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2008
08/27
実柘榴や諍ひやまぬ鴉どち※
08/26
朝顔の一日一花咲く律儀
08/25
白粉花(おしろい)の香の街角を曲がりけり
08/24
朝顔の蔓のこんがらがるばかり※
08/23
音のせぬ水輪ふえゆく処暑の雨
08/22
揺れ始むまこと明るきをみなへし※
08/21
夕暮の稲妻虹のいろをなす
08/20
虫の夜言ひたきことは言へぬまま
08/19
梨葡萄笑まふ遺影に供へけり
08/18
くまぜみの朝の残暑を濃くしたり
08/13
08/12
秋口のゆっくり動く象の耳※
08/11
いちにちに一度は寂し白木槿
08/10
わが丈を今年は越えし花カンナ※
08/09
夕かなかな一人のときを欲ることも※
08/08
昼寝覚め夢をたやすく忘れゐし
08/07
立秋の七日月とは眩しかり
08/06
雷鳴の分水嶺をこぼれ来し※
08/05
皺ひとつ見えぬ湖面やほととぎす※
08/04
約束のやうにかみなり近づきぬ
08/03
空蝉の縋りたる草揺れやまず
08/02
欠席のはがき投函蝉しぐれ
08/01
みんみんのためらひがちに鳴き始む※
07/31
てのひらの豆腐重たき朝曇
07/30
たつぷりの雨にふふめる茗荷の子※
07/29
鬼百合の日暮れて傾ぐ花の数
07/28
緑蔭に研ぎ屋きらきら研ぎ始む
07/27
夕虹の円の真中に立ちてをり※
07/26
浴衣着て幼な子やはり駆けまはる※
07/25
片陰の尽きて木橋を渡る道
07/24
会釈して暑きことのみ言ひ合うて
07/23
わが頭ほどの重さのメロンかな
07/22
白南風(はえ)や水面を走る鳥の羽
07/21
知らぬ間に蚊に喰われたる痒さかな
07/20
足音に藪蚊まだら蚊目を醒ます※
07/19
青年の重き旅の荷梅雨明くる
07/18
焼茄子を裂く指先のちりちりと※
07/17
胡瓜揉むさつき見し夢うち払ひ
07/16
わが町をわれを雷雲それゆける
07/15
花蓮(はちす)花のなかより光りけり※
07/14
亀のまた泳ぎ始めし暑さかな
07/13
明日あらば今日を楽しみ生ビール
07/12
わが町を叩きつくして雷雨去る
07/11
まつすぐに山百合の香へ歩み寄る※
07/10
夕空へてんとう虫を放ちやる
07/09
咲き満ちてこぼれて合歓の木のしづか※
07/08
やはらかき雲抱く梅雨の五日月
07/07
寝返りて触れし畳や明易し※
07/06
家の鍵掛け炎昼へ歩み出す
07/05
走りゆく人夏草に現(あ)れて消え※
07/04
髪剪つて白南風(はえ)の街みな眩し
07/03
日傘くるくる幼な子の手をひいて
07/02
緑蔭へ礫のやうに雀来る
07/01
紫陽花のうしろの山の暗さかな※
06/30
あぢさゐに居間の灯りのとどく家
06/29
薔薇一輪雨の鋪道に散らせけり
06/28
寂しくはなけれどふたり冷奴※
06/27
梅雨晴間胸の奥まで乾かして
06/26
青柿やはや過去となる誕生日
06/25
坂のぼりつめて薔薇咲く司祭館※
06/24
海峡の波もかもめも夕焼けて※
06/23
啄木の浜濡らしゆく青葉潮※
06/22
落下するごとくに梅雨の燕かな
06/21
夏やせて諍ひの輪の外にあり
06/20
退屈は夢でありしよ昼寝覚
06/19
武蔵野に夕焼淡き桜桃忌
06/18
軽鴨(かる)の子の水脈引く大き鯉の上※
06/17
雨待つと紫陽花首をやはらかく
06/16
夏やせて意地張ることのなき暮らし
06/15
目を細め外見る癖や梅雨夕焼※
06/14
老鶯や葉をひるがへす樺林※
06/13
尾根走る雨のはやさよ谷うつぎ
06/12
荒梅雨の空へクレーン伸びきつて
06/11
一花だに揺れざり谷戸の菖蒲園※
06/10
梅雨の月じんじん朱く沈みけり
06/09
梅天に重たき銀杏並木かな※
06/08
かはせみを待つ風に耳そばだてて
06/07
鳥の声子供らの声梅雨晴間※
06/06
十薬の今年は丈の高きこと
06/05
梅雨寒の体のどこか軋みけり
06/04
生き残りたる軽鴨(かる)の子の水脈をひく※
06/03
梅雨寒を言ひ合うて傘傾げけり※
06/02
白き花いよいよ白き梅雨入(ついり)かな
06/01
あをあをと夏大根の葉を洗ひ※
05/31
雨よ降れ降れと葭切鳴きかはす※
05/30
夏草も保線工夫も雨に濡れ
05/29
文字ゆがむ署名捺印走り梅雨
05/28
薔薇の門くぐりて来たる笑顔かな※
05/27
声少しひそめて通る木下闇※
05/26
そらまめの湯にひるがへる薄緑
05/25
十薬の咲き続けたる夜の雨※
05/24
実梅ひとつふたつみつよつ太りけり
05/23
夏つばめ市内循環バス発車
05/22
尾長来てひとこゑ残す薄暑かな
05/21
ラムネ飲む富士の頂き真向かひに※
05/20
剥ぐやうに雲去る遠嶺夏つばめ※
05/19
来年のことは知らざり衣更
05/18
ひかり合ふ水面(みずも)と風の夏柳※
05/17
えご散るやまたもつまづくピアノの音
05/16
黄菖蒲の明るくしたる水のいろ※
05/15
えご散るやお喋り好きの一年生
05/14
茅葺に雫かがやく緑雨かな
05/13
あかつきを尾長ひと声若葉寒
05/12
ジャスミンの花や日暮れて雨もよひ※
05/11
えごの花明るき雨となりにけり
05/10
二年経し痕なほ疼く若葉冷
05/09
がうがうと林に風やまむし草※
05/08
あかつきの空引き裂いて岩つばめ※
05/07
ちりちりと熱き露天湯谷若葉※
05/06
走る跳ぶ笑ふ子供ら聖五月※
05/05
蕗を煮る厨に満つる野の匂ひ
05/04
花菖蒲源流の澄みわたりけり※
05/03
柿若葉家一軒の毀たれて
05/02
時止めるやうに柳絮の飛び始む※
05/01
メーデーと呟き胸の疼きけり
04/30
四月尽失せ物の数増やしつつ
04/29
まづは尾の揺れて風呼ぶ鯉のぼり※
04/28
クレーンのかすかに動く暮春かな
04/27
葉桜のなかを下りくるすべり台※
04/26
えびね蘭地を這ふ風のありにけり※
04/25
富士見えぬ日の富士桜きらきらと※
04/24
わが骨の写真うつくし春の果
04/23
畳屋の針の光や夏隣
04/22
行く春の真昼かがやくものばかり※
04/21
花みづき人を懼れぬ鳥ふえて
04/20
春眠の底を鴉の騒ぎけり
04/19
柔らかし夕暮に踏む桜しべ
04/18
たつぷりの雨の雫を里桜
04/17
幼な子の声せぬ町やつばめ来る
04/16
誰も来ぬぶらんこへ飛花落花かな※
04/15
降るものは欅の花でありにけり※
04/14
雨上がる花韮なべて首を垂れ
04/13
分葱洗へばふるさとの土匂ふ
04/12
境内を落花やまざる三回忌
04/11
八重桜一枝夕日をはねかへす※
04/10
傘たたむ雨の雫と桜蘂
04/09
花屑を踏みし大きな靴の跡※
04/08
葉桜となりゆく雨の一樹かな※
04/07
水面にも亀の背(せな)にも落花かな
04/06
地下街へ桜散りこむ池袋
04/05
酔ひ少しまはりし頃を花吹雪※
04/04
花の昼鳩に足音なかりけり※
04/03
はぐれ来て吾に寄る鳩花曇
04/02
花屑を浮かべ潮引く運河かな※
04/01
花冷の朝を遠富士きらきらす※
03/31
ひとひらをこぼしてしんと夕桜
03/30
満開といふは散ること花に雨
03/29
砂山のごとき遠嶺や朝桜※
03/28
声明のしんと止みたる花の寺※
03/27
夢に見し吾の若さよ朝桜※
03/26
過去はどうあらうと桜咲きいそぐ
03/25
旨さうに水を飲む犬花三分
03/24
初ざくら生きて逢ふ友ありがたし※
03/23
白木蓮眩し照りても曇りても※
03/22
武者立ちの欅わらわら芽吹き初む※
03/21
犬ふぐり怠けてをれば良く見えて
03/20
木の芽雨切手選びて貼る手紙
03/19
初蝶の瑠璃色吉兆かもしれぬ
03/18
おさらひのまだまだ足りぬ初音かな※
03/17
挨拶は短きが良し土佐水木
03/16
振り向いてみても沈丁咲くばかり
03/15
分水嶺越えて越後や鳥帰る
03/14
あたたかし九谷呉須手の猪口持てば※
03/13
杉花粉ぐもりと思ふ空の色
03/12
何ごともなかったやうに椿落つ※
03/11
人形のまなこの彼方春の月
03/10
鎮魂の雨の三月十日かな
03/09
しらじらと富士をはるかに木の芽風
03/08
三椏の花ひとつぶの光り出す※
03/07
梢より空へ移りぬ鳥の恋
03/06
時折は孤独と思ふ花粉症
03/05
啓蟄や雲間の空の縹(はなだ)色
03/04
麦青む上州は風棲むところ※
03/03
雪国の頬ふくよかな内裏さま
03/02
分水嶺よりきらきらと雪解風※
03/01
二人住み今日もふたりや桜餅
02/29
川風に幟はためく梅見茶屋※
02/28
斑雪嶺(はだらね)のうしろの村を思ひけり
02/27
こんがらがっているやうな蝌蚪の紐
02/26
反古にする手紙の束や春浅し※
02/25
春寒を言ひ合うてよりなほ寒し
02/24
武蔵野の空を春塵縦横に
02/23
梅三分ひかりの粒となりゆける
02/22
剪定の鋏光を撒きちらす※
02/21
生々流転春寒の六本木※
02/20
日の眩し山には杉花粉育ち
02/19
水温む水底ふかく雲を置き※
02/18
春北風(ならひ)若者にまた追ひ越され
02/17
足音を持つは人のみ冴返る
02/16
道塞ぐやうに落椿ひとつ
02/15
春めきぬ川鵜浮きてはまた潜り※
02/14
薄氷(うすらひ)や言葉たやすく身を離れ
02/13
ゆるびなき屋根の置き石風光る
02/12
早春の雨に真紅の傘ひらく
02/11
夕富士に浮かぶ笠雲春めきぬ
02/10
屋根の雪融けゆく音のなつかしく
02/09
犬が犬吠えてゐるなり春の雪
02/08
眼の底の闇に紅椿がひとつ
02/07
足早になる春寒を言ひ合うて
02/06
春雪のためらふやうに降り始む
02/05
遠霞まこと地球は水の星
02/04
立春の富士ひとひらの雲を置き※
02/03
雀飛びたつやばさりと雪落つる※
02/02
声もなく寒禽群るる雪もよひ
02/01
ジェット機の基地目指しゆく寒夕焼
01/31
山鳩のこゑのすぐ止む春隣
01/30
白魚のあまたの眼食(とう)べけり
01/29
あかぎれといふ厄介な傷を持ち※
01/28
遅れてはならじ新雪踏みすすむ※
01/27
除雪車のひびきを夢のかたはらに
01/26
遠浅間見えて上州空つ風
01/25
払暁の天空にあり寒の月
01/24
雪嶺を従へ富士のかがやける
01/23
雪吊のてつぺん雪のまづ積もり※
01/22
悴んで通過列車に背を向ける
01/21
大寒の虚しくまはる観覧車※
01/20
底冷えやじんじん痛き手術痕
01/19
遠富士の日ごとに増ゆる雪の色
01/18
手になじむマウス親しき冬籠り
01/17
薄すらと雪積む屋根の大鴉※
01/16
餅花のうしろの部屋の暗さかな※
01/15
山鳩のこゑのすぐ止む霜の朝
01/14
街の灯のすきとほりゆく寒さかな
01/13
晴れてきし雪新らしき雲取嶺※
01/12
外つ国の錆びしコインや冬の雨
01/11
髪を剪る鏡のなかに冬青空
01/10
人間をかくも懼れぬ寒鴉
01/09
松過ぎの壁の時計の進みぐせ
01/08
饒舌な一団去りぬ藪柑子※
01/07
久々の顔の揃ひし初稽古
01/06
さりげなく別るるが良し龍の玉
01/05
水仙の明日開かむとする力
01/04
四日はや怠惰な午後となりにけり※
01/03
読初のまづは眼鏡を拭ひけり
01/02
遠富士を翼の下に初鴉※
01/01
ひとつのみ願へば足りる初詣※
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