南部にある、小谷という集落の方に話を聞く機会を得た。
この集落は、沖縄に引っ越して以来の、僕の散歩コースのひとつだ。
沖縄は急速に都市化したことから、農村部の自然環境が激変してしまった。
ヤンバルの自然も興味深いのだけれど、僕は雑木林のように、長い間、人と関わりの深かった自然についても、強い興味を持っているのだ。ところが、沖縄ではなかなかそんな自然が残されていない。そんな中で、小谷は例外的に、古い時代の面影を残している集落に思えた。
この小谷は、かつて家々の周囲をホウライチクで覆っていたという。それはホウライチクを使った竹細工が盛んであったからだ。
「僕は7つのときからバーキを編んでいましたよ」
そんな話を聞く。
バーキというのば、ザルの一種である。そしておじいさんが7つの頃から編んでいたバーキは、売り物だった。
「13のときからは、自分でつくったバーキを担いで売りにいきました」
こうも話す。
その道のりたるや。
朝3時に現在の南城市にある小谷を出発し、昼の12時に糸満に到着したというのであるから。しかも糸満で売り切れた場合、さらに那覇までバーキを売りに行ったという。
こんな話を、海の見える高台にある、おじいさんの畑でうかがう。
昔はよかったなど、とても思えない話だ。
それでもなお、今でよいのかとも思う。
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