奄美・屋久島の旅の二つ目の目的は、おじいたちからの聞き書きだ。
このところ、琉球の島々の一昔前の里周辺の自然の有様を知りたくて、おじいの家をまわっている。
奄美のSおじいとは、一年ぶりだ。
挨拶だけでもと思ったら、あがれ、あがれと招き混んでくれた。大正生まれのおじいが、今だに手作りをしているという黒糖(といっても、おじいの黒糖は、ほとんど白い)を御馳走になりながら、話を聞く。
「この前のノーベル賞はクラゲの研究だったが、昔の人は、もっとすごい」
おじいがノーベル賞の中身を知っているのもなかなかすごいと思うけど。
それはさておき、おじいがすごいというのは、製糖にかかせない、石灰のことだ。この石灰の混ぜ具合で、砂糖のできが決まるという。この石灰は、かつて、海から珊瑚を運び、焼いて作ったという。
「どうして、珊瑚を焼いたものを使うと、砂糖ができるとわかったか?」
それがすごいというのだ。
おじいは痛烈な人でもある。
昨年、話を聞いたときは、「宇宙なんかにいかんでもよろしい」というようなことを言った。「宇宙には金持ちしかいけんでしょう。もっと、みんなができることを考えた方がいい」と。この一言に、かなり感動した。
今年もおじいは僕に言う。
「発明は悪い」と。
ブルドーザーを発明したおかげで、道を造るときも人がいらなくなってしまった。その人はどうするのか?人間の脳にはきりがない。今度はロボットを作ろうとしている。ロボットなんかを作ったら、もっと人が余ってしまうではないか・・・と。
石灰の発明とロボットの発明には、多分、違いがある。
屋久島のWおじいを尋ねる。
おじいは昔の田んぼ仕事の話をしてくれた。
5月。
浜から「トビウオだー」との声がすると、田仕事をほっぽりなげて、全速力で浜に走り、船に乗って、トビウオを捕りに行ったという。
ここでは、一年のある日、百姓が漁民に返信するのだ。
「ああ、思い出すねぇ」
嬉しそうに、半ば興奮しながら話す様に、また、感激する。
それにしても、田仕事をしているかと思えば、次の瞬間は、漁師ですか・・・。そう、感嘆すると、「人が足りなかったからね」とさらりと返ってきた。
私たちは、何を作ってきたのだろうか。
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