同族会社の株評価減税(平成20年度施行見込)
 
平成19年6月12日  日本経済新聞掲載
 
非上場対象 中小の継承支援
 自民党は6月11日、中小企業の後継者が事業を継承しやすくする新法を制定する方針を固めた。非上場の同族会社株を相続する場合の課税価格を抑えて相続税負担を軽減。相続時に後継者以外の妻や子供に最低限保障している財産の取り分(遺留分)を放棄する際の手続きも簡素化する。中小企業の経営安定と地域の活性化を政治主導で進めるため、来年の通常国会に議員立法で法案を提出。平成20年度からの実施を目指す。
 
課税価格を大幅削減
 自民党の事業承継問題検討小委員会(平井卓也委員長)が六月下旬にまとめる支援策に「事業承継円滑化特例法案」の制定を明記。秋以降に与党内調整に入り、与党が年内にまとめる税制改正大綱に盛り込む。議員立法で提出する方針を打ち出すのは、夏の参院選をにらみ与党が主導する政策づくりを強調する狙いもある。
 中小企業庁の調査では、後継者が事業を承継する場合、約二割の会社が相続税負担で株式など事業用資産を手放さざるを得ないと考えている。自民党は後継者の継承意欲を減退させないよう負担軽減策を強化する。
 現行制度では経営者が後継者に相続する場合、特定の事業用地などであれば相続税の評価額から80%減額した課税価格となるが、非上場の同族会社株は減額幅が原則10%にすぎない。
 自民党は後継者の税負担軽減には株にも同規模の減額措置が必要だと判断。相続税の課税価格を80%以上低くできるようにする方針だ。事業とは関係のない財産管理会社や投資目的の株式は除く。
 減額規模は約六百億円に上るとの試算もあり、財務省が慎重姿勢を示すのは必至。年末の税制改正論議のなかで優遇幅が圧縮される可能性もある。
 遺留分を巡っては、例えば遺書で長男が後継者に指名されたにもかかわらず、次男が権利を主張し、後継者が事業用資産すべてを受け継げなくなるケースもある。
 新法ではすべての相続人の合意のもとに、後継者に事業用資産などを集中しやすくするための財産分配スキーム(枠組み)を新設。後継者以外が遺留分を放棄する場合、ひとりひとりが家庭裁判所の許可を得るなど時間や手間がかかったが、手続き簡素化のため一括申請も認める。
 事業用資産だけ放棄することもできるようにする。
 遺留分の算定の仕組みも見直す。生前に後継者に贈与された自社株は相続時の価値で評価されるが、新法では贈与時の額で算定できるように改める。
 政府は今年から無議決権株など「種類株」に関し、時価評価の段階で5%軽減できる仕組みを導入。事業承継への多様な優遇策を進めている。
 
 
 
 
 



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