最終更新日:2008/6/6



 9          〃       後編
更新日時:
2007/03/05 
家に戻ると、冬真(トウマ)さんは、もうお風呂から出てて、タオルをクビにかけた状態で、ソファーに座ると、足を組んで早々にコーヒーを飲んでた。
 
「あら?早かったのね。」
 
そう言って笑って、彼の側に座り込んだ私に、「ああ。」と言った彼は、いきなり私にキスをしてきた。
 
「な・・・に?」
 
驚きながら、彼の口から逃げた私だけど、また強引に重ねられた。
舌を強引に突っ込んできて、また私を気持ちよくさせるキスをしてさ。
頭の芯がまた、熱くなる。
でも、とっさに思った。
これ以上、熱いキスをされたら、体の疼きが抑えられなくなるって。
だから、私は、必死になって自分から唇を離した。
そして、即彼にこう言った。
 
「喧嘩売ってる?」
 
って。私が、抱いてほしいのを必死で我慢してるのわかってるくせに、こんなことして!
意地悪を通り越して、腹が立つんだけど!!
でも、彼は、「んなわけねぇーだろ。」と大笑い。
 
「じゃー、なによ!」
 
と言いながら、彼の足をバシバシ叩いて、怒ってる私なのに、彼ったら、ノンキにコーヒーを飲みながら口を開いてくんのよ!
それも、こんな言葉。
 
「味どうだった?」
 
「はぁ?」
 
何をわけわかんない事、言ってるのよ!
思いっきり、にらみつけてやったわよ。
すると、その目を垂れ目にするために、彼が両手で下にひっぱる。
 
「怒るなって。」
 
「怒りたくもなるよ!」
 
垂れ目にされながら、文句タラタラの私に、彼はまたもや笑ってた。
 
「酒の味が消えたか、体感してもらおうと思ってな。
で、どうよ。酒のにおいするか?」
 
そう言われたら・・・。
お酒のにおいはしなかったかも。
って事で、再確認!!
私は彼の口に顔をくっつけた。
 
「息吐いて。」
 
私の申し出に、「ハァー。」と息を顔に吹きかけてきた彼。
それには、感動!!
 
「すごい!どんなマジック使ったの?
全然しないよ。」
 
目を輝かせて、くいつく私に彼は満足そうに笑ってた。
 
「よし。これで、オペは問題ないだろ。
血液検査でも、たぶん・・・出ねぇーだろうからな。」
 
そして、「よっしゃ。」とガッツポーズをして・・・またコーヒーを飲んだ。
 
「ねぇー。」
 
彼の足を揺らす私に、「なんだよ。」と言ってきた彼。
 
「なんだよじゃないよ。教えて。
どんなマジック使ったの?」
 
だけど、彼は笑って教えてくれない。
 
「ねぇーってば!」
 
と彼の膝に乗っかって、彼に抱きついて襲い掛かった時、「ガタン。」と大きな音が立ち、ポケットから何かが落ちた。
 
「何か落ちたぞ。」
 
そういうと、私を抱えながら、冬真(トウマ)さんは前かがみになる。
そして、落ちた物体を取った。
 
「これ・・・。」
 
あっ!そうだ、忘れてた。
私は、彼の手の中にある物を指さした。
 
「さっき、右京さんが持ってきたのよ。
冬真(トウマ)さんが、携帯破壊した事わかったみたいで。
データーも全て、入ってるからって!
今までの携帯ないのに、よくできたわよね。
さすがは、右京さん!」
 
右京さんをコレだけ褒めたら、きっと冬真(トウマ)さんの顔は・・・。
と思ったら、案の定、すっごいうれしそうに笑ってるし。
まるで、自分が褒められたみたいな笑顔で、携帯を見てさ。
 
「右京はサイコーだな。」
 
なんて言ってるのよ。
さっきまで、『クビだー。』って言ってたのは、誰でしたっけ?
意地悪いいたいけど、まーいっか。
こんなにかわいい顔されたら、許しちゃうよ。
私は、そのまま、彼に抱きついた。
 
「ねぇー、今夜は抱いてくれるよね。」
 
そう言ってお願いして、彼にキスをする私。
 
「そうだなー。」
 
とちょっと気のない返事をして、意地悪をする彼に、「もうっ!」と怒る私。
彼は、持っていた携帯をソファーに置くと、私を両腕で抱きしめてくれた。
そして、私の唇に甘くて熱いキスをくれる。
 
「昨日は、眠れなかったけど。
今日もある意味、眠れねぇーかもな。」
 
なんて言ってる側から、彼の唇は、ドンドン下へと移動していく。
ちょと、待って、これは・・・ヤバイって!!
私は慌てて、ストップをかける!!
 
「ダメだって!今から、やっちゃだめだよ!」
 
だけど、彼は、「平気平気。」と言って聞いてくれない。
それに、そもそも『ここ』はヤバイでしょ。
だって、『ここ』はリビングだもん。
子供たちが入ってくる場所だから。
こんな所で、キスやまして、エッチは絶対にしない人なのに。
我慢できなくなっちゃうくらい・・・。
すっ飛ばしてしまうくらい、ヤリたくなってるって事?
やばいよー。こんな冬真(トウマ)さん、止められないって!!
でも、もう8時半でしょ。
翔空(ショウア)と歩風(アユカ)が降りてくるよぉー。
と思った矢先・・・。
 
「ママー。」
 
と遠くで声が。
 
「うそっ!」
 
っていう私の声と、
 
「チェッ。」
 
という彼の舌打ちが重なった。
彼は私から顔を離すと、私を抱いたまま、声のした方を見た。
まだ、そこには姿が見えてなかったみたいで、私を横に座らせながら彼は耳元で、
 
「セーフ。」
 
と囁いて笑ってた。
それには、私も笑っちゃう。
 
「なんだよ。」
 
と言った彼に、私はドンと彼の腕に向かって、自分の体を体当たりさせた。
 
「チェ。って言っておきながら、小心者じゃない!」
 
少しバカにしたような口調でいった私に彼は、「しかたないだろ。」といいながら、少しふてくされる。
 
「やっぱ、子供たちには見せたくない・・・かな。」
 
そして、私の頬にチュッとキスをすると、姿を現しかけた人物のもとへと歩いて向かう。
 
「歩(アユ)!もう、起きたのか?」
 
梅澤家の唯一の姫である歩風(アユカ)を抱き上げた彼は、歩風(アユカ)にキスをするんだけど・・・。
いつもは、大喜びの歩風(アユカ)が、なぜか今日はすっごい嫌な顔をした。
 
「なんだよ。」
 
さすがに、歩風(アユカ)のこのリアクションにショックを受けた冬真(トウマ)さんは、不安げに彼女に聞くと・・・。
 
「パパ、くちゃぁーい!!」
 
そして、歩風(アユカ)は、キュッと鼻をつまんだ。
それには、もちろん、「へっ?」と私と冬真(トウマ)さんがダブルでビックリ。
くさいって、お酒のにおい?
でも、さっき、本当に治ってたよ。
どういう事?
私は、立ち上がると、2人の元へと向かった。
 
「おい、どうなってんだ?」
 
って私に聞かれても、わかんないよ。
 
「ねぇー、もっかい、息かけて。」
 
「ハァー。」
 
「!!」
 
驚いて、声が出なかった。
何も言わない私に、彼が先にこう言ってきた。
 
「お前、何て顔してんだよ。」
 
って。きっと私は顔をしかめてたんだろうなー。
歩風(アユカ)に負けないくらいの、しかめっつらだったと思う。
なんで、そんな顔するかって?
するに、決まってんじゃん!
だって、冬真(トウマ)さんの息、復活してるんだもん!
 
「なんで?どうして、また、におってるの?
さっき、治ってたのにー!!」
 
大声で叫びながら、首をかしげた私。
それには、彼も同意する。
 
「何でだ?」
 
そして、少し考えた彼は、急に何かを思い出したかのような、「あっ!」って声を上げた。
その声と共に、彼の目は大きく見開き固まった。
 
「何?わかったの?」
 
彼の腕をつかんで聞いた私に、冬真(トウマ)さんはとても情けない顔をした。
 
「何?」
 
そんな顔されたって、わかんないって!
 
「教えてよ、何?」
 
怒り出す私に、彼はと言うと、説明するどころか、いきなり、歩風(アユカ)にこう言った。
 
「歩(アユ)。ママとチューしてみ?」
 
冬真(トウマ)さんの申し出に、「ママー。」と言って私に手を伸ばしてきた歩風(アユカ)。
 
「何なの?」
 
と彼を見るけど、「いいから。」と言われて。
私はわけがわからないまま、歩風(アユカ)と唇を重ねたんだけど、すぐにドンと押された。
 
「ん?」
 
と言った私に、歩風(アユカ)はさっきと同じ顔をして・・・。
 
「ママもくちゃぁーい!!」
 
と鼻をつままれた。
 
「はぁ?」
 
さっぱり意味がわからない私は、歩風(アユカ)から、冬真(トウマ)さんへと目を移す。
 
「どういうこと?」
 
すると、彼は苦笑いをしながら、カラクリを言ってくれたの。
 
「お前の舌に、俺の酒が残ってたんだよ。
だから、お前とさっきキスをした時、俺の舌にも再度移っちまった。」
 
「えぇー!!」
 
驚きで大絶叫の私に、彼は頭をポリポリとかく。
 
「叫びたいのは俺だって。
誘惑に負けたバツだな。
あと、30分もねぇーっていうのに・・・・。
ヤベーな・・・。」
 
そんな余裕ぶっこいてる場合??
こんなオチがあったなんて・・・。
体力を消耗させないために、セックスを我慢してたのに、キスでにおいが復活しちゃうんだったら、セックスすればよかったよ。
やって、においも全部、汗で飛ばせばよかった。
必死で我慢してたのが、バカみたい。
もうっ!!意味ないじゃん!!
ひどいよ、神さま!
こんな仕打ちってある?
それから、冬真(トウマ)さんが家を出るまでの数分間。
冬真(トウマ)さんの息を正常に戻す作戦は、繰り広げられた。
その度に、歩風(アユカ)は冬真(トウマ)さんにキスをされ、
 
「臭い?臭くない?」
 
と親二人に聞かれる。
そして、一方の歩風(アユカ)はというと・・・。
 
「お鼻がへんになるぅー。
歩風(アユカ)、また寝るぅー!!」
 
と必死で逃げ出していたのは・・・いうまでもない。


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