今日の母との散歩道はデンパーク。
ここは梨の道です。梨が少しずつ大きくなってきて、袋をかぶされています。
ネット友asaさんのオススメ本「白の闇」を読みました。
面白かったです!映画化されたそうです。
公開されたら見に行こうかな。
ただ、原作に忠実に映像化は無理そうなのはともかく、
普通のパニック映画にして欲しくないと思いました。
信号待ちの車の運転手が、突然視力を失うところから
物語は始まります。目の前が真っ暗になるのではなく、
真っ白になる失明で、タイトルはその状態を示しています。
ところが失明した男の目には、何の異常も見つかりません。
そしてこの失明は、すごい早さで伝染していきました。
ウイルス感染の恐怖小説や映画はよくありますが、
たいていは感染者はすぐ死んだりしますよね。
この感染は、視力だけを奪うのです。
でも、視力を失うことへの怖れから、感染者は隔離され、
普通のウイルス感染者のような看護は一切受けられずに
精神病院に閉じこめられてしまうのですね。
失明した眼科医の妻は、とっさの機転で、
自分も失明したふりをして、一緒に精神病院に入ります。
失明者の中に1人視力のある人間がいるとわかれば、
奴隷のようにされてしまうのは必至なので
目が見えている「医者の妻」は失明のふりを続けます。
隔離された世界で、感染者の入所が増えるに従い、
食料も不足し、衛生状態も最悪で、暴力が横行し始めます。
自分も周囲も目が見えないということはどういうことか。
人間がたしなみとして身につけたものがはがされて、
人間性が丸裸に、むきだしににされていきます。
支配される側に回る人は、容赦なく尊厳を奪われていきます。
その容赦のなさをたった1人、目の見える「医者の妻」は
その目で見なくてはいけないのですね。
彼女は「医者の妻」であり、他の登場人物も名前はなく、
その「名無し」の設定も寓意的で面白いです。
「最初に失明した男」はともかく「サングラスの娘」とか
「斜視の少年」「黒い眼帯の老人」などの特徴は、
失明した人にはわからないわけで、名前の方が現実的!
これは寓話ですよ、というニュアンスを私は感じました。
この隔離された精神病院は、兵士に見張られ、
いかなる理由があろうとも、出たら銃殺されます。
実際、兵士たちは、感染するのが恐ろしいので、
感染者が近づいてくると、恐怖から発砲してしまうのです。
そのうち火事が起こりますが、その時には、
もう兵士はいませんでした。感染したのでしょう。
隔離する人もいないほどの感染が起こっていました。
精神病院から逃げ出した人たちは、
見えないまま、新しいすみかを探し、食料を手に入れ、
生き抜かねば、野犬の餌になってしまいます。
「医者の妻」たちは、最初に隔離された仲間と行動します。
突然失明者だらけになった世界では、
例えば水道も機能しません。
もちろん食料を生産するのも無理です。
人間が築き上げてきた「文明」と呼ばれた一切のものは、
失明感染によって崩壊するものでもあったのですね。
目が見えるというのはどういうことなのか。
目が見えないというのはどういうことなのか。
いや〜、妄想癖のある人間にはたまらなく面白いです。(笑)
医者の妻は夫と、元ショッピングセンターの地下倉庫に
食料を探しに行きました。
目の見える妻の見たものは、多くの腐った死体と燐火でした。
食料を取りに行った人々が階段で滑ったりして、
次々と倒れて死に、腐敗により燐火水素が発生したようです。
失神しそうな妻と、医者が向かったのは教会で、
そこには多くの人が休んでいました。
そこで医者の妻は、信じられない光景を目にします。
教会にあるすべての人物像が眼を覆われているのです!
キリストは眼に白い包帯を巻いています。
娘に文字の読み方を教えている女。二人とも眼が覆われていた。小さな子供を膝に乗せて本を開いている男。二人とも眼を覆われていた。体を何本もの矢で射られた男。彼も眼を覆われていた。灯ったランプを持つ女。彼女も・・・
というように延々と「眼が覆われていた」が続きます。
このシーン、映画館で見るのが楽しみだなぁ。
うんと象徴的に描いて欲しいです。
もちろん、なぜ?などという謎解きは一切ありませんよ。
そういう話ではないので。
ラストはナイショにしておきます。
だって、今年の11月にロードショーだというのです。
きっと面白いので、ラストを知らない方がいいですよ。
ここまでネタバレしておいて、よく言いますよねぇ。(笑)
このラストで、パニック小説じゃないって改めて思います。
ここまでネタバレされても楽しめる小説だと思います。
極限状況が、人を丸裸にするお話なので、
汚い描写が苦手な方はちょっと・・かも。
asaさん、面白かったです。ありがとう。
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