約束の日。
約束の時間。
約束の場所。
私はここにいるよ。
あなたの大切なモノ達も、ちゃんとここにいる。
でも、何でかな?
いるはずの、あなたの姿がない・・・。
ずっと、ここにいると思ってた。
変わらずあなたは、元気でいてくれると・・・。
それが、当たり前だと・・・思ってた。
ねぇー、覚えてる?
あなたが、丹精こめて作ったプチトマトを、ハウスに入って食べたよね?
初めてハウスに入った私。
初めて自分でトマトを採った私。
初めて洗わず、そのままの新鮮なトマトを食べた私。
あの味もあなたの笑顔も、鮮明に覚えてるよ。
あなたは、たくさんの自分の宝物を見せてくれたよね?
大きく育ったスイカを、カラスに食べられて、それを阻止する為に、大きな網をかぶせてた。
あのとてつもなく広い土地に、たった一人で網を張って。
大きなナスや、さつまいもをもらったね。
「今度は、だいこんを一緒に抜こうな。」
あなたはそう言ってた。
私は、すごく楽しみだったんだよ。
指折り数えて・・・。
でも、あなたは、ここにはいないね。
私は、一人・・・あなたの大切なモノ達の前に立ってる。
主がいないのに、大きくスクスクと育っている野菜たち。
かぶら。丸大根。大根。春菊。ほうれん草。チンゲン菜。ゆず。キュウイ。
だけど・・・。
なんでかな?
土から見えてる大根は、あなたが戻って来るまで、また土にいると言い張って、あまり姿を見せてくれなかったんだよ。
なんでかな?
霜対策のために、念入りにつけられたハウスの中で、綺麗な姿で育っていた春菊は、どうやっても、ハウスが取れないの。
まるで、あなた以外には、取られたくないみたいに・・・。
なんでかな?
キュウイは、太陽に近い位置にばっかり、大きな身を宿してるの。
ちょうど、あなたの身長で採れる位置に、彼らはいるの。
鳥もそれは、なぜか、奪わない。
鳥ですらも、あなたの帰りを待っているかな?
ねぇー、あなたは今どこをさまよってる?
体は病院。
心も病院。
呼吸も病院。
だけど、意識は?
あなたの記憶は?
前触れもなく、突然旅立ってしまった、あなたの一人旅は・・・。
今、いったい、どのあたりを横断しているのでしょう。
今は、ゆっくり、色んな場所を渡ってきていいよ。
みんな信じてるから。
あなたが目覚めた時、あなたは、何も失っていない。
自由も記憶も、失っているかもしれないけど、目に見えないものは何も失っていないから。
あなたを心から慕う、たくさんの人の心は、絶対に失われないよ。
だから、戻ってきてね。
迷わず、間違わず。
あなたを待っているモノたちがいる場所へ。
あなたが愛している畑へ・・・。
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