天気のいい朝。
今日の私は、いつもと違う。
なぜなら、何年かぶりに、自転車にまたがり、近くの運動公園へと向かった。
今日は、ゴールデンウィークの、なか日という事もあり人が多かった。
目的が無い私は、ユックリとペダルをこぎながら、広い運動公園を一周する。
周りきった私は、ある場所に着くと、自転車から降りて、近くのベンチに腰を降ろす。
そこは、日陰になっている上に、風も適度に吹いていた。
私は気持ちよくなって目をつむる。
そして、だんだん私の心が無になり、何も頭で考えなくなった時、私の周りでクイズが始まった。
「カキーン。」
「わぁ〜!!!」
わかったっ!これは、野球だな。
きっと、今点数が入ったんだ。
「走れぇ〜。」
「ピピィ〜!!」
これは、なんだ??
聞こえてくる方角から推測すると・・・。
あっ!サッカーか。
さっき、サッカー場の裏の控え室への入り口付近に、若い子がいたもんな〜。
男前はいなかったけど・・・。
ちょっと、余計な事まで思い出して苦笑いの私。
さっ!気を取り直して、次々!
次に訪れてくる音に私は期待を持つ。
「バシ!バシ!」
「アウト!!」
これは・・・体育館から聞こえてくる。
何かが、はたき落とされる音・・・。
う〜んなんだ??
ちょっと、苦戦してしまう。
真っ白な私の頭の中に、なぜか『みのもんた』さんが出てくる。
選択ではないくせに、なぜか『クイズミリオネア』になってる・・・。
彼の顔が私の答えをせかす。
え〜、なんだなんだ〜。
必死に考えぬいて・・・わかった!
バトミントンだっ!
そう答えた私に、みのもんたさんは、間髪を入れずにこう言う。
「ファイナルアンサ〜?」
って・・・。
だから、これはミリオネアじゃないっちゅ〜の。
と、自分に突っ込みながらも、頭から消えないみのもんたさん。
仕方なく、彼に答える。
「ファイナルアンサー。」
「正解!!」
意外にあっさり答えたみのもんたさんに、ズコとこけてしまう私。
そんな私に、次の問題が届く。
「ダンダンダン。」
「パシュ。」
「キャァ〜〜!!」
これを聞くと、高校時代に流行っていた『スラムダンク』というマンガを思い出す。
私の親友が大好きだった。
高校の卒業アルバムに書く『将来の夢』の欄に、彼女は、『流川くんと結婚する!』
と書いていた事を思い出し、「プッ。」と噴出し笑いをしてしまう。
すると、今度は私の頭に、しっぽの生えた小憎らしい悪魔が姿を現す。
「お前だって、すごい事書いていたぞ!
『玉の輿に乗るぞ!』と書いてなかったか?」
げっ!!なぜ、それを!!
私は、慌ててその子悪魔を頭から抹消する。
「ウギャ〜。」と言って彼は姿を消した。
はぁー、びびった。
「ふぅー。」とため息を付く私に、またしてもみのもんたさんが登場!
こっちをにらんでいる。
あっ!まだ答えてなかったか・・・。
我に返り、私は彼に答える。
「バスケット。」
「はい、正解!」
今度は、「ファイナルアンサー。」すらも言ってもらえなかった・・・。
冷たいみのもんたさん・・・。
すごく悲しくなる私をよそに、みのもんたさんは私の前から姿を消した。
私の中で、クイズが終わったのだ。
「はぁー、終わったか〜。」
とつぶやく私の耳に、空からある音が届く。
それを聞きながら思ってしまう。
テレビを見ている時とか、話をしている時とか、「うるさいっ!」と何度も言ってしまうこの音。
だけど、こうやって気持ちを落ち着かせて音に身をゆだねていると、こんなにも心を落ち着かせる音だったんだな〜。って。
たぶん、この音を聞いて育っているから、余計にそう思えてしまうのかもしれない。
そして、私はまだ目をつむったまま、いろんな音を堪能していた。
その時だった。
私の右足の太ももに、小さな暖かい物が触れた。
驚いて目を開ける。
なんと、そこには1歳半くらいの男の子が突っ立っていた。
キョトンとした顔で私を見る男の子。
どうしていいかわからない私は、ちょっと引きつった顔で笑う。
その顔に、その子は驚く所か、私に「ニコー。」と、とてもかわいい笑顔をくれた。
そして、「バイバイ」と言って、私に手を振って、お母さんのもとへと帰っていく。
その笑顔はまさに天使の笑顔。
その子を見送りながら、手を振る私の顔にも笑顔が出来る。
それは、さっきとは違って、心から笑っている笑顔だった。
私も、あの子みたいな天使の笑顔になっていただろうか??
END
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