タニカワ先生が沖縄にやって来た。
スギモッチとともども飲み屋にくりだす。
あいかわらず、ずーっとクモ話。それがまたおもしろいのだけれど。
「今年はオオトリノフンダマシを二回見ました」
スギモッチがいう。
うらやましい。
オオトリノフンダマシは埼玉にいたころは普通種だった。ところが沖縄ではまだ姿を見ていない。タニカワ先生も沖縄では珍しいよという。埼玉ではクワ畑のへりや休耕田のススキ原がオオトリノフンダマシを捜すときのポイントだった。が、沖縄では捜すポイントがてんでわからない。
しかし南には南の自然がある。
奄美や沖縄からはツシマトリノフンダマシが記録されている。このクモは鳥のふんというよりはテントウムシそっくりのクモだ。
「まさに神がかりてき」
スギモッチが笑う。
スギモッチが初めてタニカワ先生に会った日、スギモッチは生まれてはじめてツシマトリノフンダマシに会ったからだ。それも目の前にいとをひいて下りてきたというのである。タニカワ先生にしてもこれはビックリであった。
そもそもタニカワ先生が初めて見たスギモッチは捕虫網を頭からかぶって中の虫を取っている姿だったそう。
一方スギモッチにいわせると、この日の夜、タニカワ先生がお酒を飲みつつ、思い出したようにクモを「へへーっ」と拝んでいたそう。
どっちもどっちだ。強烈である。
ツシマトリノフンダマシはいまだオスが未知のクモであるのだという。
そのメスですらまだ拝んだことがないのだが、その話に、ちょっと血が騒ぐ。
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