濃い紫と、真っ白。
その中に、あなたはいた。
二人に比べると、身なりもとても小さい。
色も二人と比べると、薄い薄いピンク。
それでも、私はあなたに惹かれた。
色じゃない。
大きさじゃない。
凛とした気品溢れたあなたが、私の目を奪った。
一人で、私の元に来たあなた。
さっきとは、まるで別人のあなた。
弱々しくて、今にも朽ち果てそうなあなたをみていると、心に冷たい風が流れる。
まるで、今、あなたの周りに流れている風が、私の元へと訪れたように・・・。
あなたを連れて外に出る。
月夜が私を照らしてくれる。
今日の月は不思議な月。
半月の周りに、ぼかしが入っているような・・・惑わす月。
まるで、泣いているかのような月。
この月明かりを、あなたにも注いであげましょう。
その月の対角線上にあなたをかがげて見る。
あなたは、また変わる。
深く妖しげな光に照らされたあなたは、生き生きとして見えた。
あなたの薄い薄いピンク色が、眩しい暖かな輝きに変わる。
そんなあなたを見ていると、自然と私も笑顔になる。
家に帰ったあなたを、新しい仲間が迎えてくれる。
その中に入ったあなたは、また変わる。
さっきまで、一人でも強く高らかに見えたあなたが、今は大勢の中で輝いている。
絶対に、一人目立ってしまうだろうと思っていたのに、そんな事はない。
なら、あなたが、周りに合わしているのか?
そうでもない。
ゴク自然に、あなたは、そこに溶け込んでいる。
我慢しているのではない。
抑えているのではない。
自分らしさを忘れずに、あなたは確かにそこで生きている。
あなたは、命ある限り、もっともっと変化(ヘンゲ)するだろう。
そんなあなたの一生を、私は見届けたくなった。
世間よりも一足早くあなたと出逢えたこの時を、無駄にはしたくない。
そして、あなたの命が尽きた頃、街にあふれているあなたの仲間たちに、私は語るだろう。
私の心を和ました、『一枝の桜の木』の話を。
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