ともすれば失いがちな生活のリズムを、好きな趣味などに没頭して取り戻そうとする健気な自分に拍手をおくりつつ、それでも2回目、3回目と死ぬ思いで我慢に我慢を重ねて、薬物治療を続けた・・・がこの治療の間に、果たしてどのくらいの効果があがっているのだろう? と疑問を持ったが、この時点では判らない。ただただ効くことを信じて打ち続けるだけだ。というのは、追跡検査は2,3ヶ月では殆ど変化がなく、変わらないだろうと殆どの医師たちは云うからだ。医学的に素人の我々患者は、そんなものなんだろうかと思わざるを得ない。・・・しかし、患者側からしてみれば、どのくらい効果があがっているのか早く知りたいというのが本音だし、皆そう思っているに違いない。たとえ短期間では変わらないということであっても。
5月2日
5クール目の「抗ガン剤」治療をなんとか終えたある外来日、「先生、もう薬物治療を止めようかと思うんですが・・・」 私は担当医に向かい合った時、こう云って話を切り出した。
先生は一瞬 「エッ!??」と驚いたような顔をしていたが、暫くして、その意味が呑み込めたのか 「そうですか。これらは自分で決めることだから、そのほうが良いというのであれば無理には奨めません。・・・」 これは外来治療を受け出してから6クール目の薬を入れた後の診察室での会話である。
「もう身体が弱ってしまって、体力が落ちるのと、快復するまでの時間が長く掛かりすぎるので、やっと良くなったと思った頃、また次のを打つという繰り返しなもので、そのわりにトータルすると効果があがっていないような気がするんですよ。だからこのへんで一旦うち切って様子を診たいと思うんですが・・・。あとは自分の自然治癒力を信じて、頑張ってみようかと思います。」 そう自分でも吃驚するほどハッキリと力を込めて言い切った。その脳裏には、この病魔に絶対勝ってやる!という強い信念があったからだろうと思う。
「そうですか。もう少し「抗ガン剤」を打った方がいいと思うんですが、それじゃあ薬物治療は止めて、後は放射線治療で患部を叩いてみましょうか。副作用も薬のばあいよりずっと軽いものですから・・・。今のあなたなら、これをやってもいいとおもいますよ。勿論、ご自分の気持ち次第で、やってもやらなくても決めるのはあなたですから。」 「で・・・もし放射線治療を受けるので在れば、紹介状を書いてあげますがどうしますか?」
「・・・う〜ん、どうするかなあ〜?」この時点では、まだ放射線を当てる善し悪しの情報は、勉強不足でよくわからなかったけれど、本を読んで知っている知識のありったけを思い出しながら、それを受けてみようという結論をくだしたのだった。 「ハイ、それじゃあやるだけやってみたいと思いますので、よろしくお願いします。」 「じゃあ、来週からでも始められるように予約をとっておきますから、あとは向こうの先生(放射線治療の医師)とよく相談して下さい。」 「ではそうさせてもらいます。どうも有り難うございました。」
私は診察室を出てから、改めて「これで良かったんだ。これで良いんだ。」 と、何度も何度も自分で頷いていた。「さあ、これから第2の闘いが始まるんだ。もう一踏ん張り頑張らねばならない」 と心に誓ったのだった。
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