調達政策正誤表

11    コストダウン脳の鍛え方-11 こころざしの作り方
 「コストダウン5%達成」を例に考えてみましょう。
 
 新任の調達担当役員に言われたことがあります。
 曰く、現状のコストダウンの集計方法では精度に問題がある。信頼できる集計方法を考えよ。
 曰く、コストダウン○○億円やったというけれど、どこにその金があるのか。
 
 当時の私にとっては難問です。素人に分かるように話をするには、自らが理解・納得していなければできません。よって、明快に納得を得る説明をすることはできませんでした。当時の集計方法ではいくつかの欠陥があり、新任担当役員はそこを鋭く突いてきたわけです。
 
 これらの問題は、機種別原価で集計する、ということで解決できますが、当時の調達部門ではこの概念は欠落していました。部品中心の集計方法にこだわっていたのです。
 
 閑話休題。
 「コストダウン5%目標」は「原価率○○%目標」に切り替えます。そして、○○%は独立目標でなく従属目標でなければなりません。「コストダウン5%」は経営目標からは独立して設定されていませんか?これを経営目標に従属したものにします。
 
 企業は利益率目標を設定します。その目標を達成するには、売上目標があり、その時、販売商品の原価率は○○%なら、会社の利益率はこうなる、と求められるはずです。この目標原価率と現状原価率の差異が「目標コストダウン率」ということになります。現状原価率が70%で、目標原価率が60%であるなら、10ポイント(=約15%)のコストダウンを達成しなければなりません。これが、経営目標に従属したコストダウン目標ということです。
 
 経営目標に従属したコストダウン目標は、それを達成すれば企業の利益目標達成につながるはずです(売上も達成すれば)。そこには、調達部門に対する明確な期待が生じ、調達部門では、やる気や達成感が明確になってきます。これが、何としてでも達成しよう!という「こころざし」です。15%のコストダウンなどとんでもない!ということではなく、どうすれば原価率60%にできるか!ということを考えるわけです。楽しくなると思いますよ。
 
更新日時:
2008/08/20
12    コストダウン脳の鍛え方-10 こころざしを作り込む
 何事を成すにも一筋縄ではいきません。諦めないで考え続ける・やり続けることが大事なのですが、それは理屈というものです。
 私は、「天才とは継続する力の備わっている人」と考えていました。それは本来、持って生まれたものだろうと考えていました。だから凡人と天才の差異があると。しかし、必ずしもそうではなさそうです。
 
 ソニーの盛田さんは、「マネージャーはネアカでなければならない」、ということを部課長会同で繰り返しておられました。本来ネアカではない私は、「それはネアカの人だから言えること」と考えていました。
 ところが後年、それは盛田さんの苦悩の後に出た言葉だと知り、はじめて「マネージャーはネアカでなければならない」ということを理解したものです。必ずしも持って生まれたものではなくても、意識すればそれができるようになる、と。
 
 天才、田中久重は、
  知識は失敗より学ぶ
  事を成就するには
  志があり 
  忍耐があり
  勇気があり 
  失敗があり
  その後に 
  成就があるのである
と言っています。
 やはり、ことを成すには、最初に「こころざし」がなければならないのです。しかし、われわれサラリーマンは、仕事は与えられたものであって、そこに志は持ちにくい。そこでどうするか。
 
 「こころざし」を作り込むのです。日本語の「こころざし」には、暗黙のうちに崇高な意味合いが含まれるようですが、大辞林を引いてみると「心に決めて目指すこと」とあります。あまりおおげさに考えなくてもよさそうです。
 
 たとえば、毎期設定するコストダウン目標。ここに「こころざし」があるでしょうか。5%のコストダウンを心に決めて目指しているでしょうか。多くの担当者は、達成できない言い訳を考えるほうに頭が行ってしまい、後ろ向きの活動しかできなくなってしまってはいないでしょうか。(次回は、こころざしの作り込み方)
更新日時:
2008/08/07
13    コストダウン脳の鍛え方-9 手で考える
 私たちが漢字を覚えるとき、必ず、書くことを通して覚えます。書くことなしに目で見るだけで漢字を覚えられる人は特殊な才能の持ち主でしょう。
 これは勿論、漢字を覚えるときだけの話ではありません。私たちは何か覚えるときには、書いたり音読したりします。これは、脳は視覚情報だけで考えることは不得手で、手を動かすことで脳は活性化するのでしょう。
 コストダウンのアイデアを考えるときも同じです。部品や材料を手にとって考えることが大事です。図面を眺めてVAアイデアが出せる人は、よほどの熟達者か才能に恵まれた人でしょう。
 実験をすることは簡単です。しかしここに記述するには難しいので、「調達担当者ハンドブック」のp13問1をやっていただきたいと思います。二つのグループに分かれて、ひとつは設問通り目で見るだけ。他は書いて覚える。正解率は雲泥の差になると思います。
 手で考える環境をVAの世界ではTear Downと言います。分解するという意味です。涙のTearには,「テア」と発音が変わると、壊すという意味があります。本来は競争商品を分解して研究することですが、そういう本来的な意味から離れて、とにかく、「手で考える」環境として「モノを手に取れる」テアダウン専用の部屋が必要です。開発購買担当者はこの部屋にいる時間が長くて当然でしょう。
更新日時:
2008/08/04
14    コストダウン脳の鍛え方-8 守・破・離
 「現場主義」と「丁稚奉公」をお勧めします。
 
 現場主義は、トヨタでは「現地・現物」といい、一般に「三現主義:現場、現物、現実」ということも言います。これを実践するだけでも、コストダウン脳は鍛えられます。
 
 丁稚奉公は、製造現場で学ぶことをお勧めするについて使っている表現です。あまり生意気なことを言わずに、製造現場で学んで欲しいということです。素直な気持ちで吸収するということです。これは、無批判に受け入れろ、というのとは異なる次元の話で、いわゆる「守・破・離」の「守」をしっかりやってほしい、ということです。製造現場を知ることは、購買にとっては基本です。
 
 昨今は、「守」をやらずに、一足飛びに「破・離」を目指そうとする傾向が強いように思います。目指そうというよりは、それを期待されるということかも知れません。だから、実力と期待のギャップが大きくなり、メンタル面でトラブルが増えているのかも知れません。
 
 繰り返します。「守・破・離」で最も大切なのは「守」です。これがしっかりしていないとコストダウン脳は機能しないように思います。
更新日時:
2008/08/02
15    コストダウン脳の鍛え方-7 「安く買う」と「安く作る」
 モノを「安く買おう」という考え方ではコストダウン脳に壁をつくるようなものです。特に、仕様を提示して製造委託する「製作物供給契約」では、「安く作る」という概念でなければなりません。
 
 「安く買おう」ということを第一義とすると、売り手は利益確保のために「高く売ろう」と考えるでしょう。これでは利害の対立関係になってしまい、お互いに疲弊しかねません。いかに「安く作るか」を第一義とすれば、協力関係が生まれます。
 
 コストダウン脳が発達してくるとこの理屈は素直に理解できるのですが、まだ抵抗する人も多いようです。
 
 このような場合、取引先の製造現場へ実習に行くのがコストダウン脳を鍛える最良の方法だろうと思います。1か月くらい直行直帰で、取引先からモノの作り方を教えてもらってください。1日でも自分で金属に穴をあけ、ねじを立ててみれば、考え方も変わるでしょう。
 
 作業をすると迷惑をかけるような場合は、加工工程分析をしてください。そこから得られるものは多いと思います。その結果「安く作る」方策を見い出す力が付いてきます。
 これは技術屋さんにも言えることです。
更新日時:
2008/07/26

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Last updated: 2008/10/25