息を荒らしながら、私は急斜面を登る。
フラフラとよろけ。
それでも、必死で斜面を登る。
20分後、行き着いた先は、小高い山の頂上。
ここから見る景色は、私に笑顔をくれた。
なんていうんだろう。
いろんな想いを抱えていた自分が・・・。
いや、自分の人生そのものが、すごくちっぽけに思えた。
悩む事。不満に思う事。腹が立つ事。
そんな人生において、重要と思えていた全ての物が、とてもちっぽけで、そして・・・笑えた。
「しょーもない。」
そう言えちゃうくらい、自然は私を解放してくれた。
「ありがとね。」
知らないうちにそう囁いていた。
もちろん、返事なんて期待してない。
っていうか、ないでしょ。
相手は、自然なんだから。
でもね、自然は、やっぱり、すごいんだよ。
不可能を可能にしちゃうんだもん。
私に、ちゃんと返事をくれた。
あたりの木が、急にザワザワとざわつきだした。
「な・・・何?」
私がそう言った瞬間、急に突風が吹き荒れた。
帽子が飛ばされそうになる。
慌てて、帽子を押さえて首をすくめ、目をつぶりかけた私の視界に入ってきたものは・・・。
「何・・・これっ!」
つぶるはずだった瞳は、この上ないくらい開いてた。
周りにあった花たちの花びらが、目の前を舞う。
緑の芝生が、そよそよと揺れ、まるでそれは、波のように揺らめいた。
大きな杉の木が、葉を順番に揺らし、音楽を奏でる。
ここにいる全ての者たちが、私を歓迎してくれているようだった。
「あんたたちは、すごいよ。」
笑顔で言った私の言葉に、彼らの演奏は、ユックリとおさまっていく。
そして、やがて、信じられないくらいの静けさが、辺りに広がった。
さっきまでの、演奏会が嘘のようだった。
どんなおもてなしよりも。
どんな言葉をかけられるよりも。
彼らのおもてなしに勝るものはないだろう。
そして、私は口にする。
「また・・・来るから。」
心が小さくなった時。
何もかもが嫌になった時。
私は、また、ここに来るだろう。
あなたたちの最高級のおもてなしを求めて・・・。
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