ゲッチョのコラム



 136   骨の鑑定
更新日時:
H18年12月21日(木)
以前勤めていた学校の卒業生、モリから電話が入る。海岸で見つけた骨の鑑定をしてほしい・・・と言う。
モリはヤンバルで自然体験のガイドのような仕事をしている。スコーレの生徒たちも、何度かお世話になった間がらだ。がっしりした体と日焼けした顔は、ちょっと見、沖縄の海人のようだ。
そのモリが一緒に来たのがスズキさん。以前、一度会ったことのある、「北限のジュゴンを守る会」の代表をしている女性だ。
「お金がなくてもできることをしたいの」
スズキさんがそう言う。
ヤンバル沿岸にはジュゴンが生息している。しかし、その基礎データさえきちんと集まっていない。保護を考えていく上では、まず地道なデータ集めから始める必要があると言うのだ。例えば海底のはみあとやフンの調査。海岸で骨が見つからないかーということも調査対象の1つだという。モリもこの調査員の一員だったのだ。
「ジュゴンじゃないなあとは思って。でもカメでもないし、クジラでもない。さっぱりわからなくて」
そんな調査の時に見つかったのだ鑑定の品だ。
箱をあけ、一目見て、ああこれはフツウわからないかもしれない・・・と思う。
「これはダチョウの胸骨です」
「ダチョウ?鳥までは考えてもなかった」
スズキさんも、モリもそう言って笑う。
「これでスッキリと年こせますよ」
ジュゴン保護の現状などを、いろいろ話して聞かせてもらった後、スズキさんはもう一度笑いながらこう言った。

 137   ふり
更新日時:
H18年12月20日(水)
ホロホロチョウの骨が見てみたくて、骨つき肉を取り寄せた。ただしモモ肉しか手に入らなかったのだけど。ワインとバジル、ニンニクで煮込んで料理。
ホッシーとエントモさんもよんで、ささやかながらスコーレ1年間のごくろうさん会をした。
かなり酔っぱらったので細かい話は覚えていない。
それでも覚えておこうと思った一言がある。
それはホッシーが「ふりはするな」と言ったこと。
先生のふり。
大人のふり。
○○さんのふり。
つい僕らはふりをする。自分でも思いあたるふしがある。そんなことをした後は、後悔が残る。
出来ないことがある。出来ることもある。
何事かにつきあった時、正直にその両者をまず自分で見つめる・・・ということかもしれない。
ふりはしないでやっていきたい。

 138   とうんじー
更新日時:
H18年12月20日(水)
今年もとうんじーあしびの季節がきた。
「スコーレでは1つの宗教によった、クリスマスパーテイはやらない」
これが初年度、ホッシーの言った一言だ。
例えばそのネーミングで排除されてしまう誰かがいるかもしれないから。で、かわってみんなで集まるパーテイをとうんじーあしび(冬至遊び)と名づけた。
夜間中学の生徒や、その家族も含め、スコーレ関係はこんなに人がいるの?と思うぐらいの人ごみ。
タイ語の歌あり、インドネシアの踊りあり、片スミから聞こえるのは中国語・・・とこれまた多国籍。
有志の出し物もあるのだけれど、やっぱり各学年ごとのメンバーの出し物がおもしろい。このメンバー全員で何ができるのかーを考えた末に出された出し物に、びっくりする。
皆、他者を楽しませることに知恵をしぼっている。
「僕にはこんな才能ないなー。いやーすごいパワー。ふつうのとこでは、パワー出すとこ違うよって言われちゃうかもしれないけど」
怪人サトウ君がしきりに言う。
毒ヘビとたわむれ、カメと格闘し、サメのアゴが宝物のサトウ君は、一人で山の中にこもれ・・・と言われても平気。でも何かパフォーマンスをせよ・・・と言われたら逃げ出したいそう。
「この場に自分がいるってことだけで、自分をほめてあげたいもの」
さらにサトウ君がこんなことを言うので笑ってしまう。
僕も似たような感覚がある。昔から集団で何かをすることも、何かを集団でしているのを見ていることさえも苦手だった。
そんな僕らをも巻き込むパワーが生徒たちにはある。
ちなみに僕も事務局チームで「芸」をさせられた。ホッシーやスギモッチらとパラパラを踊る(はめになる)。
来年、サトウ君が踊っていたら、これはまた何よりおかしいと思う。

 139   ハリセンボンのウオノエ
更新日時:
H18年12月16日(土)
那覇の若狭小へ、虫の授業。
今年の授業のしおさめだ。
前夜、埼玉時代の教え子が2人遊びに来たので、酒を飲み過ぎた。ちょっと重たい体にカツを入れて教室へ。
いつにもまして、元気な3年生たちが迎え入れてくれる。
ダンゴムシは、実はカニやエビの仲間なんだよ・・・そんな話をして、海にすむダンゴムシの仲間、グソクムシの標本を見せる。と、ある子が「ハリセンボン食べた時、おんなじようなのがいた」と言う。ハリセンボンの口の中にはウオノエという寄生性のダンゴムシの仲間がくっついていることがあるのだ。タイの口の中に住んでいるやつは割と有名だが、ハリセンボンの寄生者が話題にのぼるのが、さすが沖縄。
今日の思わぬ収穫は、この一言だった。

 140   オオクサボクの木の下で
更新日時:
H18年12月16日(土)
オオクサボクは広く厚い葉をつける。
細長い実のへりにねばりけがあり、鳥の体について運ばれるようだ。
佐敷町、小谷の集落は、様々な種類の木々に生垣に囲まれるが、その生垣を作る木の一つに、このオオクサボクもある。
このところ何度かこの木の下に立っている。
沖縄移住時から、僕は岩崎卓爾について追っかけている。彼は明治から昭和初期にかけて活躍した石垣島測候所の名物所長で、八重山には彼の名にちなんだ虫がいくつかいる。その1つ、イワサキヘリカメムシがオオクサボクにいるよ・・・と教えてくれたのがコウノさんだ。
卓爾にちなんだカメムシは3種いるが、いずれもまだ見たことがない。イワサキヘリカメムシにいたってはどんな姿なのかもわからずにいた。たまたまこのところ連絡を取り合うようになったコウノさんは、仕事で一時石垣島にも在住していたことのある、ハサミムシ屋兼カメムシ屋さんだ。高橋敬一さんの『八重山列島昆虫記』(随想舎)という本の中では、「おほほほほ・・・」と笑いながら登場する、奇っ怪な虫屋の一人として紹介されているのがコウノさんである(ちなみにこの本には、スギモッチも登場する)。
コウノさんのアドバイスをもとに、オオクサボクの木の下に立ったけれど、今のところまだ、イワサキヘリカメムシはつかまえられていない。それでも、いつかその日がくるかと思って、またその木の下に立つ。



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