エントモさんのお兄さん夫婦が岩手からやってきた。
「出てくる時はマイナス6℃だったのにね」ーそう言って笑う。
さっそく飲み会が始まったのだが、僕はエントモさんのお兄さんーマサキさんの話に聞きいっていた。
マサキさんの家はマッチ工場をしていた。そのマサキさんが子どもの頃、周囲には「スーパーじさま」が何人もいたという。
山を見るだけで、材木がどれくらいとれるか正確に見てとれる・・・という職人技のじさまがいた。このじさまの日当は、今から3〜40年前で3〜5万もしたという。今に直すとかなりの額だ。
マサキさんが今だに覚えているのは「ハヤシのじさま」。このじさまは話がうまくて、人生60年、今だにあのじさま以上に話がうまい人にあったことがないと言う。
「例えば寒スズメ捕るにはどーするか。ザルでパタンっていうのがあるだろ、あれはダメダ。まず米をショウチュウにつける。三日ぐらい陰干し。その米を庭にまくんだ。米をまく前に、小石もまいておく。その小石のそばにカキの葉もしいとくわけだ。スズメがやってきて米食うだろ。酔う・・・というわけ。いい気分になって、ああちょうどいいマクラがある・・・と小石に頭のっけてねるっつうわけよ。そうすると、そのうち下にしいてあったカキの葉がくるくる・・・っとまるまってね、それをザルもってって葉っぱごとひろう・・・っていうわけ。これがスズメとる方法」
「ウサギのとり方っていうのもあるんだよ。雪野原。足跡あるでしょ。あのヤブに入ってるな・・・とわかったら、そこでどなる。ウサギーッって。それでウサギ、ウサギ、ウサギ・・・ってだんだん声を小さくしていくと、ウサギは遠くへいったんだなーって勘違いして、そこをホラッってつかまえる・・・。オレが言うとウソだと思うだろ。でもじさまが言うとオレら本気にしたんだ。
そのじさまがしゃべるとその世界に入るんだよ。コタツに入ってミカン食いながら、じさまがどなるわけ。ウサギーッって。あと、カモのとり方ってのは・・・」
マサキさんの話は終わらない。
かつて、日本中のどこにでもスーパーじさまはいたはずだ。
いつから日本にスーパーじさまが生息できなくなったのだろう。
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