その日に作った句のうちの一句を載せています。
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※印のある句は、写真添付してあります。
2007年12月
31日(月)
家も古りわれも古りたり年用意
30日(日)
パスワードばかり増やして年の果
29日(土)
捨てたき句そのまま残す古日記
28日(金)
室咲きの花の影置く夜の部屋※
27日(木)
すこやかに爪伸びてゐる年の暮
26日(水)
白鳥のまこと嵩ある浮寝かな※
25日(火)
新雪に昨夜のうさぎの宴あと
24日(月)
越後まで雪の峠を幾曲がり
23日(日)
覚めぎはに昨夜(よべ)の柚子湯の匂ひけり
22日(土)
座してまた厨に立ちて日短か
21日(金)
交番へとどく聖樹の灯りかな
20日(木)
まつしろな三浦大根その重さ
19日(水)
枯葉踏みゆく靴底のたよりなし
18日(火)
映画見て泣いて師走の街眩し※
17日(月)
使はれぬ辞書の背表紙年つまる
16日(日)
空つ風いちにち富士を輝かす
15日(土)
枯れきつてねこじゃらしなほ揺れやまず
14日(金)
冬うららボール打ち合ふ音間遠
13日(木)
寒禽の群れて声なき雨の朝
12日(水)
銀杏散る否銀杏降る音をたて※
11日(火)
をちこちに人の列あり十二月
10日(月)
父親の夢に出てきし霜のこゑ
9日(日)
日向ぼこめいて都心へゆく電車
8日(土)
十二月八日厨の電子音
7日(金)
冬日差水面(みずも)にとどくとき光る※
6日(木)
貨車通る音のひびきも十二月
5日(水)
竹林の午後の昏さよ冬紅葉※
4日(火)
この町を欅落葉の埋めつくす
3日(月)
陶工の発ちたる加賀も時雨るるか
2日(日)
石蹴りの子に山茶花の散りかかる※
1日(土)
湧きてすぐ人に汲まるる冬泉※
2007年11月
30日(金)
髪剪って十一月の終りとす
29日(木)
洗ひあげ稟と下仁田葱白し※
28日(水)
饒舌な人と見てゐる冬桜
27日(火)
綿虫のいのちなほあるたなごころ
26日(月)
どの道も綿虫に逢ふ日なりけり
25日(日)
小春日を鴉さびしく鳴きかはす
24日(土)
鴨着水池の鏡を割るやうに
23日(金)
穏やかな厨となりぬ大根煮て
22日(木)
落葉掃く音と木の葉の降る音と
21日(水)
みづうみへ木の葉降る降る横つ飛び
20日(火)
日当たらぬ道柊の花こぼれ
19日(月)
木枯に遠嶺磨かれゆくごとし
18日(日)
冬青空もう何もかも許さうか
17日(土)
一族の喪服の過ぎぬ花八ッ手
16日(金)
散りてより色増す桜もみぢかな
15日(木)
足元の影を飛びたつ冬の蝶
14日(水)
鉄塔に碍子のひかる冬初め
13日(火)
引力のなきがごとくに銀杏散る
12日(月)
あたらしき雪積む富士に手を合はす
11日(日)
地震(なゐ)ありてのち冬の雷ひとしきり
10日(土)
いちにちの過ぐる速さや実南天
9日(金)
学校の裏の畑の木守柿
8日(木)
わが影の木立にゆがむ今朝の冬
7日(水)
境内のだれも見上げぬからすうり
6日(火)
秋惜しむビルエヴァンスを聴きながら
5日(月)
木の葉降る駅の北口南口
4日(日)
殷々と午の鐘撞く紅葉寺
3日(土)
手紙書き終えて伸びして文化の日
2日(金)
実むらさき遺言は一行で足り
1日(木)
周平を読みたし秋の雨の夜は
2007年10月
31日(水)
秋澄むや富士を離るる雲のいろ
30日(火)
山霧のゆっくり動く伊豆の国
29日(月)
銀行の裏手ひよろひよろ猫じゃらし
28日(日)
破れたる翅もて秋の蝶まぶし
27日(土)
七五三母親のみなかがやいて
26日(金)
柿熟れてゆく雨粒を弾きつつ
25日(木)
品さだめされて買はるる林檎かな
24日(水)
ひよどりの声や新米炊きあがる
23日(火)
新蕎麦や雲噴きあがる赤城山
22日(月)
いたゞきの暮れのこりたる紅葉山
21日(日)
小鳥来る走りまはる子羨めば
20日(土)
十月の遠富士雪の頼りなく
19日(金)
秋澄むや採られゆく血のうつくしく
18日(木)
こゑ高くひよどり町に戻り来し
17日(水)
消防署裏の実柘榴つやつやと
16日(火)
生き急ぐやうに新米研ぎにけり
15日(月)
新米の今年も越後コシヒカリ
14日(日)
鉦叩生きよ生きよとつぶやくか
13日(土)
水澄むや木橋石橋渡らせて
12日(金)
すれ違ふ木犀の香を言ひ合うて
11日(木)
木犀の香のあちらからこちらから
10日(水)
畔駆ける子供や犬や豊の秋
9日(火)
白粉花(おしろい)の種人の踏み犬の踏み
8日(月)
身にしむや形見に残る躾糸
7日(日)
山鳩の声止むつるべ落としかな
6日(土)
蒲の穂や水面をわたる雲の翳
5日(金)
秋澄むや鉄瓶に湯のたぎる音
4日(木)
あてもなく団栗拾ふ五つ六つ
3日(水)
池の面に生えたるものも末(うら)枯るる
2日(火)
双蝶となりつつ秋の蝶消ゆる
1日(月)
山鳩の鋪道歩めるそぞろ寒
2007年9月
30日(日)
萎れゆく彼岸花咲く彼岸花
29日(土)
秋雨や書かねばならぬ文いくつ
28日(金)
露虫のしんと来てゐる夜の窓辺
27日(木)
一日を病めば親しき鉦叩
26日(水)
棉吹くや地平線まで晴れわたり
25日(火)
良きことのひとつありたる今日の月
24日(月)
蜻蛉の触れし水面のひかりけり
23日(日)
水燃やすやうに水辺の曼珠沙華
22日(土)
味噌汁のすこし濃き朝小鳥来る
21日(金)
父母の墓までついてきし秋あかね※
20日(木)
秋の蚊のささやいて遠ざかりたる
19日(水)
診察を待つゆらゆらと秋扇※
18日(火)
葡萄食む葡萄といふ字書けぬまま※
17日(月)
風のなか実になりゆける百日紅
16日(日)
颯颯と砂利踏みすすむ秋袷
15日(土)
戦なき世を鳴きつぐや鉦叩
14日(金)
夕日いま水引草の穂の先に
13日(木)
人間のまづは驚く案山子かな※
12日(水)
朝顔の終ひの花を大輪に※
11日(火)
旅立てり白菊の香の満つるなか
10日(月)
秋蝉のむくろ濡れゆく通り雨
9日(日)
鰯雲ひとり発ちまたひとり発つ
8日(土)
あるじ待つ犬と目の合ふ秋暑かな
7日(金)
庄内も越後もこがね色の秋
6日(木)
潮の香のかすかにとどく虫の闇
5日(水)
海鳴や北緯四十度の花野
4日(火)
シーソーの釣り合ひとれぬ秋暑かな
3日(月)
亀に亀その上に亀秋日和
2日(日)
藪のなかよりひとすぢの桜蓼※
1日(土)
秋雨と思ふ音なく降り始む
2007年8月
31日(金)
秋蝉の雨の気配を鳴きいそぐ
30日(木)
朝顔の種採る雨の降り出しぬ
29日(水)
かなかなや明日に持ち越すあれやこれ
28日(火)
明け方を夢のつづきの法師蝉
27日(月)
生きてゐるやうに目を剥く初秋刀魚
26日(日)
初紅葉流れを分かち岩ひとつ
25日(土)
駅ひとつごとに秋めく小海線
24日(金)
秋の蝶ちひさな花を好みけり
23日(木)
秋めきぬ遠富士あをき雨上がり
22日(水)
白粉花のきのふの花をこぼす風
21日(火)
落蝉の哀れ拾へばじいと鳴く
20日(月)
吉凶はとなり合はせや白芙蓉
19日(日)
とぎれたる会話に遠き法師蝉
18日(土)
花屋より水の匂ひや涼新た
13日(月)
樹から樹へ広がるばかり蝉時雨
12日(日)
みそはぎのほとりの水の揺れやすし
11日(土)
蝉生れて朝の玻璃戸へぶつかりぬ
10日(金)
残暑とは厳しきものよさりながら
9日(木)
かなかなの鳴くや夜明けのまだ遠く
8日(水)
立秋を遠き瀬音に目覚めけり
7日(火)
眼(まなこ)射ぬかれたり山のいなびかり
6日(月)
さきがけに雷鳴ひとつ山の雨
5日(日)
雷鳴にどおんと背(せな)を押されけり
4日(土)
遠花火終わりし闇の広さかな
3日(金)
蝉時雨木洩日の揺れはじめたる
2日(木)
焼茄子の皮むく指紋溶かしつつ
1日(水)
梅干して夕べの風を匂はする
2007年7月
31日(火)
ポストまで素足に下駄の心地良さ
30日(月)
雨音につぎつぎ消ゆる蝉のこゑ
29日(日)
投票所前あぢさゐの乾びゐし
28日(土)
緑蔭にしばしいのちを預け置く
27日(金)
背中より大きなリュック夏休み
26日(木)
朝顔の蕾ふくらむ夜の風
25日(水)
涼しかり虚子は師の師の師であれば
24日(火)
河童忌や負けて地に伏す球児たち
23日(月)
狂ひなくまつすぐ続く夏木立※
22日(日)
乾びたる蚯蚓視線の片隅に
21日(土)
梅雨明けを待つ歳時記の開きぐせ
20日(金)
初蝉のそれきり鳴かぬ並木道
19日(木)
欄干に鳩並びゐる暑さかな
18日(水)
新宿の雑踏暑き日暮かな
17日(火)
ちりちりと指先痛む昼寝覚め
16日(月)
野萱草濁流いづれ澄みゆかむ※
15日(日)
雲走るはるかを過ぐる台風へ
14日(土)
朝刊に憂きことばかり梅雨深し
13日(金)
汗拭ふ歯科医のドアを押しながら
12日(木)
太陽の色の余市のさくらんぼ
11日(水)
夏萩のしづかにこぼす雨雫
10日(火)
たくましき水脈引く軽鴨の子となりし
9日(月)
たつぷりの湯に枝豆と島の塩
8日(日)
冷房車ひとつの席を譲りあひ
7日(土)
屈みては朝顔市の品さだめ
6日(金)
十歩にて渡る信号西日射す
5日(木)
鳴き真似の旨いひよどり梅雨晴間※
4日(水)
梔子の朽ちながら散る雨のなか
3日(火)
凌霄(のうぜん)花ひとは俯き行くばかり
2日(月)
あじさゐの毬に吸はるる雨の音
1日(日)
口紅を少し濃く引く夏やせて
2007年6月
30日(土)
白南風(はえ)や動くと見えぬ観覧車
29日(金)
町にまたビルの建ちゆく梅雨夕焼け
28日(木)
さくらんぼ一日穏やかに過ぎて
27日(水)
夕凪の水脈うつくしき小舟かな
26日(火)
今年また池に三組の親子鴨
25日(月)
良きことは一日ひとつ夏燕
24日(日)
小声にて噂話を梅雨深む
23日(土)
蒲の穂に触れて思はぬやはらかさ※
22日(金)
梅漬けて静かな雨を見てをりぬ※
21日(木)
ひとしきり鴉の騒ぐ旱梅雨
20日(水)
耳も目も隠して黒き夏帽子
19日(火)
あかつきの峡を騒ぐや岩つばめ
18日(月)
山晴れてきし筒鳥のこゑのして※
17日(日)
枇杷剥けば山鳩のこゑねむさうに
16日(土)
ショウウインドウ見て正す夏帽子※
15日(金)
梅雨夕焼甲斐の山なみむらさきに
14日(木)
くちなはを見しのち眠り浅き夜
13日(水)
青芦原風のうねりを奏でけり※
12日(火)
軽鴨の子のつひに流れへ身を任せ※
11日(月)
むらさきの夕暮れ空梅雨の噂※
10日(日)
新じやがの皮剥く土の香を指に
9日(土)
子燕の夕日のなかへひるがえる
8日(金)
かはせみの去り残像をまなぶたに※
7日(木)
海ぶだう噛めば遠雷とろとろん※
6日(水)
菖蒲田を等しく風の吹きわたり※
5日(火)
咲きあふれこぼれ鋪道のさつきかな
4日(月)
踏みしだきたしよ一面の十薬
3日(日)
蜻蛉の生れて触れゆく水面かな
2日(土)
幾たびもかはせみ挑む水面かな
1日(金)
一羽のみ育ちし軽鴨(かる)の子の元気
2007年5月
31日(木)
病院の裏十薬のおびただし
30日(水)
首出さぬ亀を見てゐる五月かな
29日(火)
いのちある者の足音夏木立
28日(月)
病院へ行く道今日も夏つばめ
27日(日)
朝ぐもり鴉も会話するらしく
26日(土)
夏潮のそこまで匂ふスタジアム※
25日(金)
雨に散る薔薇かがやきを失はず※
24日(木)
えご散つて暗き一樹となりにけり
23日(水)
罌粟散るや乾ききつたる土の上
22日(火)
お戒壇めぐりの闇の涼しかり※
21日(月)
十薬の花ほつほつと草のなか
20日(日)
きつぱりと晴れたる三社祭かな※
19日(土)
二度鳴つてのちは間遠に朝の雷
18日(金)
散策はふたりがよろし梅は実に
17日(木)
雨あがる雫とどめてえごの花
16日(水)
青梅の日なたに落つる札所寺※
15日(火)
山法師驟雨止みゆくはやさかな※
14日(月)
採血の針先ひかる薄暑かな
13日(日)
空豆を剥けば故郷の日の匂ひ※
12日(土)
たんぽぽの絮飛ぶ風のかろさかな
11日(金)
すこし良きことありし日や新茶汲む
10日(木)
雷鳴の遠ざかる音さびしかり
9日(水)
逃げ水の彼方どっしり赤城山※
8日(火)
水芭蕉水きよらかに流れゆき※
7日(月)
分水嶺より吹き過ぐる余花の風※
6日(日)
雨ふふみ欅ふくらむ立夏かな
5日(土)
たんぽぽの絮に寄り添ふたんぽぽ黄※
4日(金)
佇めば白雲木の花に風※
3日(木)
三階のちひさく泳ぐ鯉のぼり
2日(水)
虫を呼ぶやうに藤房揺れやまず※
1日(火)
柿若葉明るき雨となりにけり
2007年4月
30日(月)
天地(あめつち)のひかりあつめて五月来る※
29日(日)
葉桜の木洩日といふ眩しさよ※
28日(土)
防人の行きし道なり葱坊主※
27日(金)
新樹光きりんの首の伸びきつて※
26日(木)
小走りにゆく遠足の最後尾
25日(水)
行く春のひと日旧交あたたむる
24日(火)
富士見えずして山麓の富士桜※
23日(月)
たけのこの大小二本五百円
22日(日)
半世紀経ての再会風ひかる
21日(土)
尼寺跡の風を自在に濃山吹※
20日(金)
現との境目のなき春の夢
19日(木)
八重桜ひとひらづつを散らせけり※
18日(水)
桜しべ積もるよ己が走り根に※
17日(火)
交番に警官不在花みづき
16日(月)
桜蘂払ひて傘をたたみけり
15日(日)
春愁や吉野葛菓子ほろと割り
14日(土)
香煙の墓域をめぐる竹の秋※
13日(金)
重さうに吹かれてをりぬ八重桜
12日(木)
桜散る引力のなきやうに散る
11日(水)
花筏海を目指して動き出す※
10日(火)
一年の清算の花吹雪きけり
9日(月)
たつぷりと驟雨吸ひたる八重桜
8日(日)
隠沼につぎつぎ生まれ花筏※
7日(土)
小学校裏花屑のおびただし
6日(金)
女ばかり窮屈さうな花筵※
5日(木)
遠富士の鈍きひかりや桜東風※
4日(水)
遠く来てちひさな駅の花吹雪
3日(火)
散りてなほ色増す雨の桜かな※
2日(月)
山鳩の声のくぐもる花の雨
1日(日)
若者を少し諫めて花の昼
2007年3月
31日(土)
花曇途切れ途切れの笛の音※
30日(金)
点眼薬ひとつふやして花見どき
29日(木)
をちこちに猫の眼のある花の闇
28日(水)
咲きながら散りながら糸桜かな※
27日(火)
静かなり真白き桜咲きあふれ※
26日(月)
諸葛菜この家の犬よく吠ゆる
25日(日)
辛夷散る花のむくろの降るやうに※
24日(土)
桜咲き初む朝一輪昼五輪
23日(金)
雪柳ゆれて水面をかがやかす※
22日(木)
囀りの近づく夢の醒めてゆく
21日(水)
水の上に枝さしのべて初桜※
20日(火)
かたくりの花木洩日にすきとほる
19日(月)
迷うてもみたしよ春の闇ならば
18日(日)
橋渡り来し墨東の余寒かな※
17日(土)
人逝きし話を少し桜餅
16日(金)
花韮やいつから指輪せぬ指に
15日(木)
丹田にあつめる力春寒し
14日(水)
風光る町の彼方の遠嶺まで※
13日(火)
辛夷咲き初むその上をモノレール
12日(月)
恋猫の尾の高々とゆらゆらと
11日(日)
パンジーに見つめられゐる心地して※
10日(土)
起きて水飲んで三月十日なり※
9日(金)
天翔るひかりとならむ花辛夷※
8日(木)
早春の花光りあふものばかり※
7日(水)
梅散って築地にのこす枝の影
6日(火)
啓蟄やきつちりと眉描きあげて※
5日(月)
今宵また納めそびれし雛(ひひな)かな
4日(日)
初蝶のはや双蝶でありにけり
3日(土)
幼な子の走りたがつて花辛夷※
2日(金)
畑から溢るるやうにいぬふぐり
1日(木)
かろがろと春北風に乗り朝鴉
2007年2月
28日(水)
春月の沈むや甲斐の峰あたり
27日(火)
木芽晴飛行機雲の帯流れ※
26日(月)
水辺まで鹿の足あと雪解風※
25日(日)
山峡の光あつめて雪解(ゆきげ)川
24日(土)
風のゆき人のゆく道沈丁花
23日(金)
花の香をときには疎む遅日かな※
22日(木)
浅春や湖岸に寄する波の音
21日(水)
信じたきことのある日よ青き踏む
20日(火)
薔薇の芽のほぐれむとする雨の中
19日(月)
税務署に待たされてゐる余寒かな
18日(日)
雛飾る昼には雨の止むといふ
17日(土)
濡るるには少し冷たき春の雨
16日(金)
蘂(しべ)一本づつに光や梅真白
15日(木)
遠富士の入り日に染まる春北風(ならい)
14日(水)
対岸を人の行く影蘆の角
13日(火)
動かずに消えゆく春のひつじ雲
12日(月)
紅梅のうしろの空のがらんどう
11日(日)
なにも考えず煮てゐる苺ジャム
10日(土)
つつましき囀り雨の上がりけり
9日(金)
まんさくや雲ゆっくりと日を閉ざす※
8日(木)
老梅の影いきいきと土のうへ
7日(水)
街のショーウィンドウより春めきぬ
6日(火)
石の橋わたれば茶店濃紅梅※
5日(月)
シクラメン百の患者にいのち百※
4日(日)
立春の座して眠たくなる電車
3日(土)
年の豆噛むやわが身に鬼を飼ひ
2日(金)
日脚伸ぶ机に青き電子辞書
1日(木)
二月来る富士の笠雲重さうに
2007年1月
31日(水)
草の芽の持ち上げてゐる鳥の羽
30日(火)
深雪晴山にうさぎを眠らせて
29日(月)
風花や首まで沈む露天の湯
28日(日)
雪嶺の上ひとひらの昼の月
27日(土)
大いなる富士大いなる寒入り日※
26日(金)
冬ぬくし猫が車の屋根の上
25日(木)
寒夕焼ビルのひとつを輝かす
24日(水)
マスクして眼やさしく会釈さる
23日(火)
一月の破り捨てたる請求書
22日(月)
風呂吹きを箸もてくづすとき寧し
21日(日)
冬萌や土橋に残す靴のあと
20日(土)
聖護院大根どつかり夜の厨
19日(金)
白菜をだるまのやうに並べ売る
18日(木)
足元に降りて親しき寒雀
17日(水)
一向に川鵜動かぬ寒の雨※
16日(火)
どうだんの冬芽つんつん日暮れけり※
15日(月)
冬草の伸びる鋪道の隙間かな
14日(日)
新宿の空の狭さよ冬夕焼
13日(土)
冬帽子追ひ越されゆくことに慣れ※
12日(金)
着ぶくれて通過列車に背を向ける※
11日(木)
かさかさと山鳩歩む薮柑子
10日(水)
菰巻いて松堂々とありにけり※
9日(火)
笹鳴や日がな日陰の仁王門※
8日(月)
寒の空鳥のかたちの雲浮かべ
7日(日)
遠富士へ雲をあつめる空つ風※
6日(土)
寒に入る味噌汁の湯気かぐはしく
5日(金)
臘梅のひかりの粒の蕾かな※
4日(木)
靴紐を固く結んで初稽古
3日(水)
輪島塗梅鉢紋様雑煮椀
2日(火)
二日早や失せ物ひとつ見つからず
1日(月)
初富士を拝してのちの厨ごと