赤字が14億円に達し、今後開催しても赤字を解消できる見通しが無いという理由によるものである。
先日16日、廃止を控えた益田競馬場に赴いた。この日は、観客動員数が4621人とこれまで最高の客の入りとなり、売上も昨年の同日より大幅に上向いた。皮肉にも、(ありがちだが)廃止という事で一度は訪れてみたいファンが大挙押し寄せた格好だ(私もその一人であるが)。
今回の観戦で感じた事であるが、この競馬場は雰囲気といい設備や環境諸々の事情といい、いろんな意味で「古き良き時代」の競馬場を思い起こさせるものだと感じた。これでノスタルジックな感傷に浸るのもいいのだが、実際に赤字解消を図るには競馬場周辺の事情も絡めて、相当難しそうな感じがした。大井の3連単・3連複馬券を売ろうとするなど努力も見せていたのだが、これだけでは「何かが足りない」感じがしたのも事実である。
益田競馬は、益田市が運営していた地方競馬である(島根県は関与はしていないはずだ)。人口は約5万人。競馬場そのものが「日本一小さい競馬場」と言われていたが、経営規模など運営面でも「日本一小さい」規模でないと運営できない、ある意味厳しい経営を強いられるのは無理もない。更に、最寄りの益田駅はそれこそローカル線の駅。列車が1時間に1〜2本程度(特急も来るが)しか来ない小さな駅である。周辺住民を呼び込むにも、結構無理のある立地条件である。
こうした地域事情を考えると、中央や大井など南関東の競馬場と同じようなマーケットの論理で運営していくのには無理があるし、かと言っても「ギャンブルやるだけで客が来る」時代でもある訳ではない。今や、ギャンブル産業は積極的な売り込み無くして、客は呼び込めなくなってきているのだ。
そうなると、例えば益田競馬の特徴の一つである「6枠連単制」をとりあえず「8枠制」にする。そして他地区との馬券相互発売に乗り出す・・・。それも一つの案である。しかし、それだけで売上は上がっていたのだろうか。
こういった手段だけでは、一時凌ぎにしか過ぎないと私は思う。実際、私はD−net(広域地方競馬電話投票システム)に入ってはみたが、実はそんなに利用してない。どんな馬か、レースか分からずに無闇に手を出すのは、とてもではないが怖くて仕方がないものである。
ならば、どうした方が良かったか?別に博打面を前面に売り出す事はない。「競馬場そのもの」を売り込めばいいと思う。
これは以前、掲示板でカモネギさんとのやり取りで言ってた事なのだが、競馬場を観光名所としてしまうというのはどうか、というものである。これは名案だな、と思った。実際、盛岡競馬場は「オーロパーク」と称し、一大スポットとして競馬ファンのみならず地元住民にも愛されている競馬場になったと聞いている。他にも、あの手この手で遠来からの客をも取り込もうと、様々なキャンペーンに打ってきている(昨今の「協賛レース」ブームもこうした例に入ると思う)。
で、益田競馬はどうだったかというと、周りには萩や津和野、山口といった観光名所がずらりと揃っている。それに比べて、益田市にはこれといった観光名所がないのが痛いところだ(医光寺とかいう観光名所?はあるみたいだが)。
こうした状況ならば、例えば益田競馬が誇れる吉岡牧子元騎手(日本の女性騎手で最多の350勝を誇る)やウズシオタロー(250回出走という日本記録を持っている)を前面に売り出してみるのも良かったかもしれない。また、山陰で唯一の競馬場(というよりギャンブル施設?)を売り出すのも面白かったか。地元住民のみならず、周辺の観光客をも呼び込むようなキャンペーンを張ってみるのも、もしかしたら・・・と思ってしまう。
まあ、こうした案も廃止してしまった今となっては、ただ虚しく感じるだけだろう。ただ、益田競馬ほどではないが、同じように苦境に立たされている競馬場はまだたくさんあるはず。こうした「危機」を乗り越える為には、地元住民だけでなく、遠来から「観光」として訪れてくれるよう、あの手この手のアイデアを駆使して呼び込む必要があるのかもしれない。益田競馬を観に行って、そう感じてしまった。
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