ゲッチョのコラム



 1   コウズミン
更新日時:
H21年6月30日(火)
石垣島へ。
石垣島在住の、波照間島出身Sさんに話を聞きに行く。
ジュンマリムゴン
ミングルミン
話の中に、こんな単語が出てくる。
なんて魅力的な発音のコトバだろうと思う。
ジュンマリムゴンとは、冬眠中のヤシガニのこと。
ミングルミンとはキクラゲのこと。
話はいろんなびっくりをたくさんつめこんだものだったけれど、その中のひとつを紹介する。
波照間島では、かつて野生のキノコは3種類、食用にしたという。ミングルミンとスミンとコウズミン。それが食用となったキノコの名前だ。
ミングルミンはキクラゲのこと。ではコウズミンとは?
話を聞くと、どうやらこれがスエヒロタケのようなのだ。それにびっくり。
スエヒロタケは枯れ木に生えるキノコである。雑木林のみならず、沖縄の島々でもごく普通のキノコだ。びっくりなのは、このキノコを食用とすること。これも外に報告はある。中国とかアフリカでは食用にしているそうだ。アフリカの例では、おいしいだしの出るキノコとして紹介されている。ではなぜびっくりなのかといえば、このキノコは人体に発生した例があるキノコだからだ。僕はウミガメの骨に出たものを見たことがある。そんな話を聞くと、とても手がでなくなるのだが・・・。
寡聞にして、これまで日本でスエヒロタケを食用にするという例を聞いたことがなかった。どうやらそんなキノコを食用にしていた島があると聞いて、あらため琉球列島の多様性を思い知る。

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更新日時:
H21年6月23日(火)
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 3   石灰とトビウオ
更新日時:
H21年6月23日(火)
奄美・屋久島の旅の二つ目の目的は、おじいたちからの聞き書きだ。
このところ、琉球の島々の一昔前の里周辺の自然の有様を知りたくて、おじいの家をまわっている。
奄美のSおじいとは、一年ぶりだ。
挨拶だけでもと思ったら、あがれ、あがれと招き混んでくれた。大正生まれのおじいが、今だに手作りをしているという黒糖(といっても、おじいの黒糖は、ほとんど白い)を御馳走になりながら、話を聞く。
「この前のノーベル賞はクラゲの研究だったが、昔の人は、もっとすごい」
おじいがノーベル賞の中身を知っているのもなかなかすごいと思うけど。
それはさておき、おじいがすごいというのは、製糖にかかせない、石灰のことだ。この石灰の混ぜ具合で、砂糖のできが決まるという。この石灰は、かつて、海から珊瑚を運び、焼いて作ったという。
「どうして、珊瑚を焼いたものを使うと、砂糖ができるとわかったか?」
それがすごいというのだ。
おじいは痛烈な人でもある。
昨年、話を聞いたときは、「宇宙なんかにいかんでもよろしい」というようなことを言った。「宇宙には金持ちしかいけんでしょう。もっと、みんなができることを考えた方がいい」と。この一言に、かなり感動した。
今年もおじいは僕に言う。
「発明は悪い」と。
ブルドーザーを発明したおかげで、道を造るときも人がいらなくなってしまった。その人はどうするのか?人間の脳にはきりがない。今度はロボットを作ろうとしている。ロボットなんかを作ったら、もっと人が余ってしまうではないか・・・と。
石灰の発明とロボットの発明には、多分、違いがある。
屋久島のWおじいを尋ねる。
おじいは昔の田んぼ仕事の話をしてくれた。
5月。
浜から「トビウオだー」との声がすると、田仕事をほっぽりなげて、全速力で浜に走り、船に乗って、トビウオを捕りに行ったという。
ここでは、一年のある日、百姓が漁民に返信するのだ。
「ああ、思い出すねぇ」
嬉しそうに、半ば興奮しながら話す様に、また、感激する。
それにしても、田仕事をしているかと思えば、次の瞬間は、漁師ですか・・・。そう、感嘆すると、「人が足りなかったからね」とさらりと返ってきた。
私たちは、何を作ってきたのだろうか。

 4   コガネムシタケ
更新日時:
H21年6月23日(火)
奄美・屋久島とでかけてきた。
いくつかの目的があったのだけれど、そのひとつが、今がシーズンの琉球列島の冬虫夏草調査。奄美では島在住の冬虫夏草屋であるフジモトさんに案内してもらい、島内有数の坪をめぐる。
アマミセミタケをはじめ、アマミヤリノホセミタケ、アマミコベニタンポタケ、それにシロタマゴクチキムシタケなど、あこがれの冬虫夏草二で合うことが出来て、感激しきり。コガネムシの幼虫生の、不明種まで飛び出す有様だった。
奄美の日程を終了し、引き続き、屋久島へ。
言わずと知れた、ヒュウガゴキブリタケもうでである。
ところが、今年は渇水騒ぎさえおこったと、在住のヤマシタさんに聞いて驚く。
確かに、沖縄も今年の梅雨はへんてこりんだった。いつまでもさわやかな風が吹いていたのだ。
坪にはいると、ゴキブリタケはあった。しかし、数は少ない。そして、ゴキタケ以外の虫草が、まったく不作。カメムシタケでさえ、さっっぱりだった。
ところが、あまりに不作だったため、普段は探さないところまで目をこらしたせいか、はたまた、今年の天候不順が、この種には吉とでたのか、今まで姿を見たことがなかった、コガネムシタケがいくつも出た。
コガネムシタケを見たのは、随分前、神奈川の山の中での1本だけだ。そのご、八丈島では割と数がでるというのを、島の知人に話に聞き、標本もわけてもらったのだが。全国的に見ても、産地の少ない虫草だろう。
虫草は湿度を好む。
近年の天候の変わり様は、虫草を見ていると、ときどき不安になってくる。
来年の屋久島で、僕は何を思うのだろうか。

 5   アマミセミタケ
更新日時:
H21年6月12日(金)
相変わらず、天気がいい。
ヤンバルで見つけた、唯一、坪と呼んでもいい、森にむかう。
先日、ハブにかまれた生き物屋(しかもそのかまれた現場とそう離れていないはず)の話を聞いたばかりなので、少しだけ慎重にシダの茂みをかきわけ、進んでいく(幸い、咬まれた人はケータイも通じたため、ことなきを得た・・・とか。ただし、メチャクチャ痛いという話)。
シイとオキナワウラジロガシの森。
林床にひざをつけ、視線をおとす。
細いツクシのような子実体が、林床から伸び上がっている。
アマミセミタケが今年も見つかった。
それにしても、森の中に座っていてもさわやかなのに戸惑ってしまう。
昨年は過度の湿度に老眼鏡は曇り、長袖を着ているので汗みづく、さらにはわずかな皮膚の露出をねらって、ブユだのヌカカだのがわんさか取り付いてきたものなのに。
場所をかえ、今度は沢沿いの森で石めくり。冬虫夏草ではなく、ホラアナゴキブリ探しだ。なにせ、小さく、すばやい。うまく見つけても、回収するのが大変なのだけれども。そんな石めくりをしていて、ドキッとする。石の裏にザトウムシが張り付いている。しかもルーペをのぞくと、脚に子のようなものが。
クモにつく冬虫夏草も数が多いが、寡聞にして、ザトウムシにつく冬虫夏草を知らない。
これは珍しい!(現在、研究者に見てもらっている)。
ザトウムシの虫草を見つけた森は、もともと一度、開墾された場所で、現在も別の目的ではあるが、建物が建てられている場所だ。決して原生林ではない(それどころか、近くにはヤンバルでは珍しいが、スギの植林地さえある)。今までに見つけた冬虫夏草は、せいぜいツクツクボウシタケぐらいだ。それでも、こんな坪と呼べるほどの虫草の発生適地でなくても、こんな発見が、ポツリとあったりする。
ヤンバルの森は、やはり時として、びっくりするような宝物をしまいこんでいる。



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