平成20年度税制改正意見書

 
平成19年3月1日 
東海税理士会
 
 はじめに
 
 昨年12月に政府税制調査会が提出した「平成19年度税制改正に関する答申」では、「経済の活性化を目指して」と題して「税制については、わが国の21世紀における社会経済構造の変化に対応して、各税目が果たす役割を見据えた税体系全体のあり方について検討を行い、中長期的視点から総合的な税制改革を推進していくことが求められている。」と報告している。
 平成18年度税制改正により新たに創設された法人税法第35条(特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入)について、当会では、この制度により影響を受けると見込まれる会社数及び会員の意識等を把握するため、全会員を対象とするアンケート形式の実態調査を実施した。まず影響の大きさについて、当会の調査結果では、財務省が国会答弁した適用見込会社数の10倍に達する可能性を示唆している。そして本制度の立法趣旨や背景、影響などについて検討を進めた結果、いくつかの問題点が明らかになった。
 同時に、法人税法第34条(役員給与の損金不算入)についても、会社法の施行や会計制度の変更を捉えて大幅な改正がなされた。この改正については、実務に及ぼす影響が極めて大きいにもかかわらず、基本的な考え方や改正内容がほとんど論議されず、また、新概念の文言解釈においても実務界を混乱させるなど問題点の多い改正であった。
 よって、この法人税法第34条及び第35条については、早急に抜本的な是正を強く望むものである。
 税の専門家である私たち税理士は、常日頃納税者と接する機会が多く、納税者の税に対する多様な考え方や意見を知ることができ、税制及び税務行政の基本的な考え方や実務上の問題点を把握することも比較的容易である。この意見書は、そのような声を踏まえた本会会員から寄せられた数多くの改正要望意見を基礎とし、納税者の代理人である税理士として、また、税に関する職業専門家の団体である税理士会として、税制及び税務行政全般にわたる改正要望事項について取りまとめたものである。
 わが国の申告納税制度の維持発展と公平かつ合理的な税制を構築すべく、税理士の重要な社会的使命の一つとして、税理士法第49条の11により、ここに平成20年度の税制改正に関する意見を表明するものである。
 
一.国税通則法・税務行政関係
1. 税務行政に関する手続を整備・充実するため、税務行政手続に関する法整備をすること。(継続)
2. 更正の請求の期限を法定申告期限から5年(現行1年)以内にすること。また、後発的理由による更正の請求の特例についても、その期限を1年(現行2ヶ月)以内とすること。(継続) 
3. 重加算税の賦課決定書には、その具体的理由を附記するよう法律で規定すること。(継続)
4. 国税不服審判所を行政から独立した公正中立な第三者機関にすること。(継続)
5. 調査事前通知の完全実施を図ること。(継続)
6. 半面調査は、本人調査により事実関係の解明ができない場合に限り、納税義務者等本人の了解を求めた上で実施すること。(継続) 
7. 法定外文書の提出照会等の要求を制限すること。(継続)
8. 電子申告等の普及・利用促進を図るための施策を講じること。(継続一部修正)
9. 電子申告利用者にも申告時期には郵便による書類送付を行うこと。(新規)
10.印紙税を廃止すること。(継続)
 
二、所得税・法人税共通関係
1. 減価償却資産の法定耐用年数及び繰越資産の償却期間の見直しを図ること。(継続一部修正)
2. 電話加入権の取得時全額損金算入を認めること。(継続)
3. 取得価額30万円未満の少額減価償却資産を一括損金算入又は必要経費とし、一括償却資産の3年間償却制度を廃止すること。(継続)
4. 青色申告書を提出した年分の純損失繰越控除及び青色申告書を提出した事業年度の欠損金控除については、控除期間を10年とすること。(継続)
 
三、所得税関係
1. 年の中途で死亡した場合の所得税の確定申告(準確定申告)の申告期限を延長すること。(継続一部修正)
2. 人的控除の見直しを行うこと。(継続一部修正)
 (1) 基礎控除を引き上げること。
 (2) 扶養控除の年齢に制限を設けないこと。
 (3) 特定扶養親族にかかる扶養控除の対象者の判定を4月2日から4月1日までに生まれた者とすべきこと。
 (4) 老年者控除については年齢要件を70才とし、更に所得制限を200万円としたうえで復活させること。
3. 土地・建物等の譲渡により生じた損失について、損益通算及び繰越控除を復活させること。(継続)
4. 青色申告者である事業主に雇用される同一生計親族も、他の給与所得者と同様の取扱いとすること。(継続一部修正)
5. 不動産所得にかかる損益通算の特例を廃止すること。(継続)
6. 土地建物等の長期譲渡における100万円控除を復活させること。(継続)
7. 社会保険診療報酬の所得計算の特例に関する制度を廃止すること。(継続)
8. 公的年金等以外に収入のない者について申告納税手続きを簡素化すること。(新規)
 
四、法人税関係
1. 同族会社の留保金課税制度を廃止すること。(継続一部修正)
2. 公益法人等に対する課税を見直すこと。(継続)
 (1) 範囲を見直し、法令において公益事業を限定列挙するように改めること。
 (2) 収益事業に対する法人税率を普通法人と同一にすること。
3. 交際費等の損金不算入制度を廃止すること。(継続)
4. 欠損金の繰戻還付制度の停止措置を廃止すること。(継続)
5. 役員給与の損金不算入制度を見直すこと。(新規)
6. 「定期同額給与」の定義を明確にすること。(新規)7. 定期給与を受けていない役員に対して支給する「事前確定届出給与」について、届出を不要とすること。また、当該届出書の記載事項を簡素化すること。(新規)
8. 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度を廃止すること。(新規) 
 
五、相続税・贈与税関係
1. 相続税の生命保険金及び退職金の非課税限度額を1.000万円(現行500万円)に引き上げること。(継続)
2. 財産評価基本通達で示されている財産の評価方法を抜本的に見直すととに、評価に関する基本事項を法令で規定すること。(継続)
3. 相続税の連帯納付義務を廃止すること。(継続)
4. 相続税の課税方式について「法定相続分課税方式とすること。(継続)
5. 相続財産を譲渡した場合の相続税額の取得費加算の特例を、相続税の申告期限後5年(現行3年)以内の譲渡に適用できることとすること。(継続)
 
六、消費税関係
1. 納税義務の判定及び簡易課税制度適用の判定は、基準期間ではなく当該課税期間における課税売上高に基づいて判定する制度とすること。(継続)
2. 簡易課税制度の適用については、届出制を廃止し、その選択は申告書の記載要件とすること。(継続)
3. 納税義務者が選択可能な簡易課税制度等の規定について、2年間の継続適用を廃止すること。(継続)
4. 課税仕入にかかる「帳簿及び請求書等」の保存規定を、改正前の「帳簿又は請求書等」に戻すこと。(継続)
5. 消費税の申告期限を法人税の申告期限と同一とすること。(継続)
6. 免税事業者の課税売上の算定については、消費税等に相当する額を控除した金額で判定すること。(継続)
7. 各種届出書及び申請書等の提出期限は、前課税期間の確定申告書の
提出期限までとすること。(継続)
8. 課税売上高割合の算定上、固定資産である土地等の譲渡については譲渡価格の5%を非課税売上とすること。(新規)
 
七、地方税関係
1. 個人住民税における所得控除の控除額を所得税と同一とすること。(継続)
2. 地方税の純損失の繰戻し還付を認めること。(継続)
3. 事業税における社会保険診療報酬等の課税除外措置を廃止すること。(継続)
4. 償却資産の申告書提出期限を、法人税、所得税の確定申告期限と同一とすること。(継続)
5. 事業税の外形標準課税制度について、資本金1億円以下の中小法人には適用しないこと。(継続)
6. 個人事業税のうち、不動産貸付業については、経営件数を事業的規模の判定基準としているが、所得金額を事業的規模の判定基準と同一とすること。(継続)
7. 個人事業税の事業主控除額は現在の定額控除を改め、所得に応じた額を控除する方法にすること。(継続)
 
 
 
 
 
 
 
 
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Last updated: 2007/3/27