花と私

花と私の色々を綴っていきたいと思います。
記憶
 
 
 
      一面レンゲの絨毯でした。
 
 まわりにはタンポポ、オオイヌノグリ、ナズナ、カラスノエンドウ無数の草花が溢れていました。
 そこに寝転び、花を摘み、走りまわり・・・道草が日課でした。
 家もない山道が通学路。そんな田舎で生まれ育ちました。
 花とわたしの記憶はそこから始まります。
 
 
 
 
  花屋さんになりたい!
 
子供の時にそう思っていた事を最近思い出しました。・・というのも
「10歳ころまで人は自分がなにをするために生まれてきたかを覚えている」といったようなことを何かのテレビ番組で言っていたからです。
・・・
いくつかあった夢の中に確かに花屋さんがありました。
今、花の仕事をしていても、その夢は忘れていたのです。
10代の終わりの夢は「いつか自分の喫茶店を持ちたい」というものでその後、準備を進めていました。
そんなある日、雑誌の中の花のアレンジを見た瞬間
「花の仕事がしたい!」と、思ったのです。ほんとに突然。
・・そのために、何から始めればいいの?
ということで知り合いの花屋さんで働くことになりました。
 
花の仕事への道はそこから始まりました。
 
魔法
 
 
 その人の手によって命が吹き込まれ花達は見る見る輝きだしました。
 
花の学校で一緒になったともだちに誘われその教室の見学に行きました。
当時コマーシャルの世界でも活躍されていたフラワーアーティストつちやむねよしさんの教室でした。
働いていた花屋さんでも通っていた学校でも感じたことのなっかた驚きでした。
生徒さんが生けていた花を一輪抜き別の場所に挿す・少し花を切る・・ほんとに何気ない動作でした。
でも、それは魔法のようで花の表情が変わりそのまわりまでも明るく輝くような世界に変わったのです。
あの時あの魔法をみたことは幸せだったと思います。
「花はここで生けるんだよ」と胸に手をあてたつちやさんの言葉は今も忘れません。そして私の生けた花を初めてほめて下さったのもつちやさんでした。
最近はご無沙汰してしまっていますが、あの時の出会いには感謝しています。
 
 
白秋
 
 
    鎌倉を舞台に花・器・着物が美しく描かれた恋愛小説
 
伊集院静さんの小説「白秋」を初めて本屋さんで目にした時不思議な感覚を覚えました。
それまでに伊集院さんの他の小説やエッセイを読みファンになっていたのですが「この小説を今、読むのはやめよう」と何故か元に戻しました。
 そして・・その時はまだこの小説のなかみを知りませんでした。
 
それから数ヶ月し、この本を手にする時が来たのです。なんと、私の憧れの人が薦める小説でした。
 
電車の中で読み始めたのですが涙が止まらず困りました。
 
移り行く季節の中で私の好きな、野に咲く花や山に咲く花が目に浮かぶように美しく、そして、人の悲しさや切なさ、生きて人を愛することの喜びが静にそして激しく描かれ胸に響きました。
 
いつかこの「白秋」の世界を私の生ける花と空間で表現できればと思うようになり
それは今も私の夢であり目標です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
白洲正子さん
 
 
陶芸家の守田蔵さんと親交のあった白洲正子さんに生前一度お会いしました。
 
白洲さんの書かれた本を何冊か読んでいた私は緊張のあまり何も話せまさんでした。守田さんのお宅でのことです。
とても丁寧に挨拶していただいた、あの時の光景は今でも目にうかびます。
 
あの日から何年か過ぎ昨年、世界文化社から出された白洲さんの「花日記」と出会いました。
そこに書かれていた花を生けるということへの白洲さんの思いに深く共感することができ、又自分の花に対する思いを強くすることも出来ました。
 
                
追悼
 
私は花の先生に恵まれていました。
自分で花の道を志した時も。
そして自分の意思とは別に10代の時、親にお花を習うよう言われた時も。
 
私にとって初めての先生は親戚のおばさんで
小さい頃から奈美さんとよんでいて
その時から奈美先生になりました。
 
いつも元気で明るくて
いつまでも純真な可愛い人でした。
 
それでも私が間違ったことをすると
親以上に厳しく叱ってくれました。
 
生けた花を最後まで慈しむ心を
さりげない言葉で教えてくれました。
 
70歳を過ぎたころ
「ピアノを習おうと思ってるの、楽譜が読めるようになりたいから」
と子供のように目を輝かせていた姿を時折
 思い出しては微笑ましく思っていました。
 
その後10年以上 顔を出せずにいました。
それでも元旦には暖かい言葉を添えた年賀状を送ってくれていました。
 
今年の冬が始まる頃、ふと
「そろそろ会いに行かないと・・・」と思った翌日
奈美先生の訃報を聞きました。
その死は突然でした。
・・・
奈美先生からの年賀状が来ない元旦を迎えます。
 
奈美先生に教えをいただいた事に感謝し
これからもこの道を歩き続けていきたいと思います。
 
奈美先生ありがとうございました。
 
              2007年大晦日
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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Last updated: 2008/1/3