8月2日昼過ぎ
観光客と登山者で賑わう上高地。
缶ビール1本を買い、足早に横尾へ。
15時30分横尾小屋
本谷橋を渡り、屏風岩を遠巻きに眺めながら涸沢カールを目指す。
45年前、山岳部の合宿ではじめてこの地を訪れ、体力も精神力もない私は何度も倒れ、先輩のM氏に怒鳴られながら登った忘れることのできない道である。
18時30分涸沢のテント場
すぐに適当な場所を見つけツエルトを張り、軽く食事を取り、早々と眠りに就く。
夜中に目が覚める。
寝袋に入ったままゴソゴソとツエルトの中より顔だけを出す。
思ったより星は小さいが満天の星である。
時計を見ると0時15分 8月3日である
しばし夜空を見上げる。
5時過ぎ周りが明るくなってきた
快晴!すぐに寝袋から出て荷造りを済ませる。
涸沢の朝はどこまでも爽やかだ。
目の前には前穂高・吊尾根・奥穂高・白出のコル・涸沢岳・涸沢ヒュッテ・北穂高・そして残雪・・・どれも懐かしい風景だ。
前穂の先端、屏風の頭あたりから記念すべき太陽が現れる
思わず大自然に感謝! 妻に感謝! 今は亡き両親に感謝!そして今までご縁のあった方々に感謝! 邂逅に謝念する。
朝6時、
涸沢ヒュッテの前を通りザイテングラートに入り奥穂小屋を目指す
ザイテングラートは登山者で渋滞し途中落石があり肝を冷やす場面もあった。
10時奥穂小屋着
少し休憩した後、奥穂高から前穂高へと向う。奥穂高までは登山者も多く少々うんざりしたが、奥穂高を過ぎると登山者も少なくなり、岳沢を見下ろしながらゆっくりと歩いた。
13時前穂高山頂
周りに人影は無い。リックを降ろし、残雪で冷やした缶ビールを取り出し60歳に乾杯! 「山深ければ谷深し」と云うが、私は、やるべき時に逃げてきた感がある。あまり苦労もせず、その分感動することも少ない。さて後半の人生はどうなるのか・・・・
いつしか山頂は濃霧につつまれ、下から吹き上げて来る風の音。
時折聞こえる鳥の声。
山影に沈んでいく夕陽は私と山頂だけを照らしていた。
閑林独座す草堂の暁
三宝の声は一鳥に聞く
一鳥声有り人心有り
声心雲水ともに了了
後夜佛法僧鳥を聞く 空海作
夕陽に向って腕振り瞑想し、8月3日の記念すべき一日を終えた。
8月4日小雨の岳沢を下る。
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