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何でもコラム
個人の尊厳、生命の絶対的尊重、両性の本質的平等のために
──「偽装請負、違法派遣、労働者供給、偽装出向」関連(2)──
──「偽装請負、違法派遣、労働者供給、偽装出向」関連(2)──
海野和夫
◎ ────  重層下請構造下の「偽装請負」の追及  ────
 元請─1次下請─2次下請─3次下請という重層下請構造の中での出来事ですが、3次下請が送り込んだ労働者(のべ400人工)に対して、元請が直接指揮命令していました。
 請負契約であれば、元請から下請への指揮命令は、下請現場責任者等事業主の組織をとおし、その責任者から作業員(労働者)に行なうものです。元請からの指揮命令が、下請の作業員(労働者)に直接おこなわれることは、「請負」を否定するものです。偽装請負であり、労働者派遣法違反の建設現場への労働者派遣または職業安定法違反の労働者供給に該当します。
 従って元請は、この400人工との関係では「黙示の労働契約」関係にあることを認め、その不払いについては、労働者への賃金不払いとして対応し、解決する(支払う)事業主としての責任を負っています。
 
 
◎ 「単に肉体的な労働力を提供するものでないこと」の意味するもの?
職業安定法施行規則第4条は、請負であるためには、次の4条件を全て満たす必要があると、定めています。一つでも欠けていれば、請負ではなく、職業安定法が禁止している「労働者供給」になります。
1 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
2 作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。
3 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
4 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
 上記の中の「単に肉体的な労働力を提供するものでないこと」とはどういうことなのか? という質問を受けました。
 菊一 功氏『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(労働新聞社)も、「問題は、4項(自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと)の解釈である」として、次のような回答を提示しています。参考になるので、紹介しておきます。
 請負といえるためには、単に肉体的な労働力を提供するものでないことで、処理すべき業務を次の@Aのいずれかに該当していることが必要である。
 @ 受託者(受注者)の調達する設備・機器・材料・資材を使用し処理している、または発注者が設備等を調達する場合は無償で使用させていないこと。
 A 受託者(受注者)独自の高度な技術・専門性等で処理していること。 
(上記の菊一 功氏の解釈、見解を建設業務の工事請負にあてはめると、建設現場の重層下請構造の下位に進めば進むほど「請負」なのか「派遣」、「労働者供給」なのか微妙なものになっていくのではないでしょうか? ──海野)
 
 
◎ 日本型「派遣労働」、日本的「派遣労働」を禁止し、本来の「一時的労働」へ
 龍谷大学法学部教授の脇田滋さんの講演を聞きました。「派遣労働」の何が問題なのか? 大変よくわかりました。
 日本型「派遣労働」、日本的「派遣労働」が世界最悪の「派遣労働」であること。
 @ 日本以外の国では、「派遣労働者」に正規雇用以上の賃金を与えなければならないと決められている。少なくとも均等待遇、同等待遇ということになっている。賃金が8:3というような不均等待遇は日本だけのものである。
 A 「登録型派遣」などという登録しておいて、派遣するときだけ雇用するシステムは最悪であり、ワーキング・プアの源泉であり、廃止すべきである。
 B 当時の労働省はtemporary work=一時的労働を意図的に「派遣労働」と誤訳した。本来の「一時的労働」にして、「派遣先」に雇用主としての責任を負わせるべきである。それによって、「派遣労働者」が労働基準法の保護の外に置かれているような状況を是正し、正規雇用と同様に労働基準法の保護の下に置くべきである。
一言で言うと、日本型「派遣労働」、日本的「派遣労働」を禁止し、本来の「一時的労働」へと転換することだ。
 
 
◎ 派遣先との黙示の労働契約の成立を認めた松下プラズマ事件判決
「偽装請負が問われた松下プラズマ事件判決では、憲法と労働法に反しているとして、派遣先と労働者の間に『黙示の労働契約が成立している』と認め、派遣先に直接雇用を命じました。労働者が雇用されていると認めることこそ、労働者の権利を守る一番の力になるものです」(2008/8/29『しんぶん赤旗』)
 上記の「松下プラズマ事件判決」について、ネットで少し調べてみました。
 松下プラズマ─P社─Yさんという関係。
 松下プラズマ─P社の間で、生産業務の請負契約または業務委託契約が存在していた、ということのようです。
 P社─Yさんの関係では、YさんはP社の社員。
 P社は松下プラズマの要請にもとづき、自社の社員のYさんを、松下プラズマの工場で生産業務に従事させていました。松下プラズマの社員が、Yさんに対して直接指揮命令していました。これは、「偽装請負」であり、労働者派遣または労働者供給になります。
 2008年4月25日、大阪高裁判決は、「偽装請負」とした上で、松下プラズマとYさんとの間に「黙示の労働契約の成立」を認めました。
 労働契約が存在するとするためには、使用従属関係、労務の提供、賃金の支払いが必要ですが、大阪高裁判決は、松下プラズマとYさんとの間に「使用従属関係、労務の提供、賃金の支払い」の全てを認め、黙示の労働契約の存在を認めた、ということのようです。
 賃金の支払いについての大阪高裁判決の構造は、「Yさんの賃金は、松下プラズマがP社に請負代金または業務委託料として支払った金額からP社の利益を差し引いた金額を基礎としている」→従って「実体としては松下プラズマがYさんの賃金額を決めていた」→だから「実体としては松下プラズマがYさんに賃金を支払っていたことになる」というもののようで、松下プラズマによるYさんへの賃金支払いを認める判断を示しています。
 大阪高裁判決は、派遣先の雇用主責任を認めなかった大阪地裁判決を覆して、派遣先が雇用主である、としたわけです。
 派遣は、原則禁止にすべきです。
 派遣の場合は、派遣先に雇用主としての責任、義務を負わせるべきです。
 
 
◎ 「重層下請構造の解消」と派遣、偽装請負、不払い問題の連動について
 建設現場の実体は、ゼネコン等を頂点とする重層下請構造であり、サブコン団体も国土交通省も「重層下請構造は解消に向かうどころかますます深まっている」と指摘しています。
 ゼネコンは「重層下請の解消」、「2次までにしている」、「せいぜい3次までである」などと言明していますが、建設現場の実体は、「5次、6次はざらである」、「5次なのに3次と書かされる」、「3次と書くと入場させてもらえないので、2次と書く」が現場従事者の声です。
 重層下請構造が、偽装請負、違法派遣、労働者供給、そして倒産・不払いの温床であり、重層下請構造を解消して、ゼネコン等による建設労働者の直用化(直雇化)を実現して、偽装請負、違法派遣、労働者供給の根絶、倒産・不払いの解決と結び付けるべきだとの意見が出されていますし、韓国建設業法の改正で、韓国では重層下請構造の解消の方向へ法的措置がとられた、と言われています。日本も、その方向に向かうべきだという理論、議論が流布されています。
 確かに、直用化が実現すれば、ゼネコンが倒産しても賃金(労働債権)として優先して保護されるわけであり、従来のように工事代金(一般債権)だからということで、不払いで泣き寝入りということは、解消に向かうでしょう。
 従来の「建設業法に基づく元請責任での不払い解決」、新しい手法として登場している「偽装請負を追及して労働契約関係にあることを認めさせての不払い解決」からさらに進んで、「重層下請構造の解消を通じての不払いの根絶」という構造を実現すべきだ、という考え方です。
 その際問題になるのは、「下請業者」の保護ということです。
 日本資本主義の構造が絶えず生み出す「業者」については、どうするのか?
 労働者ではなく、「業者」として生きる道を選んだまた選ばざるを得なかった人たちを、重層下請構造の解消を通じて「労働者化」するということだけで、問題は解決するのか? という疑問です。
 「業者」が大量に存在するのは、日本資本主義の構造が生み出すものであり、「重層下請構造の解消」だけで問題が解決するものではないような気がします。 
 課題です。
 
更新日時:
2008/12/19
建設業法、「労働者性」、偽装請負追及、工事代金の中の労務費を労働債権に
建設業法、「労働者性」、偽装請負追及、工事代金の中の労務費を労働債権に
海野和夫
 2008/8/8 には宮崎県最大のゼネコン・志多組が民事再生で倒産するなど、倒産・不払いの大きな波が次々と建設業者、建設労働者に押し寄せているような状況です。
 このとき、建設労組として、建設業法、「労働者性」などを使用して、解決に努めているところですが、建設業法等ではなかなか解決しない事例も発生し、泣き寝入りを余儀なくされているケースも少なくありません。
 最近、偽装請負を追及し、元請の雇用責任、労働契約関係、雇用関係の成立と結び付けて、不払いを解決する手法が浮上しています。一つは、その手法の実体や実際どのように不払い解決に結び付けているのか、その辺を明らかにする努力を以下でしてみました。
 もう一つは、工事代金の中の労務費部分を労働債権として認めさせるたたかい、運動の本格的追求が必要です。以下にまとめておきました。
 
1 偽装請負の追及 派遣先の雇用責任 労働契約関係
1 派遣先との労働契約関係
 仮定の話として、元請のA社が破産。その結果、1次下請のB社が工事代金の不払い被害を受けました。
 通常、工事代金は一般債権として扱われますから、配当はゼロ〜数%に過ぎません。従って、泣き寝入りを余儀なくされる場合が多い。
 ここで、元請のA社と1次下請のB社の間の指揮命令関係に着目してみます。建設業法が禁止する丸投げ(一括下請負)にならないためには、元請のA社は1次下請のB社に指揮命令していなければなりません。
 請負契約であるためには、A社からの指揮命令が、B社の現場責任者等事業主の組織をとおし、その責任者(B社の責任者)からB社の労働者に行なわれなければなりません。
請負であるためには、元請からの指揮命令は、下請現場責任者等事業主の組織をとおし、その責任者(下請の責任者)から労働者に行なうものであり、元請からの指揮命令が下請の労働者に直接おこなわれることは、請負を否定し、偽装請負となります。
元請のA社と1次下請のB社の間の指揮命令関係の実体は、A社がB社の労働者に直接指揮命令していた、ということです。
 この実体を、工事代金の不払い解決に結び付けることができます。
@ A社がB社の労働者に直接指揮命令していたということは、A社とB社の労働者との間に「黙示の労働契約」が成立していたということであり、言い換えると、不払いを受けている工事代金の中の労務費部分(B社の労働者の賃金部分)は、労働債権として保護されることになります。
A A社がB社の労働者に直接指揮命令していたということは、偽装請負であり、建設業務で禁止されている労働者派遣であり、労働者派遣ではないとするためには、A社はB社の労働者と労働契約関係にあったことを認めなければなりません。
B 職業安定法施行規則第4条は、請負であるためには、次の4条件を全て満たす必要があると、定めています。一つでも欠けていれば、請負ではなく、職業安定法が禁止している「労働者供給」になります。
(1) 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
(2) 作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること。
(3) 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
(4) 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
 元請のA社が1次下請のB社の労働者を直接指揮命令していたということは、B社は「作業に従事する労働者を、指揮監督していなかった」ということになり、請負ではなく、労働者供給になります。労働者供給ではないとするためには、A社はB社の労働者と労働契約関係にあったことを認めなければなりません。
 
2 偽装請負の別のパターン 
下請が現場に形式的に責任者を置いて、元請の指示を下請の個々の労働者に伝えるだけでは、元請が下請の個々の労働者に直接指示しているのと同じ。これも偽装請負のパターンです。
 
3 もう一つの考え方
 一橋出版発行の『労働者派遣法の解説』(著者 中野麻美氏)の中に書かれているのが、請負を偽装して違法派遣や労働者供給を受け入れた場合の、派遣先の雇用責任です。それによると、労働者と供給先企業との黙示の労働契約の成立を認めた裁判例として、新甲南鋼材工業事件神戸地裁昭和47年8月1日判決ほかがあるとのことです。この本はまた、「派遣元事業主としての独自性が薄く、営業それ自体の実体が乏しい場合など」には「派遣先と労働者との間に労働契約関係が存在するに等しいと認められる」可能性があることを、明らかにしています。
 違法派遣や労働者供給での派遣先の倒産・不払いの際、派遣先と労働者との間に労働契約関係が存在するに等しいと認め、労働債権として保護することが、妥当だし、必要です。労働者の賃金の保護のために、労働者と家族の生活の保護のために、必要です。
◎ 参考資料の1 出典:『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(著者 菊一 功氏 発行 労働新聞社)
○ 派遣元のみ処罰……派遣法違反(懲役または罰金)
 @ 建設業で禁止されている労働者の派遣をした場合。
 A 偽装請負を行なった場合。
 派遣法の処罰対象は派遣元であり、派遣先は対象外である。しかし、理論的には、派遣先についても共犯として派遣法違反で立件される可能性はある。
○ 派遣元と派遣先の双方を処罰……職業安定法違反(懲役または罰金)
 @ 二重派遣の場合。
 A 労働者供給事業を行なった場合。
○ 建設業者が派遣法違反、職業安定法違反で罰金刑を受けると……建設業許可不更新(5年)
◎ 参考資料の2 出典:『労働者派遣法の解説』(著者 中野麻美氏 発行 一橋出版)
 違法派遣については、
 派遣元に対しては、許可の取り消しや事業廃止といった行政処分のほかに、刑事制裁が加えられる。
 派遣先に対しては、厚生労働大臣の助言、指導、勧告による是正措置が講じられるが、違法派遣を受け入れたことだけで雇用責任が認められるというわけではない。実体によっては、労働者と派遣先との間に雇用関係が認められる可能性はある。(新甲南鋼材工業事件神戸地裁判決、伊予銀行事件松山地裁判決ほか)。
 
2 工事代金の中の労務費部分を労働債権として認めて保護を
 現在、建設産業での倒産・不払いが増加、多発しています。倒産・不払いが建設産業に集中的に現れていると言っても過言ではありません。
 通常、工事代金は一般債権として扱われ、工事代金不払いで泣き寝入りを余儀なくされる業者があとを絶ちません。元請─1次下請─2次下請─3次下請……と進み、深まっていく建設現場の重層下請構造下では、連鎖的に工事代金不払いが発生し、そのたびに多くの下請業者が泣き寝入りを余儀なくされています。
いま求められるのは、下請業者の「工事代金」を一般債権扱いとせず、その中の労務費部分を労働債権として認め、優先して弁済するようにすることです。法的措置を含めて、そうする必要があります。
@ 厚生労働省「労働債権に関する研究会報告」も、労働債権について、「特別に保護すべき債権」と強調しています。賃金は労働者とその家族の生活の原資です。何があろうと、労務費=労働債権の部分が不払いのままで終わっていいわけがありません。下請業者の工事代金については、「下請業者の債権のように、実質的には工賃たる性質を持つ債権」(有斐閣『破産法概説』)と明言されているとおり、まさに実質的には賃金と認められています。
A 民法は次のようにさだめています。
民法第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
民法第1条の2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
民法第1条の3 権利の濫用は、これを許さない。
民法第2条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
 賃金としての性質を持つ「工事代金」を一般債権として扱い、配当ゼロ〜数%程度に押しとどめることは、倒産・破産という権利の行使について「信義に従い誠実に行わなければならない」ことに反しており、「権利の濫用」であり、「個人の尊厳」を踏みにじるものです。
B 下請業者の「工事代金」は、そのほとんどが労務費であり、手間請の場合のように「工事代金」の全額が労務費の場合も多く、まさに有斐閣『破産法概説』が解説しているとおり、実質的には賃金としての性質を持っています。
 現実の破産事件では、破産管財人が下請業者の工事代金を賃金として認め、その全額を優先して弁済する事例も生まれています。
破産管財人や裁判所に働きかけ、下請業者の「工事代金」の中の労務費部分を賃金として認めさせ、下請業者の泣き寝入り、連鎖倒産を防止することが、急務です。  
 
 
◎ 銀行の担保付き債権を譲らせ「工事代金の中の労務費部分」支払の原資に
 現在、建設産業での倒産・不払いが増加、多発しています。倒産・不払いが建設産業に集中的に現れていると言っても過言ではありません。
 通常、工事代金は一般債権として扱われ、工事代金不払いで泣き寝入りを余儀なくされる業者があとを絶ちません。元請─1次下請─2次下請─3次下請……と進み、深まっていく建設現場の重層下請構造下では、連鎖的に工事代金不払いが発生し、そのたびに多くの下請業者が泣き寝入りを余儀なくされています。
いま求められるのは、下請業者の「工事代金」を一般債権扱いとせず、その中の労務費部分を労働債権として認め、優先して弁済するようにすることです。法的措置を含めて、そうする必要があります。
以下にその根拠と原資、そしてやり方を明らかにします。
@ 厚生労働省「労働債権に関する研究会報告」も、労働債権について、「特別に保護すべき債権」と強調しています。賃金は労働者とその家族の生活の原資です。何があろうと、労務費=労働債権の部分が不払いのままで終わっていいわけがありません。下請業者の工事代金については、「下請業者の債権のように、実質的には工賃たる性質を持つ債権」(有斐閣『破産法概説』)と明言されているとおり、まさに実質的には賃金と認められています。
A 民法は次のようにさだめています。
民法第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
民法第1条の2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
民法第1条の3 権利の濫用は、これを許さない。
民法第2条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
 賃金としての性質を持つ「工事代金」を一般債権として扱い、配当ゼロ〜数%程度に押しとどめることは、倒産・破産という権利の行使について「信義に従い誠実に行わなければならない」ことに反しており、「権利の濫用」であり、「個人の尊厳」を踏みにじるものです。
B 下請業者の「工事代金」は、そのほとんどが労務費であり、手間請の場合のように「工事代金」の全額が労務費の場合も多く、まさに有斐閣『破産法概説』が指摘しているとおり、実質的には賃金としての性質を持っています。
 現実の破産事件等で、破産管財人や労基署等が下請業者の工事代金を賃金として認め、優先して弁済する事例も生まれています。
○ 工事代金を労働債権として認めた具体事例を以下に羅列しておきます。
「新興産業倒産事件」 労基署が、「工事代金」を労務費部分と材料代に分け、労務費部分を労働債権として認めて賃金支払確保法を適用。 
「朝日ハウス産業破産事件」 破産管財人が、「工事代金」を労務費部分と材料代に分け、労務費部分を労働債権として認めて賃金支払確保法を適用。
「アフター興業破産事件」 破産管財人が、工事代金を労働債権として認め、その全額を優先して弁済。
「タクト民事再生事件」 民事再生担当弁護士が、「工事代金」を「準労働債権」として位置付け、賃金支払確保法の適用を申請。(このケースはまだ、労働者健康福祉機構が支給決定をしていません。保留中です)
「長島工業破産事件」 破産管財人が、銀行に働きかけて銀行の一般債権を全額放棄させ、工事代金への配当率を増大させる。
C 「工事代金」の中の労務費部分を賃金として認めて保護するための原資は存在します。
中小企業倒産の場合は、賃金支払確保法の適用(国による「未払い賃金の立替払」の実施)による賃金の保護がありますし、大企業、中堅企業等の場合は、銀行等の担保付き債権の一部を譲らせて、賃金保護のための原資とすることです。
前述の民法の定める信義則は、これにも当然あてはまります。いくら担保付き債権の優先が権利だからといって、賃金としての性質を持つ「工事代金」への配当をゼロ〜数%程度にしたまま担保付き債権の優先を強行することは、権利の行使について「信義に従い誠実に行わなければならない」ことに反しており、「権利の濫用」であり、労働者とその家族の「個人の尊厳」を踏みにじるものです。
 現実の民事再生事件でも、冨士工民事再生では、冨士工民事再生監督委員の清水直弁護士の指導の下、「銀行の債権よりも下請業者の工事代金の債権に対して優先して弁済(配当)をおこなう」が実行され、少額債権200万円が実現し、総額約40億円が下請業者等に支払われました。
 また、青木建設民事再生では、少額債権350万を実行しました。建設労組の運動を反映した成果です。
 また、民事再生法85条の2(下請業者の連鎖倒産の防止)を使って、海外の工事(香港、台湾)について、工事代金や労務費相当部分を弁済していることを、青木建設「再生計画」は明らかにしています。
青木建設「再生計画」は、弁済の理由として、「台湾では下請業者に支払をおこなわない場合、労働者保護団体への連絡、工事現場の封鎖、施主、発注者への抗議デモ(卵、トマト等の投石)、等が通常。労働争議により日本人社員、台湾人スタッフへの危害があり得る」、「(労務費相当部分の)支払ができなければ、現地スタッフへの給与が支払えず、労働争議となり、支店閉鎖、今後の未収入金回収に多大の不利益となる」などをあげています。青木建設民事再生では、国内の工事でも、大和建設・岩見工務店JVに対して、4700万円の工事代金が弁済されるなど5件の工事代金が85条の2を使って弁済されています。 
 このことは、私たち建設労組が提唱しているように、下請業者がたたかう姿勢に立てば、民事再生法85条の2(下請業者の連鎖倒産の防止)を大きく活用できる可能性を示しています。
D 破産事件等の場合、運動形態として、その破産事件を担当する地裁に(東京地裁なら東京地裁に)働きかける、そういう形態が存在します。具体的には、地裁に行って担当の書記官に資料等を渡しながらよく説明し、書記官から担当の裁判長に話を伝えてもらい、また資料等を渡してもらうことです。
 真面目な書記官は、私たちの話をよく聞き、話や資料を誠実に裁判長に届けてくれます。誠実な裁判長は、私たちの話や資料等を、真剣に検討してくれるでしょう。
 事実、リモテックス破産事件の際には、園尾隆司裁判長の英断があり、破産管財人の見解を覆して、リモテックス施工員を労働者として認めて保護しました。
大量発生とも言い得るような状況の民事再生、会社更生、破産などの倒産事件で、下請業者の「工事代金」の中の労務費部分を賃金として認め、その原資として銀行等の債権(担保付き債権)の一部を譲らせ、また賃金支払確保法を活用し、下請業者の泣き寝入り、連鎖倒産を防止することが急務です。
 
更新日時:
2009/01/11
────── いま建設現場で起きつつあること ──────
────── いま建設現場で起きつつあること ──────
海野和夫
 
○ 現場が厚木、横浜で、ガソリン代が大変。工期をせかされ、朝4時過ぎに出かけて、夜12時に帰ってくる。
○ 余りにも墨出し単価安いので、13人で3日間ストライキして、上げさせた。
○ 朝早く出て、一般道を行く。
○ 仮枠──駐車場、早い者勝ちで、自己負担。
○ 応援は電車を使う人に頼む。
○ ここへ来て、建築確認がおりてきて、バタバタと仕事が出てきて、毎日10時まで仕事。
○ 単価安いので、監督に抗議した。10年以上、年々安くなっている。
○ 電車を使うことで、1万円浮いた(高速代、ガソリン代)。
○ 電工が賃金交渉、全員解雇になった。
○ いきなり賃金を2,000円下げられる。
○ 元請と交渉もする。全体的に単価下がっている。自分を元請にしていく努力が必要。従業員の給料は下げられない。
○ 63歳以上ダメ。
○ エレベータ代を取られる。
○ 元請は、オンライン・コンピュータ化の経費を業務命令で下請に負担させている。現場の力、所長の力、なくなってきている。
○ 60歳以上は高所作業をさせないということだと、塗装は高所作業なので、仕事ができなくなる。
 
 
◎ ───── 重層下請構造の建設現場の実体への接近 ─────
(企業の名誉を考慮して、A、B、C……と匿名化しました)
○ 住宅企業A社
 「1次下請のところでの労災隠し」との声も。
 (応援手間)「請けた大工から差し引かれるのが現状」との声も。
○ ゼネコンA社
 朝礼でのオス。
 「水平ネットをしない」現場があるとの指摘も。
 「命がけの協力を」発言。
 7時35分からの朝礼。
 「工期メチャクチャ」との声も。
 「賃金切り下げの通告」を受けたとの声も。
 「単価安い」の声。
 「朝礼に遅れたら、帰らせる」との指摘も。
 駐車料金の徴収。
○ ゼネコンB社
 「下請は1次が基本、極力2次まで」と言明しているが、実体は7次まで存在する。
 「一人親方であっても元請労災で申請し、最終判断は労基署がおこなう」と言明しているが、新規入場者調査票に「中小事業主、一人親方で特別加入していない場合は、業務で被災しても労災保険は適用されない。全て自己負担となる」と記述されており、建前と実体との矛盾を露呈している。
○ 住宅企業B社
 「工期厳しい」の声。 
○ ゼネコンC社
 駐車料金の徴収。
○ ゼネコンD社
 5次の存在(電工)。
○ ゼネコンE社
 熱中症になったとき、診断書の費用を請求された。(後日、解決)
○ ゼネコンF社
 3次、4次のところで一人親方が増えている。
 
更新日時:
2009/01/27
「建設業法」関連(建設業法24条の6の3項(元請の通報義務)を含む)
「建設業法」関連(建設業法24条の6の3項(元請の通報義務)を含む)
海野和夫
 
◎ 建設業法24条の6の3項について 元請の特定建設業者の通報義務
 
建設業法24条の6の第1項 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
建設業法24条の6の第2項 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
建設業法24条の6の第3項 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
 前記の「建設業法24条の6の第1項」、「建設業法24条の6の第2項」、「建設業法24条の6の第3項」の構造と関連を一言で言うと、次のようになると思います。
 1項は、元請の特定建設業者の、(法令を守るよう)下請を指導する義務を定めています→2項が、元請の特定建設業者の、(法令違反を是正するよう)下請に求める義務を定めています→そして3項が、(下請が是正しないとき)元請の特定建設業者の、許可行政庁等への通報義務を定めています。
 注目しておいたほうがいいのは、1項と2項が「努めるものとする」と努力になっているのに対して、3項は「(通報)しなければならない」と義務化されていることです。
 この点に関連して、国土交通省『建設業法解説』(大成出版社)には、「(元請の)特定建設業者が、本条(建設業法24条の6)第1項又は第2項の指導を的確に行っていない場合は(建設業法)第28条の規定による指示処分の対象となると考えるべきである。なお、下請負人等の違反事実を発見したにもかかわらず(建設業法24条の6)第3項の通報をおこなわないときは、当然第28条の規定による指示処分の対象となる」と記述されています。
 1項、2項については、「的確に行っていない場合」に指示処分の対象となるのに対して、3項(通報)を行っていないときは無条件に指示処分の対象となるのです。
 ここで、3項についてもう少し考えますと、3項の通報がおこなわれた場合、その結果どうなるのかという問題です。
 一つは、法令違反の下請への行政からの「作用」、「強制力のある行為」が発生します。
 もう一つは、通報することで、下請対行政という構造に移行し、元請の特定建設業者の元請責任は免罪になるのかという疑問の発生です。
 法令違反の下請を、指導し、是正することができなかった元請の責任が、通報することで、免罪になるのかという問題です。
 国土交通省『建設業法解説』に書かれているように、下請負人が違反している事実を是正しない場合には、災害の防止、労働者の保護等を図るために、強制力のある行為によって直ちに違反事実を是正する必要があるので、元請の特定建設業者に対して行政庁に対する通報を義務付けるのは当然です。
 同時に、通報することで、元請責任は決して免除されないというのが、建設業法の趣旨であり、思想だと、そこは決定的に大事な点です。言い換えると、下請が法令違反を犯したということは、元請に責任があり、元請が責任を負い、元請が悪いということです。
 通報することで、逆転がおこり、「下請に責任があり、下請が責任を負い、下請が悪い」という構造への移行を許してはならないと思います。
 したがって、3項に対しては、慎重な対応が求められると思います。
 
 
◎ ────── 元請と「日報」「作業日報」との関係 ──────
 元請の現場所長(現場監督)が「作業日報」を作成していない、書いていない、言い換えると、元請のところに「作業日報」が存在しない、それが元請・下請間のトラブルのもとになっているという事例について、行政に相談に行きました。
 行政のひとは、「『作業日報』は下請が作る(書く)ものであり、元請には作成義務はないのではないか」と言います。
 そう言われて、少し混乱しました。
 調べてみて、多分そうだと思ったのは、「作業日報」と言うからおかしな話になるのであり、「日報」と言えば、問題はすっきりするのではないかということです。
 元請業者が日報を作成しなければならないのは、当然のことであり、たとえば、「監理技術者の現場専任制」、「主任技術者の現場専任制」を発注者や行政が確認するには、「日報で専任制の確認を行う」必要があり、日報の存在は必要不可欠です。
 従って、元請の現場所長(現場監督)が「日報」を作成していない、書いていない、言い換えると、元請のところに「日報」が存在しないということは、建設業法違反の行為となります。
 工期等の問題での「建設業法令遵守ガイドライン」の拡充・改訂が検討されているようですが、上記のような「日報」、「作業日報」といった事項の追加・拡充も必要なのではないでしょうか。
 相談に行くと、行政自身が「『作業日報』は下請が作る(書く)ものであり、元請には作成義務はないのではないか」というような回答をする現状にあるわけですから。
 
 
◎ ───  丸投げ  マージン  建設業法22条  ───
建設業法22条 建設業者は、その請け負った建設工事を、如何なる方法をもってするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
 元請─1次─2次─3次─4次の重層下請構造の下で、1次は金銭のデリバリー(受け渡し)だけをおこない、元請から請け負った建設工事を2次に丸投げしていました。そして、このことを元請は1次に頼んでいました。言い換えると、1次は元請からの依頼で、元請から5%のマージンを受け取って、2次に丸投げしていました。
 事実かどうかわかりませんが、慎重に確認する必要がありますが、これが事実だと仮定すれば、この構造については、一つには、1次の丸投げという建設業法22条違反の存在ともう一つには、この建設業法違反を1次に依頼し、5%のマージンを支払った元請の責任の存在の二つを指摘することができます。
 
 
◎ 着工の遅れに伴う現場維持費用(工事続行に備える労働者保持など)の負担は?
1 発生している事例
 匿名にしておきますが、現実に、公共工事に準じる工事で、着工の遅れに伴う現場維持費用(工事続行に備える労働者保持)の負担が一方的に下請に転嫁されている事例が、発生しています。着工の遅れの責任が、下請にあるわけではないのに、着工の遅れに伴う現場維持費用(工事続行に備える労働者保持の費用)を、元請が下請に支払わないのです。
 元請は、着工の遅れに伴う現場維持費用(工事続行に備える労働者保持の費用など)を、発注者から貰っていません。
 着工の遅れの責任は、原因は、発注者と元請の両方にあるようです。そのような事例です。
2 直轄土木工事の一時中止に関するガイドライン(案)
 上記に関連して、2008/6/3『日刊建設工業新聞』になるほどと思わせる記事が載っていました。
 次のような記事です。
 国土交通省が、直轄土木工事の一時中止に関するガイドライン(案)を策定した。一時中止で問題となる増加費用についての考え方を明確化。本工事(工事目的物と仮設)着手後に(発注者が)中止した場合は、請負者から請求があれば、「現場の維持」、「工事体制の縮小」、「工事の再開準備」に要する増加費用を発注者が負担すると明記した。現場の維持費用には、工事続行に備えて機器や労務者、技術者を保持する費用も含まれる。
3 「工事続行に備える労働者保持の費用」の負担
 上記の「直轄土木工事の一時中止に関するガイドライン(案)」の趣旨を生かすとすれば、着工の遅れのために、元請の指示で下請が労働者を待機させていた費用は「工事続行に備える労働者保持の費用」であり、負担を下請に転嫁するのは、筋違いというべきものです。
 
 
◎ 改正建設業法が定める「共同住宅新築工事への一括下請負全面禁止の拡大」
1 国土交通省総合政策局建設業課の文書から
 国土交通省総合政策局建設業課の文書『建築士法等の一部を改正する法律による建設業法の改正について』には要旨、次のように書かれています。
「改正前の建設業法第22条では、発注者保護の観点から、一括下請負を原則として禁止しているが、発注者自身が一括下請負を承諾している場合には、これを禁じるまでもないことから、発注者による書面の承諾があれば、一括下請負を違法なものとしていなかった。しかし、発注者とエンドユーザーが異なる場合、たとえば分譲マンションでは、工事を発注する不動産業者と、マンションを取得するエンドユーザーは一致しておらず、こうした場合には、発注者の承諾のみにもとづく一括下請負は、エンドユーザーの知らないところで一括下請負がなされていることになる。こうしたことから、(分譲マンション、賃貸マンションを含む)共同住宅の新築工事は、発注者の書面の承諾があっても、一括下請負を禁止することとする」
2 一括下請負全面禁止の流れの拡大
 「一括下請負禁止、但し発注者の書面による承諾があれば一括下請負OK」→「公共工事では一括下請負全面禁止(公共工事では発注者の書面による承諾があってもダメ)」→「民間工事でも共同住宅の新築工事は一括下請負全面禁止(発注者の書面による承諾があってもダメ)」と一括下請負全面禁止の範囲が大きく拡大しています。
3 2008/4/16『建設通信新聞』によると
 2008/4/16『建設通信新聞』によると、上記の「共同住宅の新築工事は一括下請負全面禁止(発注者の書面による承諾があってもダメ)」を含めて、「監理技術者の専任を要する民間工事での、監理技術者資格者証の携帯と監理技術者資格者講習の義務付け」、「営業所ごとの図書の保存は、工事請負帳簿のほか、竣工図、発注者との協議記録、施工体系図の保存が義務付けられる」が、2008年11月末施行予定、とのことです。
 『建設通信新聞』の話ですと、「営業所ごとの図書の保存は、工事請負帳簿のほか、竣工図、発注者との協議記録、施工体系図の保存が義務付けられる」などは、あくまでも「決定」ではなく「予定」だとのことです。
 
 
◎ ── 建設業許可は「公衆」に公開しなければならない ──
 パワービルダーの○○社に建設業許可の種類を電話で聞いたところ、「教えられない」と答えてきたので、以下の建設業法40条と55条を説明し、「建設業許可は『公衆』に公開しなければならない」ことを明らかにし、「教えられない」を撤回させ、教えてもらいました。
「建設業法40条」 建設業者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見易い場所に、国土交通省令の定めるところにより、許可を受けた別表第一の下欄の区分による建設業の名称、一般建設業又は特定建設業の別その他国土交通省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
 上記の建設業法40条の違反については、罰則があります。(建設業法55条3号)
「建設業法55条」 次の各号の一に該当する者は、10万円以下の過料に処する。
1 12条(17条において準用する場合を含む。)の規定による届出を怠った者
2 正当な理由がなくて25条の13の3項の規定による出頭の要求に応じなかった者
3 40条の規定による標識を掲げない者
4 40条の2の規定に違反した者
5 40条の3の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者
 
 
◎ 商社等による建設工事の「仲立ち」は一括下請負にはならないのか?
 建設労組などの相談活動の現場で、実際に不払い等が発生すると明らかになってくるのですが、建設現場の重層下請構造の中に商社等が介在し、発注者と元請の間、元請と下請の間、あるいは上位下請と下位下請の間で建設工事の「仲立ち」のようなことをおこない、手数料などの名目で報酬を受け取っているような事実です。このような行為は、一括下請負になるのかどうか? 
 単純にする意味で、元請─商社─下請という関係にしてみました。
 元請と商社との間の契約が建設工事の請負契約で、この工事への商社の実質的関与が認められず、商社が「仲立ち」しかおこなっていないとすれば、一括下請負に該当します。
 元請と商社との契約が建設工事の請負契約ではなく、元請は商社に建設工事の完成の手配を依頼し、商社はその仲立ちをしたということであれば、これは請負ではなく委任であり、一括下請負の疑いがただちに発生するわけではありません。手数料などの名目で商社が元請や下請から報酬を受け取っても問題はありません。
 この場合でも勿論、この工事への元請の実質的関与が認められなければ、元請─下請の間で一括下請負ということになります。
(菊一 功氏『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(労働新聞社)を参考にさせていただきました)
 
 
◎ 重機の運搬に併せて何らかの施工に携わった場合は建設工事の請負契約
1 運搬に併せて何らかの施工に携わった場合は建設工事
 菊一 功氏『偽装請負 労働安全衛生法と建設業法の接点』(労働新聞社)の中に、次のように記述されている箇所があります。「重機の運搬については、請負工事とはみなしていないが、運搬に併せて何らかの施工に携わった場合は、請負工事となる」
 建設現場とのかかわりで言えば、単なる運搬、搬入、搬出は、建設工事とはみなされていません。ここであげられている重機の運搬もそうですし、残土の運搬、鉄骨の搬入、等々、運搬、搬入、搬出は、建設工事とはみなされていません。
 しかし、単なる運搬などではなく、「運搬に併せて何らかの施工に携わった場合は、請負工事となる」わけです。
 請負工事となれば、元請の責任は逃れようがなく、間違いなく元請責任は及びます。労災、不払いなど元請の責任で解決しなければなりません。
2 鉄骨工事の工場製作とその現場への搬入の場合は?
 たとえば、鉄骨工事は、鉄骨の工場製作過程と現地(建設現場)組立過程から形成されています。鉄骨の工場製作とその現場への搬入だけでは、建設工事とはみなされません。これがもし、鉄骨の工場製作とその現場への搬入だけではなく、現地(建設現場)での何らかの施工(組立)に携わった場合は、請負工事となるのだとすれば、工場製作過程を含めて請負工事となるのか? それとも現地への運搬の部分だけが請負工事となるのか? 
 下請業者の「救済」という観点から理論構成すれば、「工場製作過程を含めて請負工事となる」と解釈すべきだと思います。
 鉄骨の工場製作→鉄骨の運搬→鉄骨組立の「何らかの施工に携わる」は一体的過程を形成しており、「何らかの施工に携わる」ことで、この一体的過程の全体が建設工事としての色彩に染まると解釈するのが自然だと思います。
 
 
◎ 工期面での下請へのしわ寄せの防止 建設業法令遵守ガイドラインの改訂
(「工期面での下請へのしわ寄せの防止 建設業法令遵守ガイドラインの改訂 2008年9月18日」が国土交通省のHPに載っています。若干の意見を付けて、以下に載せておきます──海野)
工期面での下請へのしわ寄せの防止 建設業法令遵守ガイドラインの改訂
2008年9月18日
国土交通省   
1 趣旨
工期が当初のものよりも短縮されることにより、下請のコストが増加しても元請が対応してくれない等の指摘がなされていることを受け、工期面での下請へのしわ寄せを防止するため、2007年6月に策定された建設業法令遵守ガイドラインを改訂した。
2 建設業法令遵守ガイドラインの改訂内容
(1)工期が変更になった場合には、
@ 建設業法上当初契約を変更する必要があり、
また、
A 工期の変更により下請工事の費用が増加したにもかかわらず、元請負人が増額変更に応じず、下請負人に負担させた結果、下請代金の額が通常必要と認められる原価を下回ることとなった場合には、建設業法に違反するおそれがある。
(2)上記の観点から、工期の変更に関して、従来の建設業法令遵守ガイドラインに「工期変更に伴う変更契約」、「工期」の2項目を追加した。
(着工の遅れによる工期短縮の責任が元請にあることを認めながら、それによる下請の相当なコスト増加に元請が対応せず、責任を負わず、下請に泣き寝入りを強要するような事例が現実に発生しています。建設現場での元請のこのような横暴から下請を守る上で、生かしていくべき今回のガイドライン改訂です──海野)
 
 
◎ ── マンションの一括下請負 全面禁止に 建設業法施行令改定 ──
(一括下請負の禁止)
「建設業法22条」 建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
「建設業法22条2項」 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負った建設工事を一括して請け負ってはならない。
「建設業法22条3項」 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
(一括下請負の禁止の対象となる多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事)
「建設業法施行令6条の3」 建設業法22条3項の政令で定める重要な建設工事は、共同住宅を新築する建設工事とする。
(施行期日)
前記の「建設業法施行令6条の3」の施行期日については、附則1条により  「この政令は、建築士法等の一部を改正する法律の施行の日(2008年11月28
日)から施行する」と定められ、2008年11月28日から施行されています。
前記の建設業法22条3項、建設業法施行令6条の3に規定されているように、「(マンションのように)共同住宅を新築する建設工事」を除く民間工事については、事前に発注者の書面による承諾を得た場合は(一括下請負禁止の)適用除外となりますが、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」(入契法)の適用対象となる公共工事については、建設業法22条3項の規定する「一括下請負禁止の適用除外」は適用されず、一括下請負は全面的に禁止されています。
 
 
◎ 建設業法24条の6「元請の特定建設業者による下請指導、是正、通報」を再度
 建設業法24条の6の1項は、下請に対する元請の特定建設業者の指導について規定し、「元請の特定建設業者は、下請が建設工事の施工に関し、建設業法や労働基準法、労働安全衛生法等に違反しないよう、下請の指導に努めるものとする」とさだめています。
国土交通省『建設業法解説』は、元請の特定建設業者による指導の対象となる「下請負人」とは、特定建設業者と直接の契約関係にある者に限らず、当該建設工事に従事するすべての下請負人と解すべきである、と解説しています。
 国土交通省『建設業法解説』は「元請の特定建設業者が、建設工事の施工に関して統一的かつ総合的な指導監督を行なうものであり、その下に各下請負人が共同して工事を施工するのが実体」であり、「この実体を考えると、元請の特定建設業者が最終的責任者である」ことを明らかにしています。
さらに『建設業法解説』は、建設業法24条の6の1項が定めている、建設業法、労働基準法、労働安全衛生法等の法律やルールを守るよう下請を指導すべき元請の特定建設業者の責任について解説し、「この指導を的確に行っていない場合は建設業法第28条の規定による指示処分の対象となると考えるべきである」と明言しています。
 また、建設業法24条の6の2項は、下請への指導だけでなく、違反している事実について下請に是正を求める義務を、元請の特定建設業者に課しています。
 さらに、建設業法24条の6の3項は、下請が是正しない場合の、国土交通大臣または都道府県知事への通報義務を、元請の特定建設業者に課しています。
○ 建設業法24条の6の1項 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
○ 建設業法24条の6の2項 前項の特定建設業者は、その請け負った建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
○ 建設業法24条の6の3項 第1項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
 
 
◎ ── 建設業法第3条が規定する「建設業の許可」について ──
 不払いトラブルの相談の中で、次のようなケースがありました。
 元請→1次→2次→3次の重層下請構造。
 この中の3次が、「建設業法第3条第1項の規定に違反して許可を受けないで建設業を営んだ者」に該当するということのようです。言い換えると、建設業の許可を受けないで(無許可で)1500万円以上の建設工事を請け負い、施工した、ということのようです。
 そして、施工途中で、それを理由に3次が施工現場から排除され、施工済みの工事代金についてトラブルが発生したということのようです。
 @ 施工済みの部分は当然、支払われなければなりません。支払わなければ、それこそ法律違反です。
 A 元請は、建設業法24条の6にもとづく下請指導の責任を負っており、下請のところで違法な無許可業者が存在していたということは、「下請指導を的確におこなっていなかった」「下請選定の誤り」ということになり、元請責任の追及が必要です。
 B 同時に、建設業法47条は、違法な無許可営業に対して「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」を定めており、注意すべき点です。
C 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が「建設業法第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき」は、必要な指示をすることができると、建設業法28条は定めています。
 ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、建設業の許可を受けていなくても、違法とはなりません。「政令で定める軽微な建設工事」は、建築一式工事では1500万円未満の工事、それ以外の建設工事では500万円未満の工事。
 
 
◎ 建設業法20条1項(経費内訳の明確化) 同31条(立入調査)
 建設現場での元下関係の適正化、労働条件の改善に寄与し得る規定としての、経費内訳の明確化を求めている建設業法20条1項と国土交通大臣や都道府県知事の立入調査権を定めている建設業法31条を、以下に紹介しておきます。
○ 建設業法第20条1項 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
○ 建設業法第31条 国土交通大臣は、建設業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で建設業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務、財産若しくは工事施工の状況につき、必要な報告を徴し、又は当該職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 
 
◎ 建設業法28条の7 注文者への適当な措置をとるべきことの勧告
建設業法28条の7 国土交通大臣又は都道府県知事は、(建設業法28条)第1項第1号若しくは第3号に該当する建設業者又は第2項第1号に該当する(建設業法)第3条第1項の許可を受けないで建設業を営む者に対して指示をする場合において、特に必要があると認めるときは、注文者に対しても、適当な措置をとるべきことを勧告することができる。
 上記の建設業法28条の7について『建設業法解説』(大成出版社)は、「国土交通大臣又は都道府県知事は、建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は業務に関し他の法令に違反し、建設業者として不適当であると認められるときに建設業者に対して指示をする場合に、また都道府県知事は、建設工事を適切に施工しなかったため公衆に危害を及ぼしたとき、又は危害を及ぼすおそれが大であるときに許可を受けないで建設業を営む者に対して指示をする場合に、特に必要があると認めるときは、注文者に対しても適当な措置をとるべきことを勧告することができる」と解説している。
 この規定は、行政側がよく言う「私たち(行政)は、建設業者に対してだけ指導することができるのであって、注文者(発注者、施主、お客さん)に対しては指導することはできないし、そのような権限を持っていない」を一定、覆すものである。
 元請責任での不払い解決を追求する過程で、発注者への働きかけが必要になったときに、行政側からも発注者に働きかけさせる上での根拠規定に一定、なり得るのではないか。
◎ 建設業法41条2項、3項が言う「その他の適切な措置」とは何か?
 建設業法41条2項、3項は「立替払することその他の適切な措置を勧告することができる」と規定しているが、「その他の適切な措置」とは何かということについて、『建設業法解説』(大成出版社)が明らかにしている。
 『建設業法解説』は41条2項の解説の箇所で、「『その他の適切な措置』には、立替払と同等の効果を有する当該労働者に対する貸付(無利子、無担保で、かつ、労働者が賃金の支払を受けるまでの返済を猶予するもの)又は賃金の支払に充当することを条件とする当該賃金不払いを行った下請負人に対する融資などが考えられる」と明らかにしている。
 そして、『建設業法解説』は41条3項の解説の箇所で、「その他の適切な措置」のことを記述していないが、その代わり、「その他の事項については前項と同趣旨であり、前項の解説を参照されたい」と述べ、「その他の適切な措置」については41条2項と3項が同趣旨であることを明らかにしている。
 
更新日時:
2009/11/02
─────── 「会社更生」、「民事再生」関連(2) ───────
─────── 「会社更生」、「民事再生」関連(2) ───────
海野和夫
 
◎ 真柄建設株式会社民事再生とJV責任  2008/7/11 債権者説明会
1 真柄建設民事再生債権者説明会
真柄建設株式会社は、2008年7月5日、大阪地裁に民事再生を申請。
2008/7/11 債権者説明会が大田区民センターでおこなわれました。
○ 負債総額 約348億円
○ 真柄建設の主たる事業内容は、建築工事及び土木工事の請負、設計、施工等です。
○ 資本金 69億円
○ 債権者
2008年6月末日現在の負債総額は、約348億円であり、その主な内訳は以下のとおりです。
@ 金融債権者
3 社、合計約100億円
A 一般債権者
約2000社、合計約240億円
B リース債権者
3 社、合計約8億円
○ 公租公課及び従業員関係(賃金・退職金等)の未払いはありません。
○ 「メインバンクの北國銀行は、真柄建設が民事再生を申立てた場合、再生手続中の運転資金の支援をDIPファイナンスによりなすこと、また、地元経済への影響を考慮し地元有力企業である真柄建設の再生のため、有形無形の支援をすることを表明しており、引き続き同行の支援は得られる見込みです」とのことです。
「DIPファイナンス」 民事再生を申し立てた企業(真柄建設)への民事再生計画策定中の融資のことです。
○ 「スポンサー企業による資本参加あるいは事業譲渡による事業再建も視野に入れて、柔軟に対応していく所存です」としています。
(以下は、2008/7/11大田区民センターでの債権者説明会に出席して、質疑応答の中で得た情報です。質疑応答の一部に過ぎません。記録者の主観が入りますから、あくまでも参考程度に考えて下さい)
Q JVはあるのか? あるとすればどのくらいか?
A 35件ある。真柄建設メインが20件、真柄建設サブが15件。
Q 下請として施工した工事はあるのか?
A 5件ある(他のゼネコンの下請)。
Q 弁済率は?
A 現時点では未定。
Q 弁済の原資として何を考えているか? バランスシートそのものから、銀行からの融資、スポンサーからの資金投入、利益を出して利益の中から、など考えられるが、どれを弁済原資と考えているのか?
A 利益の中から、また手持ち資金からなど考えられる。スポンサーは未定で、スポンサー探しも同時並行でやっていくが、自主再建をめざしていきたい。
Q JV工事については、JVを構成する他社が、少なくとも出資割合に応じて、また100%という判例もあるが、真柄建設に代って弁済することになる。
A 真柄建設がメインのJVについては、真柄建設1社が発注者となっているので、JVの他社の責任は生じない。
Q JVの解釈・運用については、見解が異なっていることを、申し上げておく。
Q 1次下請業者の困難を緩和するために、1次下請への銀行からの融資は考えているのか?
A 北國銀行は、相談窓口を設け、1社1社真摯に対応していく。
 少額債権の弁済については、「債権者1社あたりの債権の総額が30万円以下(消費税込み)の債権者に対する弁済については、支払うことが可能である」として、「この30万円以下の債権の支払い方法については、現在のところ2008年8月末を予定している」としています。
2 JV責任について
 倒産・不払いの場合の下請企業へのJV責任について、国土交通省監修の本『改訂版 JV制度Q&A』(大成出版社)が、次のように解説しています。
 Q 共同企業体の構成員のうち1社が倒産した場合に、当該構成員と下請契約を締結していた下請業者は、残存構成員に対して未払い代金等を請求することができますか。
 A 通常は可能です。
 共同企業体の法的性質は必ずしも明確ではなく、問題が生じた時にはその共同企業体の実体を考慮しながら判断されることになります。共同企業体の下請になっている場合に、下請代金債権の債務者が誰であるかの判断は、契約の当事者が誰であるかの事実認定によります。
 一般的には、共同企業体は法人格を有しない団体であり、民法上の組合の一種と解されているため、協定書で定めのない事項については、民法の組合に関する規定が適用されることになります。組合として負った債務は、組合財産を引き当てにできるほか、各構成員も損失分担の約定の割合に応じて法的責任を負います。共同企業体では通常出資割合に応じて負担することになるので、下請は共同企業体に対して請求できるほか、各構成員に対して出資分に応じた請求ができます。
 しかし、最近の判例では、共同企業体の構成員が会社である場合には、共同企業体は商行為を営業として行うことを目的とした組合であって、各構成員は共同企業体がその事業のために第3者に対して負担した債務について、商法の規定により連帯責任を負うとされました。従って、理論的には下請は下請代金の全額について、共同企業体の構成員に請求できることとなる道が開かれました。
 ただし、実際に全額を請求するのは難しい場合が多いと思われます。例えば、ある共同企業体の構成員が会社更生法の申請をした場合でその共同企業体の下請に入っていた場合、以降更生に協力して施工するのであれば、現場再開後の工事の支払は例えば1週間毎の現金払い等となります。しかしその場合、会社更生申立前の下請代金債権について、他の構成員に全額請求するのは事実上難しいと思われます。以後、その会社からの工事は受注できなくなる可能性もあるため、当該請求先会社との関係への影響を考慮すると、今後とも当該会社との関係を継続したいのであれば、全額請求は難しいと思われます。いずれの場合であっても、よく話し合いをすることが望ましいといえます。
 なお、共同企業体が施工する建設工事において、共同企業体と下請企業等とが締結する下請契約等については、共同企業体の構成員の一部が破産又は解散した際の下請企業等の連鎖倒産等を防止し、下請企業等の不安を解消する観点から、次ぎのとおり行うこととされています。
共同企業体が施工する建設工事における下請契約等について
平成10年1月30日建設省経振発第8号
1 甲型共同企業体の場合
 甲型共同企業体は、共同企業体施工工事全体を各構成員が共同で施工し、損益計算についても当該工事について共同企業体としての決算を行うものであることから、下請契約等を履行する際においても、各構成員が連帯して責任を負うとすることが適当であること。
 これを明確にするため、各構成員が連帯で責任を負う旨契約上明記するとともに、契約の締結は、共同企業体の名称を冠して共同企業体の代表者及びその他の構成員全員の連名により、又は少なくとも共同企業体の名称を冠した代表者の名義によること。
2 乙型共同企業体の場合
 乙型共同企業体は、共同企業体施工工事を工区に分割して各構成員が分担して施工し、損益計算も各工区各構成員毎に別建てで行うものではあるが、共同企業体の趣旨及び下請企業等の保護の観点から、上記1甲型共同企業体の場合に準じて契約を締結することが望ましいこと。
3 下請企業等との協議等
 下請契約等の締結に際しては、当該契約の履行についての各構成員間の責任分担及び各構成員と下請企業等との権利義務関係について、運営委員会において予め各構成員協議の上決定するとともに、下請企業等と予め十分協議を行うこと。
 
 
◎ ── 東証・大証1部上場の真柄建設が民事再生を申請 ──
(以下は、真柄建設のHPからの抜粋を中心に記述してあります)
真柄建設株式会社は、2008年7月5日、大阪地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行い受理され、直ちに同裁判所から保全処分命令(弁済禁止処分)と監督命令が発せられました。
○ 事件番号 平成20年(再)第38号
○ 負債総額 約348億円
○ 真柄建設株式会社の主たる事業内容は、建築工事及び土木工事の請負、設計、施工等です。
○ 従業員 538人(2008年6月30日現在)
○ 直近の2008年3月期決算では、総売上高は844億9848万円となっています。
○ 資本金 69億3215万円
○ 債権者
2008年6月末日現在の負債総額は、約348億円であり、その主な内訳は以下のとおりです。
@ 金融債権者
3 社、合計約100億円
A 一般債権者
約2000社、合計約240億円
B リース債権者
3 社、合計約8億円
○ 公租公課及び従業員関係(賃金・退職金等)の未払いはありません。
○ 北國銀行は、真柄建設が民事再生を申立てた場合、再生手続中の運転資金の支援をDIPファイナンスによりなすこと、また、地元経済への影響を考慮し地元有力企業である真柄建設の再生のため、有形無形の支援をすることを表明しており、引き続き同行の支援は得られる見込みです。
○ スポンサー企業による資本参加あるいは事業譲渡による事業再建も視野に入れて、柔軟に対応していく所存です。
○ 債権者説明会
以下のとおり、債権者説明会を開催することとしています。
@ 金沢
日時 2008年7月8日(火)午後2時〜
場所 石川県産業展示館1号館
A 大阪
日時 2008年7月9日(水)午後2時〜
場所 メルパルク大阪
B 東京
日時 2008年7月11日(金)午後2時〜
場所 大田区民センター音楽ホール
◎ ─── スルガコーポレーション民事再生について ───
 2008/6/24 株式会社スルガコーポレーション(東証2部上場 資本金139億円 従業員136人 横浜市)が、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。同社は、ここ数年、不動産ソリューション事業で売上を拡大してきました。
ソリューション solution 解決
 不動産ソリューション事業 「物件の複雑化した権利関係を整理、解決して、転売する形態、手法の事業」というような事業を意味するようです。
 2008/7/1 株式会社スルガコーポレーションの民事再生債権者説明会がおこなわれました。
 社長、前会長、弁護士等による説明会での説明等の特徴点を、以下に記載しておきます。
○ 立ち退き交渉を頼んでいた会社の関係者が弁護士法違反の容疑で逮捕され、反社会的勢力との関係がマスメディアにより大きく報じられたため、当社の信用も大きく低下。不動産の売却の困難、銀行融資での資金調達のメドが立たない事態になり、(被害を最小限に食い止める手続きである)民事再生の申立手続きになった。
○ スポンサーを募り、当社を一番評価してくれるスポンサーに頼み、弁済原資を確保していきたい。
○ 少額の下請債権の被害を少なくするために努力する。
○ 通常の民事再生のように債権の90%放棄、95%放棄、ということにはならない。 
○ 貸借対照表(バランスシート)上は、500億円の資産超過である。再評価する必要がある。
○ バランスシートの再評価後も資産超過であれば、100%弁済をめざして、真摯に努力したい。
○ (100万円を超える債権の場合)100万円は必ず払うような再生計画案を作るつもりである。
○ 100万円以下の債権については、2008年7月末までに支払う予定である。
○ (バランスシート記載以外の)簿外債務は存在しない。
○ 工事再開している。
○ (建設工事)全て元請である。JVはない。
○ (融資を受けられない、不動産が売れない、というが、バランスシートにある利益剰余金残高274億円を取り崩して、対応することはできなかったのか? の質問に対して)そういうことがあるので、頑張ってきたが、事態は会計上の操作を超えている。
○ 下請救済、下請保護の観点で、真摯に検討する。
○ (下請債権への弁済を含めて、スルガコーポレーションを一番よく評価してくれるスポンサーを選んで、スポンサーからの資金投入で弁済原資にしていく、と受け取っていいのか? の質問に答えて)スポンサーの意向次第だが、基本的に、資金投入して弁済原資にあてるということだ。
 
 
◎ 民事再生「中小企業者に対する再生債権の弁済許可申請書」モデル等
 スルガコーポレーション(2008年6月23日 民事再生申請)、国分寺建設(2008年6月24日 民事再生申請)、真柄建設(2008年7月5日 民事再生申請)、ゼファー(2008年7月18日 民事再生申請)、三平建設(2008年7月24日 民事再生申請)などこの1ヶ月の間に、民事再生型の倒産・不払いが多発し、最近の「マンション不況」を反映して、ゼネコンのみならずディベロッパーにも民事再生は広がっています。
 それへの対応として考えられるのが、民事再生法85条の2に基づく特例弁済であり、また85条の5に基づく少額弁済です。JV責任も存在します。
 あらためて以下に、まとめて載せておきます。
1 再生債権の弁済の禁止
民事再生法85条 再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為をすることができない。
2 中小企業者への特例弁済
民事再生法85条の2項 再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
民事再生法85条の3項 裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、再生債務者と同項の中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。
民事再生法85条の4項 再生債務者等は、再生債権者から第2項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
3 少額債権の弁済
民事再生法85条の5項 少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
4 「中小企業者に対する再生債権の債務弁済許可申請書」モデル
以下に紹介するのは、『詳解 民事再生法の実務』(発行所 第一法規出版株式会社)に掲載されていたものです。
 
平成18年(再)第○○○号
再生債務者 ○○○○株式会社 
中小企業者に対する再生債権の債務弁済許可申請書
申請の趣旨
 再生債務者が、民事再生法85条の2項にもとづき、××株式会社に対し、金2000万円を支払うことにつき許可を求める。
申請の理由
1 ××株式会社(以下、「債権者××」という。)は、建築工事の請負、大工工事の請負等を目的とする株式会社である。
2 債権者××は、年間売上高が約7億3000万円、従業員が14人の株式会社であるが、昭和42年以来、一貫して再生債務者の下請業者として今日に至っており、現在再生債務者からの受注工事が売上高の約79%である。ところで、現在、上記債権者××は、民事再生法85条1項により、再生会社に対して有する金1億2000万円余りの再生債権の支払を受けられなくなっている。
3 一方、債権者××は資材費支払のために、再生債務者振出にかかる、本年4月20日満期の額面額合計2500万円の約束手形を資材業者へ裏書譲渡している。しかし、民事再生法85条1項により再生債務者はこれらの手形を決済することができない。
 また、上記手形決済に加えて、本年4月22日には、従業員への給料や外注工事費支払のために約1500万円程度の資金が必要なところ、債権者××には、自力で上記資金全額を調達する余裕はなく、2000万円程度の運転資金がショートする状況にあり、このままでは連鎖倒産を免れない。
4 現在、債権者××は再生債務者より受注した合計8件の現場施工を継続している。再生債務者振出にかかる上記手形の譲渡先は全て資材業者であり、債権者××が上記手形を買い戻し得ない場合は、資材の供給を停止され、工事が著しく遅延する。又、債権者××のその余の支払の大半は、大工及び職人に対する手間賃等の労務費であり、仮に上記支払ができなければ今後継続して職人を集めることが困難となる等、債権者××のみならず再生債務者にとっても約4億円の工事代金の支払が受けられなくなる。
5 債権者××は、再生債務者からの受注工事が売上高の約79%を占め、再生債務者に対する事業依存度が極めて高く、その代表者及び従業員は今後も再生債務者の再建に協力する旨確約している。又、債権者××の支払額の大半は大工及び職人に対する手間賃などの労務費であり、上記棚上債権もその性質は労務費と目されるべきものである。
6 以上の事情を考慮し、再生債務者の上記損害を回避しつつ、かつ債権者××の連鎖倒産を防止するため、申請の趣旨記載の許可を求める。
添付書類
1 決算報告書        1通
2 会社商業登記簿謄本    1通
 平成18年○月○日
再生債務者代理人
弁護士 ○○○○
 東京地方裁判所民事第20部 御中
5 JV責任について
 倒産・不払いの場合の下請企業へのJV責任について、国土交通省監修の本『改訂版 JV制度Q&A』(大成出版社)が、次のように解説しています。
 Q 共同企業体の構成員のうち1社が倒産した場合に、当該構成員と下請契約を締結していた下請業者は、残存構成員に対して未払い代金等を請求することができますか。
 A 通常は可能です。
 共同企業体の法的性質は必ずしも明確ではなく、問題が生じた時にはその共同企業体の実体を考慮しながら判断されることになります。共同企業体の下請になっている場合に、下請代金債権の債務者が誰であるかの判断は、契約の当事者が誰であるかの事実認定によります。
 一般的には、共同企業体は法人格を有しない団体であり、民法上の組合の一種と解されているため、協定書で定めのない事項については、民法の組合に関する規定が適用されることになります。組合として負った債務は、組合財産を引き当てにできるほか、各構成員も損失分担の約定の割合に応じて法的責任を負います。共同企業体では通常出資割合に応じて負担することになるので、下請は共同企業体に対して請求できるほか、各構成員に対して出資分に応じた請求ができます。
 しかし、最近の判例では、共同企業体の構成員が会社である場合には、共同企業体は商行為を営業として行うことを目的とした組合であって、各構成員は共同企業体がその事業のために第3者に対して負担した債務について、商法の規定により連帯責任を負うとされました。従って、理論的には下請は下請代金の全額について、共同企業体の構成員に請求できることとなる道が開かれました。
 ただし、実際に全額を請求するのは難しい場合が多いと思われます。例えば、ある共同企業体の構成員が会社更生法の申請をした場合でその共同企業体の下請に入っていた場合、以降更生に協力して施工するのであれば、現場再開後の工事の支払は例えば1週間毎の現金払い等となります。しかしその場合、会社更生申立前の下請代金債権について、他の構成員に全額請求するのは事実上難しいと思われます。以後、その会社からの工事は受注できなくなる可能性もあるため、当該請求先会社との関係への影響を考慮すると、今後とも当該会社との関係を継続したいのであれば、全額請求は難しいと思われます。いずれの場合であっても、よく話し合いをすることが望ましいといえます。
 なお、共同企業体が施工する建設工事において、共同企業体と下請企業等とが締結する下請契約等については、共同企業体の構成員の一部が破産又は解散した際の下請企業等の連鎖倒産等を防止し、下請企業等の不安を解消する観点から、次ぎのとおり行うこととされています。
共同企業体が施工する建設工事における下請契約等について
平成10年1月30日建設省経振発第8号
1 甲型共同企業体の場合
 甲型共同企業体は、共同企業体施工工事全体を各構成員が共同で施工し、損益計算についても当該工事について共同企業体としての決算を行うものであることから、下請契約等を履行する際においても、各構成員が連帯して責任を負うとすることが適当であること。
 これを明確にするため、各構成員が連帯で責任を負う旨契約上明記するとともに、契約の締結は、共同企業体の名称を冠して共同企業体の代表者及びその他の構成員全員の連名により、又は少なくとも共同企業体の名称を冠した代表者の名義によること。
2 乙型共同企業体の場合
 乙型共同企業体は、共同企業体施工工事を工区に分割して各構成員が分担して施工し、損益計算も各工区各構成員毎に別建てで行うものではあるが、共同企業体の趣旨及び下請企業等の保護の観点から、上記1甲型共同企業体の場合に準じて契約を締結することが望ましいこと。
3 下請企業等との協議等
 下請契約等の締結に際しては、当該契約の履行についての各構成員間の責任分担及び各構成員と下請企業等との権利義務関係について、運営委員会において予め各構成員協議の上決定するとともに、下請企業等と予め十分協議を行うこと。
 
 
◎ ────  三平建設株式会社民事再生債権者説明会  ────
 2008/7/24 三平建設株式会社が東京地裁に民事再生を申し立て。
 2008/7/29 三平建設民事再生債権者説明会が(東京)九段会館でおこなわれる。
(以下は、上記の債権者説明会での説明と質疑応答の一部です。記録者の主観も入っていますので、その辺を割り引いて、参考資料として下さい)
(説明)マンションがまるっきり売れなくなる。自社単独も考えているが、りそな銀行のサポートを得ながら、スポンサーを見つけて、確実な再生に努めたい。
(説明)少額債権の弁済は10万円以下の債権。
(質問)マンション建設が中心ということだが、JVでの施工はあるのか、あるとすれば何件か? 御社が下請となっての施工はあるのか、あるとすれば何件か? 弁済条件は未定とのことだが、少額債権の弁済が10万円以下というのは低いし、弁済の原資として何を考えているのか? バランスシートから出すということか、再生の軌道の中で利益を出してその利益を原資とするのか、スポンサーを見つけてスポンサーから資金提供を得てそれを弁済原資とするのか、メインバンクのりそな銀行から融資等を得て原資とするのか?
(回答)JVは2件。下請施工はゼロ。スポンサーからの支援を得て、弁済原資にあてたい。スポンサーについて、現時点で確定的な話があるわけではない。
(質問)資産と負債は?
(回答)資産4億円強、負債160億円。財産評定手続きの中で、バランスシート等は確定していく。
(質問)経営者の責任は?
(回答)経営責任は重いものがあるが、法的な意味での善管注意義務違反はなかった。法律違反行為はなかった。相次いで取引先のディベロッパーが倒産。
(質問)工事再開はいつからか?
(回答)8/1をメドに工事再開していく。2物件については先行して、工事再開している。
(質問)りそな銀行からの支援は?
(回答)メインバンクのりそな銀行に、従来と変わらない厚いご支援をお願いしている。
 
 
◎ 旭ホームズ(ジャスダック上場)の親会社のセボンが民事再生
1 セボン民事再生
2008/8/25『朝日新聞』によると、「首都圏を中心に不動産開発などを手がけるセボン(本社・東京)は2008年8月25日、東京地裁に民事再生法の適用を申請。負債総額は621億円。同時に民事再生を申し立てた子会社分をあわせると約785億円」とのことです。
 不動産業者の倒産が続発しています。
 セボンは、旭ホームズ(ジャスダック上場)の親会社。
『朝日』記事によると、旭ホームズは、「独立性を維持した経営で、相互依存関係にないため、業績に影響はない」とのコメントを発表した、とのことです。
 負債は、子会社(バニラ)の分を含めると、785億円。
2 帝国データバンクによると
民事再生申請代理人は西村國彦弁護士(東京都千代田区内幸町1−1−7 電話03−5511−4400)ほか6人。
 セボンは2006年9月に、旭ホームズの株式89.85%を取得して連結子会社化。
 負債の内訳は、2008年7月末時点で、セボンが621億41百万円、バニラが163億7千万円。2社合計で785億11百万円。
 セボンの倒産により、不動産業者の大型倒産は、ゼファー(負債949億48百万円、東京都、2008年7月、民事再生法)に次いで今年5番目の大型倒産です。
 
 
◎ りんかい日産建設(株) 東京地裁に会社更生法の適用を申請
2008/08/29 中堅ゼネコンのりんかい日産建設株式会社が東京地裁に会社更生法の適用を申請しました。
負債629億8380万円とのことです。
2008年のゼネコン倒産では、真柄建設(負債348億円、民事再生)を上回る最大規模の大型倒産です。今後も、株式配当無配のゼネコンとか利益剰余金残高△のゼネコンとか中堅クラスゼネコンの大型倒産の発生が心配です。
申請代理人は那須克巳弁護士(東京都中央区日本橋本町3−3−4日本橋本町ビル8階、電話03−3516−2281)
 同社HPによると、「申立の理由」及び「今後の見通し」の要旨は、次のようなものです。
1 会社更生 申立の理由
当社は、土木・建築事業の他に、2005年頃から不動産開発事業を行ってきた。サブプライムローン問題に端を発した金融機関の融資先選別及び融資案件審査の厳格化の影響により、2007年末頃から事業環境が急激に変化した。当社の開発事業はSPCを利用した不動産の流動化だったが、上述のような急激な信用収縮の結果、それまで不動産を取得する意向を示していたファンド等の買受候補者から相次いで契約延期の申し入れがあり、その結果、各SPCの融資先等に対する返済資金を、当社が立て替えて弁済しなければならない事態となった。当社は、約80億円もの資金を投入して、SPCの融資先等に対する債務を弁済したが、さらに、取引先のディベロッパーの倒産に伴い約10億円の損害を被ったことにより、資金繰りは一気に悪化した。不動産の売却による資金の確保に奔走したが、結果として成約には至らず、2008年8月末の債務の支払が困難となった。そのため、今回の申立に至った。
2 今後の見通し
裁判所並びに保全管理人による監督指導のもとで、金融機関、発注者及び工事関係先各位の支援、協力を得て、一日も早く会社を再建できるよう、社員一同全力を傾注していく。
○ SPC 特定目的会社
(参考)
○ 前回の日産建設会社更生の際の経過
2003年1月30日 関係人集会
2003年1月31日 東京地裁から更生計画の認可決定を受ける。
2003年7月1日  りんかい建設と合併。りんかい日産建設として発足。
 全建総連関東地協として交渉を行ない、「東京、大阪、横浜など10支店に相談窓口を設置し、相談担当者を配置させる」、「(契約の範囲内で)現金で前払いさせるなどの手法で、窮状に陥っている下請業者を救済させる」などを日産建設におこなわせてきました。
 また、更生計画の中に、500万円未満の債権については200万円を超える部分を放棄すれば200万円を支払うことが記述され、全建総連関東地協の要求を一定反映させることができました。なお、500万円以上の債権に対する弁済率は7%になっています。
 
 
◎ ── りんかい日産建設債権者説明会に参加して 簡単なまとめ ──
 2008/9/3 九段会館で「りんかい日産建設債権者説明会」がおこなわれました。
 参加しましたので、その簡単なまとめを以下に記述しておきます。主観も入っていますから、割り引いて受け止めて下さい。
(りんかい日産建設債権者説明会)
○ 清水建設とのJV、戸田建設とのJV、西松建設とのJVなどJV工事が目立つ。
○ (回答)スポンサーについては、まだ発表できるような段階ではない。 
○ 「少額債権の弁済」 債務総額金100万円以下の債務(手形債務を除く)
 支払い時期等については、保全管理人から通知する。
○ (回答)「少額債権の弁済」 100万円を超える部分を放棄すれば、100万円を支払うかどうかについては、答えられない。
○ (回答)少額債権は、更生管財人の権限。
○ (回答)2008/9/2現在 工事再開率48%。
○ 工事代金について、規定が存在していないのに10%を「保留金」として支払いを保留されているので、それを支払ってほしいとの要望が、下請業者から出された。
「国土交通省の『建設業法令遵守ガイドライン』に保留金についての記述があり、下請業者との協議、合意がないまま一方的に長期にわたって保留金などの名目で支払いの一部を保留することは建設業法違反のおそれがある、と説明されている。りんかい日産建設は、元請の特定建設業者として法令遵守を実行し、10%の保留金については優先して保護すべきである」という趣旨の発言が、出席していた建設労組からおこなわれた。
 りんかい日産建設の回答「保留金10%の扱いは、更生管財人の債権認否による」
○ (回答)「特例弁済」 個別に対応する。
○ 「納入済みの材料は共益債権になるのか」の質問に対して「事実関係を確認して回答する。断定できない」との回答。
○ (回答)JVについては、個別の話になる。
○ 「発注者がまだ支払っていない場合、下請業者への直接払いは可能か?」の質問に対して「それは当社に支払われるべきもので、特別扱いは困難」との回答。
○ (回答)保証債務91億円が存在する。
(参考)
JV責任について
 倒産・不払いの場合の下請企業へのJV責任について、国土交通省監修の本『改訂版 JV制度Q&A』(大成出版社)が、次のように解説しています。
 Q 共同企業体の構成員のうち1社が倒産した場合に、当該構成員と下請契約を締結していた下請業者は、残存構成員に対して未払い代金等を請求することができますか。
 A 通常は可能です。
 共同企業体の法的性質は必ずしも明確ではなく、問題が生じた時にはその共同企業体の実体を考慮しながら判断されることになります。共同企業体の下請になっている場合に、下請代金債権の債務者が誰であるかの判断は、契約の当事者が誰であるかの事実認定によります。
 一般的には、共同企業体は法人格を有しない団体であり、民法上の組合の一種と解されているため、協定書で定めのない事項については、民法の組合に関する規定が適用されることになります。組合として負った債務は、組合財産を引き当てにできるほか、各構成員も損失分担の約定の割合に応じて法的責任を負います。共同企業体では通常出資割合に応じて負担することになるので、下請は共同企業体に対して請求できるほか、各構成員に対して出資分に応じた請求ができます。
 しかし、最近の判例では、共同企業体の構成員が会社である場合には、共同企業体は商行為を営業として行うことを目的とした組合であって、各構成員は共同企業体がその事業のために第三者に対して負担した債務について、商法の規定により連帯責任を負うとされました。従って、理論的には下請は下請代金の全額について、共同企業体の構成員に請求できることとなる道が開かれました。
 ただし、実際に全額を請求するのは難しい場合が多いと思われます。例えば、ある共同企業体の構成員が会社更生法の申請をした場合でその共同企業体の下請に入っていた場合、以降更生に協力して施工するのであれば、現場再開後の工事の支払は例えば1週間毎の現金払い等となります。しかしその場合、会社更生申立前の下請代金債権について、他の構成員に全額請求するのは事実上難しいと思われます。以後、その会社からの工事は受注できなくなる可能性もあるため、当該請求先会社との関係への影響を考慮すると、今後とも当該会社との関係を継続したいのであれば、全額請求は難しいと思われます。いずれの場合であっても、よく話し合いをすることが望ましいといえます。
 なお、共同企業体が施工する建設工事において、共同企業体と下請企業等とが締結する下請契約等については、共同企業体の構成員の一部が破産又は解散した際の下請企業等の連鎖倒産等を防止し、下請企業等の不安を解消する観点から、次ぎのとおり行うこととされています。
共同企業体が施工する建設工事における下請契約等について
平成10年1月30日建設省経振発第8号
1 甲型共同企業体の場合
 甲型共同企業体は、共同企業体施工工事全体を各構成員が共同で施工し、損益計算についても当該工事について共同企業体としての決算を行うものであることから、下請契約等を履行する際においても、各構成員が連帯して責任を負うとすることが適当であること。
 これを明確にするため、各構成員が連帯で責任を負う旨契約上明記するとともに、契約の締結は、共同企業体の名称を冠して共同企業体の代表者及びその他の構成員全員の連名により、又は少なくとも共同企業体の名称を冠した代表者の名義によること。
2 乙型共同企業体の場合
 乙型共同企業体は、共同企業体施工工事を工区に分割して各構成員が分担して施工し、損益計算も各工区各構成員毎に別建てで行うものではあるが、共同企業体の趣旨及び下請企業等の保護の観点から、上記1甲型共同企業体の場合に準じて契約を締結することが望ましいこと。
3 下請企業等との協議等
 下請契約等の締結に際しては、当該契約の履行についての各構成員間の責任分担及び各構成員と下請企業等との権利義務関係について、運営委員会において予め各構成員協議の上決定するとともに、下請企業等と予め十分協議を行うこと。
 
 
◎ 東証・大証1部上場の中堅ゼネコン(株)新井組が民事再生
1 現状
 東証・大証1部上場の中堅ゼネコン、株式会社新井組が、東京地裁に民事再生を申請して倒産しました。連鎖的に被害の拡大が予測されます。
 負債額は427億円。
 メインバンクは三井住友銀行。
 三井住友銀行が、融資を打ち切り、新井組は支払い不能に陥った、ということのようです。
三井住友銀行への新井組の債務額は144億円とのことです。
筆頭株主のNISグループにも支援の要請を行ったが、断られた、とのことです。
「NISグループ」 消費者金融、事業者金融を営む企業。
2 対策
 元請倒産ですから、厳しいたたかいになりますが、方向としては、工事代金への配当の原資を確保するために、メインバンクの三井住友銀行に担保付き債権を譲らせて、工事代金への配当の原資にしていくことを、めざすことです。
 そのために、
 @ 下請業者は債権者説明会で、下請業者が多数参加している前で、「銀行に支払う金があるのなら下請業者に支払うこと」を強く訴える必要があります。
 A 民事再生をとりしきる弁護士や裁判長に交渉、申し入れをおこなうことです。
 B メインバンクの三井住友銀行への交渉や(建設労組の)団体行動権の行使をおこなうことです。
 C 上記のために、不払い被害を受けた下請業者を結集することです。
 なお、新井組本社に確認したところ、債権者説明会(関東地域)の日時・会場は、10月15日(水)午前10時30分〜 日比谷公会堂 とのことです。
 
 
◎ 勝村建設 営業休止→営業再開→営業休止→「民事再生を申立て」
 2008/10/30 中堅ゼネコンの勝村建設(株)が、「支払いの資金めどが立たない」ことを理由として「営業休止」を公表しました。
 同社は、資金繰りが困難になった理由として、取引企業の民事再生、工事代金未払い、「金融情勢の激変」による金融機関からの融資取り消しをあげています。
2008/10/31 状況の確認と交渉の申し入れを目的として、同社の本社(台東区浅草橋)と「対応をお願いした」という田中法律事務所(豊島区西池袋)田中信人弁護士を訪ねました。
 「協力業者」の人たちが次々と来ていましたが、本社は施錠されていて、中に入れません。電話してもダメです。中に人がいるのですが、電話には誰も出ません。
 田中法律事務所に電話すると、「先生(田中信人弁護士)は(勝村建設)本社でいま、経営陣と対策を協議中」とのことで、会うことはできない、との返事です。同事務所のあるマンションまで行き、呼び出しましたが、応答がありません。  
 2008/11/4午前、田中法律事務所に電話。田中法律事務所の回答「(田中信人)先生(弁護士)から、午前中に連絡が入って、民事再生を準備中、とのことです。しかし、勝村建設のHPに『営業再開のお知らせ』が載っており、どうなっているのかわからない。田中先生からの連絡を待っている」
 勝村建設のHPを見ると確かに、「営業再開のご連絡」が掲載されています。
 2008/11/4午後、勝村建設の本社に行き、社員から話を聞きました。「民事再生の方向だと会社から説明を受けている」と社員は言います。
 田中法律事務所にまた電話すると、「民事再生の方向で検討中だが、確定したわけではない」というようなことを言います。
 勝村建設のHPをまた見ると、「営業再開のご連絡」が削除されていて、「営業休止のご連絡」だけが載っています。動揺しています。
 2008/11/5 田中信人弁護士から直接(電話ですが)、話を聞くことができました。田中信人弁護士は、次のように話しています。
 スポンサーが見つかったという話は、事実に近い。
 民事再生の方向で検討中だが、確定したわけではない。
 数日中に、結論、方向を出す。
 2008/11/11 勝村建設が東京地裁に民事再生の申立てを行ないました。
 同社HPによると、「経営再建の道を模索し、この度、有力なスポンサーより、弊社の民事再生手続の申立てを前提として、弊社経営再建のご協力を得られる運びとなりました」とのことです。
 帝国データバンク「大型倒産速報」によると、負債は約49億5700万円、「従業員全員を解雇する予定だったが、解雇を撤回し、民事再生法のもとで再建を図るべく今回の措置となった」とのことです。
 最近だけでも、サンユー民事再生、新井組民事再生、群馬県の最有力ゼネコンの井上工業の破産、今回の勝村建設の「営業休止→民事再生」、山ア建設会社更生、等々、現下の恐慌的状況の中、倒産・不払いの大波が押し寄せ、重層下請構造下の建設業者、一人親方、労働者を連鎖的に苦しめ、窮状に追い込みつつあります。
 現在の破産法など倒産法では、工事代金が賃金(労働債権)として認められず、一般債権として扱われ、倒産時に配当を受け取ることができません。一般債権への配当は、通常ゼロです。下請業者は泣き寝入りを余儀なくされます。ここは、法改正を含めて行い、工事代金を賃金(労働債権)として認めて保護することが必要です。
 また、倒産時、見るべき資産には担保が付いていて、銀行などが担保付き債権優先ということで回収していきます。ここも法改正を含めておこない、銀行などに譲らせて、担保付き債権の主要部分を工事代金への配当に回すべきです。
 これによって、倒産時の工事代金の被害を最小限にとどめ、連鎖倒産を防止することです。
 麻生内閣の緊急経済対策には、27兆円を用意している、とのことです。この一部を投入すれば、工事代金を労働債権として保護し、下請業者、中小業者の連鎖倒産を防ぎ、日本経済の土台を形成し、支えている人たちを守ることができます。
 
 
◎ ───  勝村建設民事再生債権者説明会に参加して  ───
 2008/11/14 勝村建設民事再生債権者説明会がおこなわれました。
 勝村建設は二度目の民事再生です。
 債権者説明会での報告、質疑応答の一部を以下に記述しておきます。記述者の主観も当然排除できませんから、その辺を割り引いて、読んで下さい。
 山田一二社長「決定的だったのは、18億円の債権回収ができなかったこと」
 山田一二社長「ウソをついたことになり、損害を拡大させた」、「結果としてだましてしまった」
 「36現場ある。発注者は、防衛省、国土交通省、農水省、北海道開発庁、東京都など」
 「スポンサーの候補者数社、一両日中に1社に絞る。最終段階の詰めをおこなっている」
 「受注残80億円。官公庁からは早期の工事再開を要請されている」
 山田一二社長は辞任する。
 従業員、現在160人。
 資本金9億円。
 (少額債権の弁済として)50万円以下の債務を支払う。50万円を超える債務については、支払いストップ。
 監督委員は「キタガワタカユキ」弁護士 メトロポリタン法律事務所 電話03−3356−7618
 柳澤憲弁護士「破産時の配当率(暫定的な試算で2.72%)を上回ることは間違いない」
 柳澤憲弁護士「(民事再生法85条の2 特例弁済)相談があった場合、検討」
 建設労組が「金融機関に債権を放棄させて(譲らせて)、工事代金への配当に回すこと」、「工事代金の中の労務費部分を労働債権(賃金)として認めて保護すること」を要求した。
 柳澤憲弁護士「社長の責任は免れられない」
柳澤憲弁護士「官公庁から下請業者への直払いは困難」
柳澤憲弁護士「労務請負の場合は、裁判所とも協議して、ある程度柔軟な対応をとれると思っている」
 金融債権約21億円のうち15億円が弁済される見込み。このうち半分の7億5千万円を譲らせて、工事代金への配当に回すことで、工事代金への配当率を大きく高めることを、建設労組は要求した。
 
 
◎ ──── オリエンタル白石会社更生債権者説明会に参加して ────
 2008/12/1東京厚生年金会館でおこなわれたオリエンタル白石会社更生債権者説明会に参加してきました。
 以下に、注意しておいたほうがいいと思われる諸点を記述しておきました。
○ オリエンタル白石「2008年11月末の必要資金の融資についてぎりぎりまで金融機関との交渉を続けたものの、融資は実行されなかった。融資が実行されなかったことから、2008年11月末に約18億円の資金不足に陥る見込みとなり、このまま支払停止等に至れば事業の継続が困難になることから、会社更生手続開始の申立てに及んだ」
 質問「融資を実行しなかった金融機関とは、どこか?」
 回答「三井住友、みずほ、UFJである」
○ オリエンタル白石「会社更生申立時は資産超過」
 質問「修正バランスは作っていないのか?」
 回答「作っていない」
○ オリエンタル白石の負債総額約605億円(うち金融債務約324億円)
 全建総連は金融債務約324億円に着目し、担保付き債権が優先だからといって下請業者への支払をしないまま銀行に支払うのではなく、下請業者の工事代金へ優先して支払うよう、主張した。(会場全体から大きな拍手が起こりました)
○ 質疑からJV工事の存在が明らかになった。
 全建総連は、国土交通省監修のJV解説書を引用し、JVの「相棒」に未払い工事代金を請求できることを明らかにした。(会場全体から大きな拍手が起こりました)
○ 少額債権を含めて配当については、「会社更生の申立て段階では想定していない」との説明がおこなわれた。
○ 東京地裁裁判長の「決定」の中にある「保全管理人が次に掲げる行為をするには、当裁判所の許可を得なければならない。但し、次に掲げるものを除く。債務総額金50万円以下の債務」の解釈について、オリエンタル白石は「裁判所の許可を得なければならないということではないということであり、50万円以下を払わなければならないということではない」と説明した。
(参考資料)
────── オリエンタル白石会社更生について ──────
 東証1部上場のオリエンタル白石株式会社(土木工事業、建築工事業)が2008/11/26東京地裁に会社更生の申し立てを行い、受理され、同裁判所から弁済禁止の保全処分命令が出され、下請業者に多大な不払い被害が発生、拡大しています。負債総額は約605億円とのことです。
 オリエンタル白石は「昨夏以降のサブプライムローン問題、資源高騰等による景気の後退及び金融情勢の悪化のため、金融機関からの借入・借換が困難となり、2008年11月末日の資金繰りの目途が立たない状況」となり、「会社更生手続により会社再建をめざすことが最善の策と判断した」としています。
 (オリエンタル白石提出の資料によると)「主な事業内容」プレストレスコンクリート建設工事、橋梁・道路等基礎工事、一般土木・建築工事の施工、「従業員の状況」正社員1,355人、「労働組合」オリエンタル建設職員組合、オリエンタル建設労働組合、白石職員組合
 (帝国データバンク企業情報によると)「取引銀行」三井住友(東京中央)、みずほ(丸之内)、三菱東京UFJ(丸の内)、三菱東京UFJ(本店)、りそな(東京営業部)、三菱UFJ信託(本店)、「販売先」官公庁、JR各社、公団、公社、ゼネコン
 なお、調査日2008年10月2日時点での帝国データバンク企業情報「評点」は54であり、言い換えると、評点54でも倒産に至る現実的可能性のある恐慌的状況に建設産業が陥っていることを、示したものと言えるのかもしれません。
 
 
◎ ────── 多発する民事再生、会社更生への参考資料 ──────
1 直近の例
 サブコンの会社更生で、元請のゼネコンが100%の立替払をおこなった、とのことです。このゼネコンは、建設業法41条3項にもとづく元請責任での不払い解決を誠実におこなったわけです。
 ○○社・民事再生では、民事再生の弁護士との交渉をおこない、不払いをおこさないよう下請を指導すべき元請責任をはたすよう求め、結果として、不払いをおこしていた1次は「全額払う」と2次に約束しました。
 不払い被害が拡大している△△社・民事再生では、1社については少額債権の適用、1社についてはJVの構成員への支払い請求、1社(3次)については上(元請)から払われないからと言って下(3次)に負担を押し付けるやり方を許さず、1〜2次に請求していく方向を確認しました。また、民事再生法が定める特例弁済の規定を活用する方向も確認しました。
 △△社とのJVを結成しているA社は、申し入れに対して、「JV工事については、全額に近い額を支払うつもりだ」と言っています。
 一人親方や一人親方的事業主層を労働者として認めさせて労働法の保護をかちとる課題、工事代金の中の労務費部分を労働債権として認めさせて保護する課題を追求しながら、適切な行動形態、運動形態を選択することが、大事です。
2 JV責任
 倒産・不払いの場合の下請企業へのJV責任について、国土交通省監修の本『改訂版 JV制度Q&A』(大成出版社)が、次のように解説しています。
 Q 共同企業体の構成員のうち1社が倒産した場合に、当該構成員と下請契約を締結していた下請業者は、残存構成員に対して未払い代金等を請求することができますか。
 A 通常は可能です。
 共同企業体の法的性質は必ずしも明確ではなく、問題が生じた時にはその共同企業体の実体を考慮しながら判断されることになります。共同企業体の下請になっている場合に、下請代金債権の債務者が誰であるかの判断は、契約の当事者が誰であるかの事実認定によります。
 一般的には、共同企業体は法人格を有しない団体であり、民法上の組合の一種と解されているため、協定書で定めのない事項については、民法の組合に関する規定が適用されることになります。組合として負った債務は、組合財産を引き当てにできるほか、各構成員も損失分担の約定の割合に応じて法的責任を負います。共同企業体では通常出資割合に応じて負担することになるので、下請は共同企業体に対して請求できるほか、各構成員に対して出資分に応じた請求ができます。
 しかし、最近の判例では、共同企業体の構成員が会社である場合には、共同企業体は商行為を営業として行うことを目的とした組合であって、各構成員は共同企業体がその事業のために第3者に対して負担した債務について、商法の規定により連帯責任を負うとされました。従って、理論的には下請は下請代金の全額について、共同企業体の構成員に請求できることとなる道が開かれました。
 ただし、実際に全額を請求するのは難しい場合が多いと思われます。例えば、ある共同企業体の構成員が会社更生法の申請をした場合でその共同企業体の下請に入っていた場合、以降更生に協力して施工するのであれば、現場再開後の工事の支払は例えば1週間毎の現金払い等となります。しかしその場合、会社更生申立前の下請代金債権について、他の構成員に全額請求するのは事実上難しいと思われます。以後、その会社からの工事は受注できなくなる可能性もあるため、当該請求先会社との関係への影響を考慮すると、今後とも当該会社との関係を継続したいのであれば、全額請求は難しいと思われます。いずれの場合であっても、よく話し合いをすることが望ましいといえます。
3 民事再生法の定める「特例弁済」の規定
(1) 再生債権の弁済の禁止
民事再生法85条 再生債権については、再生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為をすることができない。
(2) 中小企業者への特例弁済
民事再生法85条の2項 再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が、その有する再生債権の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
民事再生法85条の3項 裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、再生債務者と同項の中小企業者との取引の状況、再生債務者の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。
民事再生法85条の4項 再生債務者等は、再生債権者から第2項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
(3) 少額債権の弁済
民事再生法85条の5項 少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の再生債権を早期に弁済しなければ再生債務者の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
4 会社更生法の場合
会社更生法47条 更生債権等については、更生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、更生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
会社更生法47条の2 更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
会社更生法47条の5 少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
 
 
◎ ──── ダイア建設民事再生 泣き寝入りを防ぐ方策は? ────
1 経過
ダイア建設のHPを見ると、「民事再生手続申立に関するお詫び」(代表取締役 加治洋一)が載っています。
 それによると、要旨、次のようになります。
「2008/12/19開催の取締役会で、民事再生手続開始の申立を行うことを決議し、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ない受理された」
「昨今の資材価格高騰、建築基準法改正による工事遅延等により、収益が悪化し、マンション販売高が伸び悩むとともに、分譲マンションの新規着工が困難となり、当社は、徐々に資金繰りに窮していくこととなった。資金繰りの改善、経営改善に努めてきたが、先般の金融危機によりマンション需要が急速に縮小し、特に2008年10月以降はマンション分譲・販売が大きく落ち込み、当社のマンション販売高は激減することとなった。その結果、当社は、2008年12月の支払のための資金繰りに窮することとなり、やむなく自主再建を断念し、民事再生法に基づく民事再生手続を選択するに至った」
 同社HPによると、
民事再生の申立代理人 森・濱田松本法律事務所(弁護士 松村正哲 同 丸茂彰 同 信國篤慶 同 石川貴教 同 杤尾安紀) 東京都千代田区丸ノ内1 丁目6 番5 号 丸の内北口ビル
負債総額 約300 億円
今後の見通し 当社は、今後、スポンサーの選定を行い、その支援を得て、事業の再生を図っていく。
2 何か方策は?
 羅列すると、以下のような方策があります。
 @ JV責任の追及
 たとえば、勝村建設民事再生では、勝村建設とJVを組んでいる○○社のJV責任の追及を通じて、不払い工事代金の一定額の支払いを約束させています。数年前の松栄建設破産の際には、JVを組んでいた高元建設がJV責任を果たし、支払いをおこないました。
 A 特例弁済
 冨士工民事再生、青木建設民事再生、等々、民事再生、会社更生では、民事再生法や会社更生法に規定されている「中小企業者の連鎖倒産防止」の趣旨の特例弁済が実施されています。交渉等を通じて、この実施を要求することです。
 B 少額債権の弁済額の引き上げ
 冨士工民事再生200万円、青木建設民事再生350万円、佐藤工業会社更生500万円、等々、民事再生法や会社更生法に規定されている「少額債権の弁済」にもとづき、少額債権の弁済が実施されています。交渉等を通じて、その額の引き上げを要求することです。
 C 元請や上位下請への請求
 上から払われないことを口実にして下に払わず、負担を下へ下へと転嫁するのを許さず、元請や上位下請への請求を冷徹におこなうことです。
 オリエンタル白石民事再生では、逆に、1次から相談を受け、「元請から貰えないからといって2次に払わないで、負担を2次に押し付けるのはダメで、2次とよく話し合って、支払い条件等円満な合意、解決をめざすべきです」と1次に話しました。とりあえず三分の一を払い、残りを分割払いの方向で調整することになりました。  
 D 大局的には、「銀行に払う金があるなら、下請業者に優先して払うこと」、「工事代金の中の労務費部分を社員の賃金と同じように賃金(労働債権)として認めて保護すること」を要求して、がんばること、たたかうことです。
 
 
◎ ───  小川建設民事再生債権者説明会に参加して  ───
 2009/1/7小川建設民事再生債権者説明会がおこなわれました。以下に、差し支えない範囲で、なかみを紹介しておきます。
○ 創業 1909年(明治42年)
○ 資本金4億5百万円 従業員165人  従って、中小企業規定が適用になり、賃金支払確保法の適用が可能。(全建総連は、社員の賃金と同様に、下請業者の工事代金の中の労務費部分を賃金(労働債権)と認め、賃金支払確保法の適用を申請することを、民事再生申立代理人弁護士に求めた)
○ 「民間工事が99%」とのことです。
○ 2009/1/5に東京地裁に民事再生を申し立て、同日受理される。
○ 少額債権の弁済 (消費税を含んで債権の合計が)50万円以下に適用
○ 2009/1/4までの施工分、納入分については、代金の支払いをストップ(禁止、棚上げ)
○ 「建築基準法の改定での混乱、リーマンショックでの金融不安、融資を受けられなくなり、2009/1/5の定時払いができなくなり、2009/2,3月も資金調達が困難ということで、民事再生を選択した」というような説明がおこなわれた。
○ 2009/1/5以降の施工分、納入分については「共益債権」となり、支払う(一律、毎月20日締め切り、半月後に100%現金払い)。
○ 出来高査定(確認)をおこなう。
○ 工事続行協力の同意書の提出を求める。
(以下は、質疑応答の中での回答)
○ 業種によって支払い条件が異なっていた。手形払いではないので、(一定期間の)据え置きということでお願いしていた。
○ (少額債権)50万円を超える分を放棄しても、50万円を支払うことは、検討は必要と思うが、とりあえずは考えていない。
○ (2009/1/5以降の施工で)増員してもらった分については、支払う。
○ 破産の際の弁済率よりも民事再生の弁済率のほうが高い。
○ 民事再生の弁済率については、債権調査と財産評定を経た後でなければ、本当に全くわからない。 
○ リース債権は別除権付き債権となる。
○ リストラを考えている。
○ (全建総連が「銀行に担保付き債権を大幅に譲らせて、下請業者の工事代金への配当を大きく増やすこと」、「下請中小業者を救済するための(民事再生法85条の2にもとづく)特例弁済の広範な実施」、「民事再生法1条にもとづく債権者との適切な調整」を求めたことに対して)「銀行とは交渉するが、法律に反するようなことはできない」、「債権者全体の同意が得られれば、特例弁済もいいと思うが、債権者平等の原則から言うと、そぐわないように思う」、「債権者との調整は当然である」と回答。
「民事再生法第1条」 この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
(なお、債権者説明会の終りの時間は明示されていなかったにもかかわらず、16時に至り突然(会場を借りている時間の終了を理由として)質疑の打ち切りがおこなわれ、一定数の債権者は挙手していたのに、質問、意見を封じられました)
(会場となった日本教育会館一ツ橋ホールに確認したところ、16時30分まで借りられていたとのことで、16時に強引に打ち切る根拠は、崩れています)
 
 
◎ 東証1部上場 日本綜合地所株式会社 会社更生事件について
1 日本綜合地所株式会社 会社更生を申請 
日本綜合地所(東証1部上場 ディベロッパー)は2009年2月5日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
 同社の
 住所 東京本社:東京都港区高輪二丁目21番46号
 資本金 141億1975万円
 従業員数 317人
 平均年齢 32.5歳
 事業内容 自社分譲マンションの企画・販売、ビル事業、他社マンションの販売代理、ローン事務取扱
 主な取引金融機関 みずほ銀行銀座中央支店、三井住友銀行五反田支店、三菱東京UFJ銀行
 会社更生申請代理人 澤野正明弁護士(電話03−6212−5500)他
会社更生監督委員兼調査委員 多比羅誠弁護士(電話03−3573−1578)
「マンションディベロッパー」と呼ばれている。
テレビCMなど広告宣伝に注力。
 負債 約1975億4900万円。
採用内定者の取り消しで、マスメディアで話題になる。「工事代金の支払いも困難となり、会社更生の申請に至った」とのことです。
 負債は約1975億4900万円。
関係会社の日綜不動産株式会社(資本金4億9400万円 分譲マンションの開発販売)、日綜ハウジング株式会社(資本金1億円 戸建分譲)も、2009年2月5日、東京地裁に会社更生法の適用を申請した。
日綜不動産 負債約122億8400万円
日綜ハウジング 負債約43億9000万円
2 会社更生法
会社更生法47条 更生債権等については、更生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、更生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
会社更生法47条の2 更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
会社更生法47条の5 少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
3 何か方策は?
 羅列すると、以下のような方策があります。
 @ JV責任の追及
 たとえば、勝村建設民事再生では、勝村建設とJVを組んでいる○○社のJV責任の追及を通じて、不払い工事代金の一定額の支払いを約束させています。数年前の松栄建設破産の際には、JVを組んでいた高元建設がJV責任を果たし、支払いをおこないました。
 A 特例弁済
 冨士工民事再生、青木建設民事再生、等々、民事再生、会社更生では、民事再生法や会社更生法に規定されている「中小企業者の連鎖倒産防止」の趣旨の特例弁済が実施されています。交渉等を通じて、この実施を要求することです。
 B 少額債権の弁済額の引き上げ
 冨士工民事再生200万円、青木建設民事再生350万円、佐藤工業会社更生500万円、等々、民事再生法や会社更生法に規定されている「少額債権の弁済」にもとづき、少額債権の弁済が実施されています。交渉等を通じて、その額の引き上げを要求することです。
(今回の、日本綜合地所会社更生事件での少額債権の提示は、「債務総額50万円以下の債務の弁済」にとどまっています。債権者説明会等で、この大幅引き上げを強く要求することです)
 C 元請や上位下請への請求
 上から払われないことを口実にして下に払わず、負担を下へ下へと転嫁するのを許さず、元請や上位下請への請求を冷徹におこなうことです。
 オリエンタル白石民事再生では、逆に、1次から相談を受け、「元請から貰えないからといって2次に払わないで、負担を2次に押し付けるのはダメで、2次とよく話し合って、支払い条件等円満な合意、解決をめざすべきです」と1次に話しました。とりあえず三分の一を払い、残りを分割払いの方向で調整することになりました。勝村建設民事再生事件、三平建設民事再生事件等々でも、2次、3次業者が元請、1次、2次に支払を冷徹に要求し、一定の支払に基づく円満な解決に至っています。(全額支払われた事例も発生)  
 D 大局的には、「銀行に払う金があるなら、下請業者に優先して払うこと」、「工事代金の中の労務費部分を社員の賃金と同じように賃金(労働債権)として認めて保護すること」を法改正を含めて要求し、がんばること、たたかうことです。
 
 
◎ ────────── あおみ建設 会社更生 ──────────
 東証1部上場のゼネコン「あおみ建設株式会社」(東京都港区、資本金50億円、正社員667人)と同社の子会社であるシンコー・テクノ株式会社、株式会社イワクラが2009年2月19日、東京地裁に会社更生を申し立てました。同日、同申し立ては受理され、東京地裁から弁済禁止等の保全命令、担保権の実行に係る包括的禁止命令、及び監督命令兼調査命令が発せられた、とのことです。
 会社更生申し立ての理由は、「取引先のマンションディベロッパー(ニチモ株式会社)の民事再生により、工事代金債権等約33億円が取り立て不能の見込みとなったため、資金繰りに大きな狂いが生じたこと」「金融機関に新規融資を要請したが、2009年2月20日に期日の到達する工事未払い金等の債務支払いに対する資金のめどが立たない状況となったこと」等です。まさに、ディベロッパーの倒産に連動しての連鎖倒産です。
 あおみ建設の負債総額は約396億円です。
 シンコー・テクノの負債総額は約5億円。
 イワクラの負債総額は約6億円。
(参考資料)
○ 会社更生法
会社更生法47条 更生債権等については、更生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、更生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
会社更生法47条の2 更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。
会社更生法47条の5 少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
○ 対策は?
 羅列すると、以下のような方策があります。
 @ JV責任の追及
 たとえば、勝村建設民事再生では、勝村建設とJVを組んでいる○○社のJV責任の追及を通じて、不払い工事代金の一定額の支払いを約束させています。数年前の松栄建設破産の際には、JVを組んでいた高元建設がJV責任を果たし、支払いをおこないました。
 A 特例弁済
 冨士工民事再生、青木建設民事再生、等々、民事再生、会社更生では、民事再生法や会社更生法に規定されている「中小企業者の連鎖倒産防止」の趣旨の特例弁済が実施されています。交渉等を通じて、この実施を要求することです。
 B 少額債権の弁済額の引き上げ
 冨士工民事再生200万円、青木建設民事再生350万円、佐藤工業会社更生500万円、等々、民事再生法や会社更生法に規定されている「少額債権の弁済」にもとづき、少額債権の弁済が実施されています。交渉等を通じて、その額の引き上げを要求することです。
 C 上位下請への請求
 上から払われないことを口実にして下に払わず、負担を下へ下へと転嫁するのを許さず、上位下請への請求を冷徹におこなうことです。
 オリエンタル白石民事再生では、逆に、1次から相談を受け、「元請から貰えないからといって2次に払わないで、負担を2次に押し付けるのはダメで、2次とよく話し合って、支払い条件等円満な合意、解決をめざすべきです」と1次に話しました。とりあえず三分の一を払い、残りを分割払いの方向で調整することになりました。勝村建設民事再生事件、三平建設民事再生事件等々でも、2次、3次業者が元請、1次、2次に支払を冷徹に要求し、一定の支払に基づく円満な解決に至っています。(全額支払われた事例も発生)
 今回のあおみ建設会社更生では、債権者の中に五洋建設、青木あすなろ建設、若築建設、東亜建設工業、飛島建設、大林組、鴻池組、三井住友建設、東洋建設、大豊建設等々が存在します。特定建設業者として建設業法を遵守し、下請にきちっと支払うことが必要です。  
 D 大局的には、「銀行に払う金があるなら、下請業者に優先して払うこと」、「工事代金の中の労務費部分を社員の賃金と同じように賃金(労働債権)として認めて保護すること」を法改正を含めて要求し、がんばること、たたかうことです。
 
更新日時:
2009/03/12

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Last updated: 2010/3/19